『解き放たれた無──啓蒙と絶滅』レイ・ブラシエ著　原題「ニヒル・アンバウンド」が12月初旬に河出書房新社から出るらしいと8月に予告しましたけど、来年1月27日に発売日が延びています（これもまだ予定）

題名：『世界という名の原稿用紙』
この街は、巨大なひとつの「本」だ。
交差点ですれ違う誰もが、自分の物語の主人公。
だけど、その物語を書き上げるのは、
自分ひとりの力じゃない。
【一人のなかの、たくさんの私】
一人の少年のなかに、何人もの「作家」が住んでいる。
朝起きて書いた一行を、昼の僕が消してしまう。
「本当の自分」なんて、どこにもいないのかもしれない。
けれど、バラバラの記憶をつなぎ合わせようともがく時、
空白だったページに、彼だけの「真実」が宿る。
【世界のすべては、作り物？】
カメラを回し、すべてを「ドラマ」だと笑う男がいる。
悲劇も、喜劇も、偶然の事故でさえ、
彼にとっては、あらかじめ決められた「配役」に過ぎない。
冷たい視線の先で、彼は世界を俯瞰（ふかん）する。
「脚本家」のふりをして、孤独を埋めるように。
【運命の交差点で】
誰かの「当たり前」が、誰かの「特別」を壊し、
誰かの「絶望」が、知らない誰かを救っている。
用語説明（TIP）に書かれた皮肉な言葉は、
この街を見下ろす「誰か」の、静かな独り言だ。
【君に伝えたいこと】
世界は、きれいに整った辞書じゃない。
矛盾だらけで、自分さえ何者かわからない。
それでも、誰かと誰かが交差するその一瞬にだけ、
物語は「本当の姿」を見せてくれる。
君が生きているこの現実も、
まだ誰も結末を知らない、書きかけのノベルなんだ。
このポエムの解説（情報伝達のポイント）
根本的なテーマ: 「自分とは何か（アイデンティティ）」と「世界とは何か（認識）」の対比です。
飛沢陽光の本質: 「バラバラな自己」を統合しようとする苦しみと、そこから生まれる物語。
変化する（牛尾）の本質: 現実を客観視（メタ化）することで、孤独な世界に意味を与えようとする視点。
TIPの意味: それは単なる説明ではなく、世界を外側から眺める「監視者の視線」であり、バラバラな物語を繋ぎ止める接着剤であることを伝えています。