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あやめ（小説の化け物

2022/09/29

#長文 #執筆 #拡散希望 #解読

《ひとりじゃいられない》

哀しくて胸が張り裂けそうなら抱きしめてあげるから。
ほら、涙を拭いて微笑んでごらん？

愛を失くしたように泣いている君の髪には、舗道を埋めていく雪が、悲しみを助長するように積もっていく。

流氷の海をを南へ渡る鳥のように、温かさを求める磁石をひとつ、だれだって持っている。帰路を辿るように、人は愛を求めるのさ。

涙を拭いて、人を信じて信じ続けること。
愛を諦めてしまったら、君はひとりぼっちさ。泣かないで、泣かないでいて、それは裏切られたとしても。
優しさが人の生きる答えなら。優しさ棄てない君でいて。

成功や幸福に満ちていた人の背中ばかりを見つめていたひとりだから、君の涙はあたたかいんだね。
とても冷たい北の空を仰ぐ君の勇気に感化されて、今は暗くて足場が見えないから、夜明けが来るまで一緒にいてあげる。

みんな淋(さび)しいんだ、泣きないくらいさ。
でもね、胸の傷って優しさの勲章なんだよ。その優しさが、君の生きる答えだと、涙をふいている君に言ってあげたい。
『好きだよ』と、言葉を今は告げずに待っている。この愛に気づくまで、気づくまでは…。

優しさが人の生きる答えなら。泣かないで、裏切られても泣かないでいて。
涙をふいて、信じ続けて。
優しさの棄てない君でいて。

ひとりじゃいられない、一人じゃ君はさびしいよ。
ひとりじゃいられない。ひとりじゃ僕がさびしいよ。