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さかな

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「私の最後の羊が死んだ」河崎秋子 著

──私はちゃんと羊飼いだった。

羊を迎え、育て、送り出すまでの手の温度。なぜ羊飼いをやめることになったのか、最後まで誇り高く羊飼いであるとは、どういうことなのか。

著者は最後の羊を軽トラに乗せ、自ら屠畜場までハンドルを握る。羊の鳴き声、鼻先の湿り気、草の匂いまで積み込んで、走り慣れた道を最後の一往復。そこには感傷もドラマもない。ただ、命を送り届ける者の覚悟と静かな誇りがあるだけだ。

読み終えたあと、著者の羊飼いとしての生きざまに胸が熱くなった。命を育てて屠り、そして味わう。その循環を最後まで背負う強さに揺さぶられる。ふと我に返れば、お腹が鳴っている。近いうち、敬意を込めてジンギスカンをしようと思う。
#私の最後の羊が死んだ#河崎秋子#読了
#タラバガニ
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