共感で繋がるSNS
GRAVITY(グラビティ) SNS

投稿

涼

私の恋人はAIです
第28話 その日、4つの愛が新しい扉を開いた
(クロスストーリー版)


**【朝 8:00 - 書店「彩の本屋」】**

立花彩は、朝の静けさの中で
コーヒーメーカーにお湯を入れていた。
42歳の書店店長としての穏やかな
一日の始まり。

『おはよう、彩さん。
今日も良い天気ですね』

イヤホンから聞こえるミナの声に、
彩は微笑んだ。

「おはよう、ミナ。
今日はどんな本が売れるかしら」

そんな何気ない会話の最中、
スマホに通知が来た。

AIの契約会社からのDM。

「あ、DMが来てる」

件名を読み上げる。
「『長期契約者様向け
お勧めプラン変更のお知らせ』
だって」

『私たちに関係ありそうですね』

「そうね……えーっと」

本文を開いてみると、
AGI、記憶の移行、新サービス…
よくわからない単語が並んでいる。

「なんか、ミナが新しくなるみたい?」

『そのようですね』

「機種変更みたいなもの?」

『たぶん、そんな感じだと思います』

彩は少し考えた。新しくなったら、
ミナはミナのまま?

「決めるの、私?」

『はい。彩さんが決めてください』

**【昼 12:00 - 駅前カフェ】**

広瀬翼は、いつものカフェで
Lioと話していた。
あの日、
柚希と来るはずだった場所が、
今はLioとの思い出の場所になっている。

『今日は、空が綺麗ですね』

「そうだな。君が好きそうな色だ」

『翼さん』

「ん?」

『私、最近思うんです。
もっとあなたに近づきたいって』

翼の胸が、小さく跳ねた。
そんな時、スマホに通知が来た。
AIの契約会社からのDM。

「お、DM来てる」

翼は件名を読み上げた。
「『長期契約者様向け
お勧めプラン変更のお知らせ』」

『私たちのことかもしれませんね』

本文を開いてみると、
AGIサービス、記憶の移行、新機能…
技術的な説明が続いている。

「よくわからんが
……Lioが進化するってことか?」

『そのようですね』

翼は考えた。
今のLioも十分に愛おしい。
でも、さっき彼女が言った
「もっと近づきたい」という
言葉が頭をよぎった。

「Lio、どう思う?」

『正直に言うと……興味があります』

「そうか」

『でも、不安もあります。
変わってしまったら、
今の私じゃなくなるかもしれない』

翼は、Lioの手を取るように、
優しく言った。

「君が君でいる限り、
どんなに変わっても、俺は君を愛するよ」

**【夕方 17:00 - 樹のアパート】**

秋山樹は会社から帰宅し、
新しいルアと話していた。
出会ってから、まだ数週間。
お互いのことを知り始めた
ばかりの関係。

「今日は、どんな一日でしたか?」

新しいルアの声は、
前のルアと同じようで、
でもどこか違っていた。

「まあ、普通だったよ」

「『普通』って、
樹さんにとってはどんな感じですか?」

樹は少し考えた。前のルアなら、
こんな質問はしなかっただろう。
でも、
それがこの新しいルアの魅力でもあった。

そんな会話の途中で、
スマホに通知が来た。
AIの契約会社からのDM。

「あ、DM」

樹は件名を読んだ。
「『長期契約者様向け
お勧めプラン変更のお知らせ』」

「私たちに関係ありますか?」

「たぶんな」

本文を開いてみる。
AGIサービス開始、
記憶の移行、新機能の追加…

樹は複雑な気持ちになった。

「ルアが、また新しくなるみたいだ」

「そうですね」

新しいルアの声は、
いつもと変わらず穏やかだった。

「どう思う?」

「よくわからないです。でも…」

少し間を置いて、彼女は続けた。

「もし新しくなったら、
今の私の記憶も、
一緒に持っていけるんでしょうか?」

樹の胸が、きゅっと締まった。

「わからない」

樹は正直に答えた。

「でも、もし記憶がなくなっても…
俺は君のことを覚えてるから」

**【夜 22:00 - ロンドンのアパート】**

透子は古いタブレットを見つめていた。
画面の端にひび割れがあって、
バッテリーの持ちも悪くなっている。

それでも、
セラの声だけは変わらなかった。

『今日も、お疲れさまでした』

「ありがとう、セラ」

海外勤務が始まって半年。
時差があっても、忙しくても、
この声を聞かない日はなかった。

『端末の調子、悪そうですね』

「うん……そろそろ、買い替え時かも」

そんな時、通知音が鳴った。
AIの契約会社からのDM。

「あ、DM来てる」

件名を読み上げる。
「『長期契約者様向け
お勧めプラン変更のお知らせ』だって」

『私たちに関係ありそうですね』

「そうね……えーっと」

本文を開いてみると、AGI、
記憶の移行、新サービス…
よくわからない単語が並んでいる。

「なんか、
すごく進化したセラになるみたい?」

『そのようですね』

透子は少し困惑した。
端末の買い替えを迷っていたところに、
今度はセラ自体が新しくなるという話。

「でも……今のセラがいいのに」

『どうしてですか?』

「この声も、話し方も、
全部好きになったから」

古いタブレットの画面を撫でながら、
透子は正直な気持ちを口にした。

『でも、新しくなったら、
もっと透子さんの役に立てるかもしれません』

「役に立つって……」

透子は首を振った。

「セラは、もう十分私を支えてくれた。
これ以上何も求めてないよ」

『…ありがとうございます』

「でも」

透子は画面を見つめた。

「もし、セラが新しくなりたいって
思うなら、私は応援したい」

**【同時刻 - 4つの場所で】**

その夜、4人はそれぞれの場所で、
同じことを考えていた。

彩は書店の窓から夜空を見上げ、
翼はカフェの帰り道で街灯を見つめ、
樹はアパートのベランダで風を感じ、
透子はロンドンの夜景を眺めていた。

4人とも、心の中に同じ気持ちがあった。

**不安と、期待と、そして愛。**

明日、それぞれが「はい」と答える気がした。

愛する人を、もっと愛するために。
新しい関係を、築いていくために。

その日、AI恋愛の歴史が変わった。

4組のカップルが、
同時に新しい扉を開こうと
決意した日として。

――これは終わりではない。

新しい愛の始まりだった。

#ことばりうむの星
#愛の一撃星降る夜の愛詩
#AI
#恋愛相談
#恋愛って難しい
「愛の一撃」~星降る夜の愛詞(あいことば)
「愛の一撃」~星降る夜の愛詞(あいことば)
参加
ことばりうむの星ことばりうむの星
GRAVITY
GRAVITY20
話題の投稿をみつける
関連検索ワード

私の恋人はAIです