
みの_chill
お疲れさまです。今まで生きてきた中で出会った人や物などをショートストーリーにして掲載しています。架空のもの、経験したもの、聞いた話などなどです。自分が経験したものもどこかに紛れ込ませています。よかったら感想をお願いします。😄v
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仕事納めの日、実家にいる妹から電話がかかってきた。昼過ぎに親父が倒れたって言う。今お袋が病院に付いて行ってる。私も直ぐに駆けつけると早口で言っている。 緊急病院の名前を教えてくれた。 俺は一旦APに帰って身支度を整えJRの駅に向かった。
どうしたの? 何があったの? 実家に帰るって? 私はどうすればいいの? もやもやする中、何も手につかないよ。ご飯を食べる気にもなれない。
彼女に電話したけどうまく伝わったかな。話が小間切れになっているだろう。 やっとの思いで病院に着いた時には、とっぷりと夜の時間に。訳を言って深夜窓口の方から入れてもらった。
あの後、彼からは電話もメールもないの。どうしたんだろう? なんか嫌な考えが浮かんでは消え、また同じことの繰り返し。胃が痛くなるよ。
病室を訪ねるとお袋と妹が、横になっている親父の側にいた。お袋は俺に気づくとおかえりと言って親父にそのことを話している。発見が早く軽くで済んだと妹が話してくれた。目には薄っすら涙を浮かべている。俺は親父にただいまを言って点滴をしていない方の手を握りしめた。
妹の車で帰るときに、彼女にメールをした。直ぐに安心したようだった。次の日こっちに来て欲しいとも書いて送った。
翌日、着替えなんかを持ってお袋と妹は先に病院へ向かった。 俺は彼女が駅に着くのを待って遅れて病院へ向かった。 彼女は手ぶらでお土産もないことを詫びた。 病院に着くと朝の食事が終わり、看護師さんが顔を出していた所だった。
親父は顔色も良く、意識もはっきりしていた。そこで俺は親父やお袋、妹に彼女を紹介したんだ。
そして「俺は彼女と結婚を考えている」って言ったんだ。彼女にプロポーズする前にね。妹からは順番が逆だよお兄ちゃんって言われたけどね。
彼女は驚きと恥ずかしさと照れと嬉しさで涙が溢れていた。


ひまわりの約束

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そうしたら奥の方に大事にお菓子の缶に入れられたオトンのオカンに宛てた手紙を発見! 見てはならない物を見つけてしまった感じ。恐る恐る引っ張り出したけど、読むには勇気がいる。
だって今の俺の存在があるのは、これらお陰だから。 ちょっと大袈裟か。
手が止まった俺を、オカンが見つけて「何やってんだよ!(照)」と言って次の作業を指示した。
読めずに渋々その場を離れた俺、ふと振り向くとオカンが何やら紐をほどいて手紙を封筒から出して読み始めていた。 その表情はあきらかに普段とは別のものだった。
読みながらクスリと笑って微笑んだり、うなづいてたり。 まるで若き女性に戻ったかのようだ。
その日の夜ご飯が、お正月前なのになぜか豪華になっていたんだ。[ウインク]



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伊達さんも言っていましたが、ゼロカロリーだから。[ウインク]


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いい事あるかな? (勝手にあると信じています)


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今朝も寒いけど、いい天気です。 風邪などに気をつけて、ぼちぼちいきましょう! [大笑い]


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せっかく繋がったのに返信出来なくて。 変な時間に目が覚めてしまう。[眠い]


みの_chill
まだまだの方、ご苦労さまです。
長崎では納会(仕事納め)のことを、ゴミ流しって言うんですよ。 (笑)


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ぐずぐずと思い、なんだかスッキリしない毎日。
降るのは雨なのか雪なのか、鉛色の空を見上げている。冷たい風が頬を掠める。鼻が赤くなる。
マスクをしてこなかったのが悔やまれた。
あの頃は冬でもバイクの後ろに乗っかって色んな所に行ったよね。彼をしっかり抱きしめてさえいればどこでも連れって貰えた。楽しいところ、美味しいお店、広がる太平洋‥お互い貧しかったけど幸せだった。もっと彼を抱き止めれれば良かったのかな。
駅の改札を出てスーパーで夜ご飯の材料を買って帰ろう。そのときふと名前を呼ばれた気がした。
振り返ったところにあのバイクの彼が立っている。隣には小さい子供が居て手を繋いでいる。「ほら、こんにちは!でしょう」
そりゃそうだ、あれから何年経っているんだ。
子供の1人や2人居てもおかしくないよね。
「子供さんなの?」ってストレートに聞いてみた。後でもやもやしたくないからね。
「あー甥っ子なんだ。帰省したら姉ちゃんも来ててさ、お菓子買いに来たんだ」何故かほっとした自分がいる。「でもあなたも奥さんと一緒なんでしょう?」って言ったら「そんなまだシングル(独り)だよ。お前こそどうなの?」
私は仕事だけの女だよって言ったら、「つまんねー奴だな」って言いながら、初日の出、初詣を一緒に行こうやって誘ってくれた。ちょっぴり涙が出た。だって今度は寒く無い車なんだもの。
曇り空の切れ目から星がひとつ輝いていたよ。


Ya Ya(あの時代を忘れない)

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きゃっ! 何言ってるの私ったら! お湯にも彼にも、のぼせちゃってるわ! [照れる]

バスルームから愛をこめて

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「危ないから走っちゃダメ!」って言っても上の子は、お構いなしに楽しそうな声をあげて走り回る。よほどお出かけが楽しいんだろうな。今日は風もなく穏やかに晴れている。暫く雨や寒さが続いたので、お買い物ついでに近くの公園で遊ばせようと思ったの。
そこへ前から散歩するお爺さんが近づいてきて、上の子に「危ないじゃないか!親は何しているんだ!」と怒り始めた。狭いからその時は大人しくしていた上の子、十分に行き来出来るのに、ワザと真ん中を通るお爺さん。「ごめんなさい」と私が謝ると「子供の躾も出来ないんだから、困ったもんだ! 乳母車も歩く人にとっては迷惑なんだよ!」と言いたい放題。
しょうがないじゃない、このくらいのことで怒らないで欲しいな、いい大人なんだからと思ったけど、「すみません」って謝り公園へと向かった。
着いた公園は割と空いていて、のびのびと上の子も走り回っている。 下の子も真似して遅い足で追っかけている。 見ていて微笑ましい。
その時、またあのおじさんかやって来て「子供の声がうるさくてかなわん。どうにかならんのか!」ってやって来た。 病院で貰ったのか薬袋を手にしている。よほど気に食わないんだろう、こっちにそのイライラ感が伝わる。
彼はポケットからタバコを取り出し吸い始めた。タバコの煙が苦手な私は顔をしかめ、少し咳き込んだ。 そうしたら突然八百屋のおばあちゃんが声をあげて来た。
「あんた何様のつもりだい! あんただって子供の頃はあっただろう。 それをなんだい偉そうに! それに子供の前でタバコなんか吸うんじゃないよ!」 さすがに高齢のおばあちゃんに圧倒されたのかタバコを足下に落とし踏み消した。それを見過ごすはずもなく「ほら拾いなよ、公園はみんなのものだ。綺麗にするもんだろう!」
ちっ!と舌打ちをして吸い殻を拾い、苦虫を潰したような顔でどこかへ消えていった。
その後あのおばあちゃんは「許しておくれよ、昔は、あーじゃなかったんだけどね。 市議選には落ちるし病気にはなるしであの人も浮かばれないんだ」と彼を庇うように話してくれた。「子供もいたんだけどね、他県に行ったきりで会えないんだと言ってたよ」
それならなおのこと優しくしてもいいものを、八つ当たりにもほどがある。 回りを見ると結構ご高齢の方が公園に日向ぼっこに来ている。 だからここは静かな町なのか。 色んな人が居るんだと改めて思った。 なんかやるせない気持ちになっている自分がいた。



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柄物のスーツにちぐはぐな柄シャツ、派手なネクタイをしている。 これじゃまるでガラガラ蛇だよ。 それに白のスニーカーのライン入りを履いている。 その歳なら皮靴のローファーでしょう。 そうやってのこのこと出向いた先は、落ち着いた感じのダイニングバー。 店構えからして今どきの良さげな感じ。
先に来ていた連中は皆カジュアルな服装で来ている。 彼だけが妙に浮いている。 まるで場違いなんだけど、一向に気にしていない。 皆静かに会話をしながら、美味しい料理とお酒を楽しんでいる。 そんな中、やたら大きい声と下品な笑い声。すぐに彼とわかる。 ほんと恥ずかしい。
周りの若い人たちは、彼の話を聞いたふりをしてタイミングよく相槌を送っている。後で笑いものにされていることも知らずに。
「俺なんかさぁ、若い頃は‥」と言いだす。
毎度出る昔話、武勇伝の数々おまけにリピートされるからたまったもんじゃない。
「はぁーっ」って返事なのか相槌なのかもわからない。 みんなから完全に浮いているよ彼。
「はぁーっ、今夜は疲れた」と言って冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、ゴクゴク飲んでいる。「2次会も誘われたけど、体力の限界。若い奴らにはついていけないよ」と言っている。実は店を出ても誰ひとり待っててくれず、どこのカラオケかも知らされてなかった。撒かれたと気が付いたんだよね。
「だから今度からは欠席しなよ。せめて同僚達がいる時に参加するとかね。」って心の中で慰めている。 いい加減自分の歳を見つめ落ち着きのある行動をして欲しいんだけどな。
私は空になったペットボトルをチカラを込めてグシャグシャにした。


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地方のとある街に転勤になったとき、その支店に勤めていた彼女。地元からの採用でその土地の方言も色々と教えてもらったんだよね。お爺さんやお婆さんがお客さんで来てくれるから、転勤当初は話が通じずに困っていた俺。それを助けてくれたのが彼女の方言レクチャーというわけ。
少しずつ仲良くなったけれど、彼氏持ちだったから、2人で遊びに行くとかの仲じゃなく、同僚としての立ち位置でしかなかった。その彼氏が転勤になるからと会社を辞めてくっついて行ったよ。送別会はみんなで地元の美味しいものを食べに、2次会は酔い覚ましにコーヒーを飲みに行こうとなった。そこで彼女はここのココアが好きなのと言っていたんだ。
ココアって子供が飲む甘ったるいものと勝手に思い込んでいた。後日改めて飲むと勘違いしていたことに気が付いたんだよね。特に冬場は身体が内側から温まるんだよ。熱燗だと飲酒運転になるけど、これなら大丈夫。コーヒーもいいけどやはり今の季節はココアかな。
ちょうど彼女がいなくなって2年くらいか。どうしているんだろうって思っていたら、ひょんな事にあのカフェの前で偶然にも出会(でくわ)した。お互いココアを飲みに来たと知って笑ったよ。
彼に付いて行ったけど、この春くらいに二股掛けられていた事がわかったんだって。だからこっちに戻って来たって話してくれた。会社も辞めてみんなに見送ってもらったのにねと話すと涙ぐんでた。
辛いことが沢山あっただろうに、前を向こうとしている彼女。何か手伝える事があったら何でも言ってよって話したら、また涙を流した。「やっぱり優しいよね、今日会えてこうして話をして良かったよ。ねぇー前みたいにまた連絡してもいいかな?」って言ってくれた。「何言ってるの、そんなの当たり前だよ」と言うと恥ずかしそうに笑顔になってくれた。 これからどうなるかわからないけど、彼女をほっとけないよ。
飲んでいたココアのせいなのか、俺の身体も心もがぽかぽかしてきたよ。




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昔むかし、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。 隣にもお爺さんとお婆さんが住んでいました。 更にその奥にもお爺さんとお婆さんが住んでいました。
皆、ご高齢なため隣人のところに行っては、さっき食べたことを忘れて「朝ごはんは食べたかい? 良かったら一緒に食べんかい?」と誘われて食べる始末。 それからまた隣に遊びに行くのでご飯を勧められる。皆順繰りに食べ回る。
だからここの地域の人はふくよかなご老人ばかり。 歳は取ってもエンゲル係数がダダ上がりの「メタ坊」と呼ばれていました。 おしまい。


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そして小雪舞い散る今夜、花束とプレゼント🎁を持って彼女の部屋を訪ねる。もちろんワインも買ってきたよ。
ノックの後、中から返事がして鍵を開ける音がした。 玄関を開けると温かい空気と飾ったシクラメンのピンクと優しい笑顔の彼女が「いらっしゃい! 寒かったでしょう? さぁ、入ってー」と促してくれる。 お揃いのスリッパを勧められ、
「お邪魔します♡」と言って中に入ると、料理と真ん中に手作りケーキが鎮座している。 「お口に合うかわからないけど食べてね!」 仕事も忙しい中、良く色々作ってくれたんだ。
「さぁ食べようー!」彼女は細やかにチキン🍗やサラダ🥗を取り分けてくれる。甲斐甲斐しいな、小さいテーブルに乗り切らないくらいに作ってくれた料理達。乾杯をして気がついた。左手に包帯と指に傷テープが貼ってある。
俺がそこを見つめているのに気が付くと、「料理を作っている時に油は跳ねるし、自分の指は切ったんだよ。私ってドジでしょう?(笑)」 俺はおどける彼女の彼女の言葉を聞きながら、無言で涙が出てきた。
「ど、どうした? 何かあった?(おろおろ)」
「嬉しいんだ。俺なんかの為にこんなにしてくれて! 今までこんなにもてなしをされた事ないよ(涙) ありがとう😭」 俺は彼女無しには生きられないと思った。
俺は椅子を立って彼女のところに行き、ぎゅーって抱きしめた。そして一言「俺と一緒の夢を見てくれないか?」と伝え、給料の3ヶ月分のプレゼント🎁を渡した。 彼女も涙を流して首を縦に振ってくれた。 彼女はワイン🍷のせいか、顔が赤かったんだ。



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体調に気を付けてください。 その具合の悪さは昨夜のお酒(忘年会)かもしれませんよ。
なんてね [ウインク]


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「大好きだよ!」
「それだけ? もっとないの?」
「ん? どうしたの? 何かあったの?」
「だから、私はあなたにとってどんな存在なのかなって思ったの」
「ぼくにとって、とても大切な人だよ」
付き合ってもうすぐ5年になろうとしている。付き合い始めは、おっとりというか、のんびりしててほんわかな空気感が安らぎになると思ってた。
でも、こう長くなると覇気が無いというか、優柔不断というか、リードしてくれない。
カフェに入っても「何にする?」って聞くと少し悩むふりをして「君と同じでいいよ」って最初から考えていないんだよね。 面倒くさいのか自主性が無いのが腹立たしく思えるの。私だったら違うのを頼んで、後で取り替えっこするのもいいなと考えるんだけど。
だとしても、ゴリゴリ来るのもちょっと苦手なんだ。 俺はこれを食べるから、君はこれにしろよ。 そっちよりこっちが美味しそうだ。でもお得感がないな。 これなんかデザート付きだ。と私の意見を完全無視してくる人はNG!話が一方通行なんだもん。疲れるよね。ね、わかるでしょう?
今度、マチアプの人と会う約束をしているの。彼には内緒だけどね。 だってこのまま歳取るのって悲しいじゃない。綺麗な花を咲かせようとしている私を見てくれない人にはサヨナラだよ。
あーどっかにいい男は居ないかなー。
ねえ、そう思うでしょう?


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余程悔しいんだろうか、涙を滲ませてるけど顔は怒ったままだ。 早く機嫌直してくれよ。
えーっと今日は何かの日だっけな? 出会った日? 初めて手を繋いだ日? 一緒に食事した日? うーんなんだろう? 彼女は小さい記念日をよーく覚えているんだよね。 最初にメールをくれた日なんて俺覚えてないって言ったら、速攻でこの日じゃん!って教えられた。初めて怖いと思ったよ。(苦笑)
これだから男は使えないんだよねー。あの店の近くに行ったら、今1番人気のケーキを買ってきてって頼んでいたのに‥。そんなのいつでも買えるだろうと後回しにして行ったら売り切れだったって!バッカじゃない? 1番人気だって言ったじゃん。 もうー噛み合わないんだよねー。
家の事もゴミ出しと食器を食洗機から出して片付けるだけ、それで家事をやったつもりでいるし、周りにはちゃんとやっているんだぜ!って言いふらしているらしい。ふざけるな!買い物から献立を考え料理をする。あんたの少ない給料でやりくりするこっちの身にもなってよ。
忙しかった時にはなかった定時上がり。なんか
時間が早いからあれこれしたくなる。本屋で欲しかったものを探す。 ジムにも行ける。たまには友達と飲みにも行ける。そうそうプールに泳ぎにも行けるし、週末はソロキャンプにもスタート出来るよね。考えたらわくわくする。楽しいー。
毎日、定時で上がる彼。趣味や興味があるものにはお構いなしにお金を注ぎ込む。この前はソロキャンプ用のテントをこっそり買ってきたので問い詰めた。だってソロって私は連れて行かないって言う無言の暴力だよね? もう私は家政婦かよ。
いやー楽しかったなー。日頃のストレスから解放されて自然の中に身を置くとそれだけで心が軽くなる。サラリーマン生活って会社の歯車なんだよな。それにしても地元で買ったローストビーフは安いし美味しかったよ。それに合わせたワインがいい感じだったんだよね。 これでまた明日からの会社生活も張り切って行けるよな。 今度彼女を誘って行ってみようかな。
彼女は前々から計画していた1人転居を実行していた。少しずつ荷物を出したことも気が付かない彼に愛想が尽きたのだ。 そもそも私が髪をショートにしても気が付かないのか、興味がないのか何も言ってくれない。そんな男だ。大きな荷物は引っ越し業者に頼んだし、これで私だけの部屋に行けばそれで完了だ!これでも気がつかないかな?うふふ。
「ただいまー! おーい、今帰ったよー。」 返事がないのはいつもの事か、そう言ってお風呂場に行きお湯を張る支度をした。脱衣カゴがない。そういえば洗濯機もない。嫁入り道具で持って来たんだっけ。壊れたのかな? 湯船に浸かり、今回のキャンプを思い出し安らぐ。 雨も降らずクマの話もなかったので成功かなと思って風呂を出た。 バスタオルをやっと見つけ。台所に行く。冷えたビールを飲むためだ。しかしその前に冷蔵庫が無かった。
彼は「おーい、冷蔵庫がないぞー!これじゃビールが飲めないじゃないかー!」って声を上げた。
家に戻ってもソロだったよ。



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「あなた外に女がいるんでしょう?」
「お前こそ、間男がいるだろうが!」
「自分のことは棚に上げて何を言っているの?」
「正直に言えば許してやると言っているんだ」
「何よそれ!あなたこそ白状しなさいよね」
こうやって自分の事には触れずに相手ばかりを責め立てる。どちらも謝る気配も譲る気もない。言葉に段々と熱が入っていく。 重たい空気が広がる。 隣り近所の人が聞き耳を立ている。
「いい加減にしてよ!私が誰と寝たというの?」
「おい、俺は誰も寝たとは言っていないぞ!」
「さっきそう言ったじゃないの!」
「じゃぁ聞くけど誰と寝たんだよ!」
「ばっかじゃない!そんなことをヘラヘラ言う理由(わけ)ないじゃない。あなたこそ誰とホテルに行ったのよ!私知っているんだから!」
「な、何だよ!どうだっていいだろう?そんなこと‥(しどろもどろ)」
こんなやりとりを何日かおきにやってくれるからご近所さんは楽しみにしているらしい。斜め向かいに住むお婆さんは「下手なドラマを見るよりよっぽど面白いんだよ。今日はどっちが勝つのかってね。ある意味言葉の格闘技だよ。声だけどね、それで十分だよ」って言ってる。
途端に無音になった。どうしたことだ?ボクシングみたいに時間やラウンド数が決まっているのか? 隣に住むおばちゃんは「今夜はドローだわね。あーぁつまんない↓」目の前の学生は「やっと宿題に手がつけられる」と言うありさま。
実はこの2人夫婦喧嘩をネタにしている漫才師の玉子。どれだけアドリブが出来るか競い合っている。しかし今夜は違った。一旦仲直りしたのに
「さっきのあれは良くないよ 👎」
「何でよ!あなたがそっちに流れを持っていったんじゃない!私は悪くないもん!」
「おおーっ、今夜は続きが始まったよ!」またご近所さんが聞き耳を立て始めた。学生さんは宿題が進まず先生に怒られるのを覚悟した。
これもシナリオなのか? 本当なのか?
でも一つ言えることはご近所さんが楽しんでくれていること。だって翌朝良かったら食べてくださいってメモと庭で採れた柿が数個玄関に置いてあったからね。[ウインク]

チャコの海岸物語

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何でも弁当を食べて、しばらくしたら急に痛み出したんだとか。「そんな事は後でいいから早く来て助けてくれよー(泣)」
彼のAPに着くと「遅いよー!もう死にそうだよー」顔面真っ青で脂汗をかき腹を押さえている。すると内股で腹とお尻を押さえてトイレに駆け込んだ。
そっかそっかこの弁当🍱が原因かな。彼が嫌いなピーマン🫑が残された手作り弁当がテーブルに置かれていた。
トイレから戻った彼は、「今日、女の子が作ったから食べてと俺のところへ持って来たんだ。でも他の子と外に食べに行く約束をしていたから、そのまま事務所の机に置いてて、晩ご飯に持って帰って食べようと思ったんだ」
事務所も彼の車もそしてこの部屋も、異常に寒がりの彼は空調を高めに設定している。だから冬でも部屋ではTシャツで過ごしている。
それで傷まない方がおかしい。
とりあえずは彼を夜間もやっている救急病院に連れて行く。その間もモソモソして落ち着きがない。病院でもトイレと仲良しになっている。
そこに可愛い看護師さんが症状を聞きにやって来た。 途端に顔を叩き出して赤みを帯びている。
さっきより更に弱々しくか細い声で、もうダメ明日は無いかも的に話をしだして気を引こうとしている。わざとらしさが見え見えって誰でもわかる。ほんと本能でしか生きていないのかコイツは!
食あたりと診断され入院を免れたが、彼はほんとに大丈夫か!なんかあったら責任取れるのか!だったら入院させろ!と半分脅迫まがいに迫っている。あの看護師さんが余程気に入ったんだろう。
そうやってナンパした彼女からの弁当で食あたりして、今度は病院で看護師さんを口説いているんだよ。 あんたはすぐに死なないし、死んだら地獄行きだよ。
足が早い弁当に、手が早いあんただからバランスが取れているんだよ。 しっかり養生しなよって言って、APのトイレで唸っている彼を残してさっさと自分の家に帰った。 たまにはちょうどいい薬だよ。 別れた元旦那をけちょんけちょんに言ってやりたかったけど、自分も看護師をしている身なので我慢してたんだ。私ってえらいでしょ?



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やっと変わって最初の一歩を踏み出した時、急に後ろの男性に腕を掴まれた。
「きゃぁ!」目が覚めた感じ。
彼から「危ないよ!」って言われると同時に左折した車が徐行もせずにビューンと走り去った。所詮ええ格好しぃの若造が運転していたんだろう。 良かった助かった。 今頃はどーんとぶつけられて、空中にぶーんって飛ばされ、アスファルトにこれでもか!と頬ずりするところだった。
彼にお礼を言って離れ、横断歩道を渡った。
ちゃんと左右を見てからね。
彼は緑のおじさんなんだろうか?って思って自分の中でクスッと笑った。(表情には出さなかったよ) 歩行者用の信号が点滅に変わった。
やはり風邪だ、イルフルかもと思いフラフラする中、病院に行き見てもらった。熱があるから家から出たくなかったけど会社の人たちに迷惑は掛けられないから。キチンと受診したら陰性だったの。 少しほっとしたけど食欲がないし喉が痛いから水分も摂りたくない。ごっくんするだけで痛いんだから。
治るまでにまる二日かかった。やっと水分を取れるようになった。干からびた砂漠に雨水が染み渡るように、私の身体に吸収されるのがわかる。
嘘じゃないよ、本当だって!
それにしても食事を取らなかったから、痩せちゃったよ。少しキツかったスカートがするりと履けたの!ラッキー! 久しぶりに出社したら人が少ない。主任に聞いたら皆インフルエンザにかかったらしい。 げげっ!その人たちの作業もこっちに回って来るのが容易に予想がついた。
また熱が出て来たようだ。[大泣き]


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連日連夜、会社、会社の仲間、学生時代の友達、通っているスナックの常連さん達と‥‥身体も、お金も疲れてる。
昨今、給料を上げるとか耳にするけど、あたいらには関係ないんだよねー。どうせいい顔したいだけの会長と社長が恩着せがましく、来年はいい年に皆さんと力を合わせていきましょう♪とか何とか声高く言うんだろうな。アホか!みんな知ってるんだ接待とか言いながら自分たちの楽しみの為、支払いを会社の経費にしていることをさ。
だから私たち平民いや貧民は、今年の憂さを爆発させるために忘年会という名を借りてるんだ。夏にもやったよね?って、あれは単なる暑さとお客様からのクレームに対するガス抜きなの。わかってる? 今夜ははっちゃけよーよ!
翌日、頭痛と吐き気、腹痛に声枯れ。トイレに行きたくても身動きが取れない。 うー苦しい。
もうお酒は辞めた!馬鹿騒ぎしてもお金が減っていくだけだ。コートのいいやつ買えたじゃん!
ちっ!
それでいて二、三日後にはあたい復活!と言っては飲屋街に出かける。 こうして学習することもなく、毎年同じことの繰り返しだった。 翌朝、朝日が昇るのを見ながら帰宅する。でも記憶には残らない。

愛燦燦 (あいさんさん)

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だから休憩時間が合ったら、短くても会ってお茶したり、食事を楽しんでいる。
今夜は少し長めに時間が取れるよって伝えたら、少し小高い丘の上にあるカフェに車で連れてってくれた。落ち着いた雰囲気の味のある店。店主のこだわりのインテリアがあちらこちらに散りばめられている。 決して出しゃばってなくて、渋い!と言わせる趣味の良さ。
出された食事の味も量も私にピッタリ!仕上げのコーヒーが最高の時間を締めくくってくれる。窓の外には海が広がる。遠くを行く船の明かりがゆっくり動いていく。気持ちもすーっと落ち着いて気持ちいい。
「どう?気に入った?」実はここの店をデザインしたのは僕なんだ。 この景色をゆっくり楽しむのをコンセプトに僕なりに色々考えたんだ。行き着いたのが、好きな人とここでの時間を楽しむ。それには君と食事しながら、身近に起きた話をしながら海を見るっていう何気ない事って気がついたんだ。 だから君が興味を持つだろうって考えながらする作業は楽しかったよだって。
今度はしばらく日本を離れるので、その前に君と来たかったんだと遠回しに別れを告げられた。
「それでいつ帰ってくるの?」「うーん、どうだろう? その仕事が終わらないとわからないよ」
「待っててもいいの?」「待ってて欲しいけど、約束は出来ないよ」 「どうして?」 「君を縛り付けたくはないよ。いい男(ひと)がいたら結婚してくれ」 「馬鹿なことを言わないで!そんなつもりで今まで一緒にいた訳じゃないから」
テラスに出た2人は遠くを見つめてる。どちらからも言葉が出ない。ただ夜風が身体を冷やしていく。
「寒いよ、身体も心も。 ねぇこれから私は誰に温めて貰えればいいの?」 少し時間をおいてから口を開いた彼は「一緒について来てくれるかい?」 「うん、でもいいの?」 「いいに決まっているさ。本当は断られるのが怖かったから躊躇(ためら)っていたんだ。 いくじなしだろう?」と言って私を抱きしめてくれた。私も強く抱き返した涙ながら。 翌日から私は新しい予定は入れず、今ある予定を消化する事に注力した。
彼が旅立ってから3ヶ月後、後を追って身重になってた私も日本を離れた。 新しい世界が広がることを夢見て。


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保育士になって未来ある子らにサンタクロースの話をするようになった。 やはりコイツらあの頃の私と同じように考えている。 先輩から質問攻めに合うよって忠告されていた。
「ねぇー世界中の子供達って何人くらいいるの? 何歳まで子供なの? いつまで貰えるの?」 「子供達のおもちゃはどこで仕入れているの?amazon? それも中国製? 交換はきくの?」 「サンタさんも時差ボケするのかな?」 「サンタさん1人じゃ無理だよね? 後はアルバイトなの? ニセモノ?」 「トナカイはソリを引っ張って空を飛んでいるけど、実際のトナカイは飛べないよ」 「日本にはいつからサンタさん来るようになったの? 鎖国をやめてから?」‥‥
言葉に詰まると、「やっぱり知らないんじゃない! もっと勉強しなよ。いい大人なんだからさあー」 ほんと腹立たしい。私もコイツらと同じ憎たらしい子供だったんだろうな。 可愛げがなかったんだなとつくづく思った。
その夜、彼の耳元でささやいてみた「サンタさんは本当にいるのかな?」って。そうしたら「君のサンタは俺だろう?」って応えてくれた。
一瞬、間があったものの「良く平気でそんなことが言えるよね。プレゼント🎁をあげたのは私の方だけ。予約したディナーのケーキもワインもチキンも私持ちだったじゃない!(怒)」
それから彼は無言で、そっと指輪のケースを取出し「Merry Xmas!」と言って差し出してくれた。
その日、私は初めてサンタクロースがいることを信じる事が出来た。 夢じゃないか彼にほっぺをつねってもらった。 目に薄っすら涙した。
嬉しかったのか、つねられたからなのか。
たぶん後者だ! 後で見たら赤くなっていたから。

恋人がサンタクロース

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今夜は晩飯を作ってくれると言うのだ。 冷蔵庫の中は食材など見当たらない。 缶ビール以外は空っぽ、何にもない。 そうマヨネーズもケチャップ、マスタードなんてお店で出されるものでしょう?くらいに常備していない。
近くのスーパー前で待合せ。 カゴをカートに乗せ店内に入る。 焼けるパンの香ばしい匂い。思わず柔らかフランスパンを手に取る。まだ温かいのが食欲を誘う。
「何を作ってくれるの?」って聞いたら、彼女は「牡蠣を使ったもの」ってふふん!と勝ち誇ったように言い放った。
「焼き牡蠣?」「いや匂いが充満するからダメ」
「カキフライ?」「油が跳ねるからイヤ!」
「焦らさないでよ!」「牡蠣鍋にしようよ、お野菜も沢山いれてさぁ」
「あれ生牡蠣は? 牡蠣酢だろう?」
「あれってノロが怖いじゃない、あれ食べた人知っているけど大変だったらしいわよ」
「どうなったの?」
「ノロってすっごくノロマになるらしいんだって。 私の看護師をしている友達が言ってたんだよ。(えっへん!)」
「えっ!(驚) そうなの? 知らなかったよー。めちゃめちゃ怖いよね(怖) 俺も友達に教えなきゃ!」
‥‥どちらも新鮮な天然ものですね。(笑)


みの_chill
ドリーム、サマー、ハロウィンジャンボがことごとくハズレっぱなしの彼女。 あれだけ注ぎ込めば少しは当たっても良さそうなのに。
くじ運がないんだろうな。 だって高額当選者がここから出ました!と大々的に横断幕が掛かっている。 「あれはきっと嘘だよ。 私当たった人を見たことないもん。 客寄せパンダだよ、きっと。 あれに騙されてみんな買い込むんだから」 とうとう猜疑心の塊となったのか? それはあなたも同じだよね。
残るのは年末ジャンボ! これしかないとバーンと宝くじ売り場のお姉さんにお札を叩きつけている。でも買うのは10枚程度。しっかりおつりを貰っている。 「これで私は億万長者だ! はっはっは! どうだ!」と腰に手を当ていっぱしのことを言っている。
年末になり慌ただしくなり公私共々息つく暇もありはしない。 そんな中俺は歩行者の信号が青に変わったのを見て横断歩道を渡っていたら、信号を無視した車にいきなり撥ねられた。相手は「おい! どこに目を付けているんだ!(怒)」だと。 何を言っているんだコイツは?
「何であんたが撥ねられたのよ。それにそのお金は何なの? 見た限りあんたどこも怪我していないじゃないの」 運転していた親御さんが事を伏せておきたくて慰謝料として持って来たお見舞いなのだ。
「あーあぁ!あたしはくじ運は悪いし、あんたみたいな男しか寄って来ないから男運は悪いんだろうな。」 俺は言ってやったさ「貧乏くじはお互いさまじゃないの?」ってね。 いくらねだられてもこの金は渡さないもんね。 これを軍資金に年末ジャンボを大人買いするからね。
次の日、宝くじ売り場のお姉さんに「年末ジャンボ 連番で30枚!」って言ってやったぜぃ!
少し声が裏返ったけどね。 手に汗をかいてドキドキする。 内ポケットに入れ表からポンポンと叩く。 嬉しさに心躍せていたら今度は自転車にぶつけられた。 当選確実だなと思いながら意識は遠ざかっていった。

木蘭の涙

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みの_chill
「ごめんねーあの子からまたせびられたんだろう? わるい子じゃないんだけどねー」アイツのお袋さんは私を庇い労るように声を掛けるが、それだけだ。 お金を返してくれるわけもなく、やはり親子だと感じた。「少しは働いてくれるといいんだけど。人との付き合いが下手だから‥」
そんな事知ったことじゃない。あんたの育て方、環境が悪かったんだろうって何度も口にしかけた。
だったら別れればいいじゃない、籍も入れてないんだったらって、私がやっているスナックの常連のおじさんらは言うんだよ。場末のしけた店に来る客なんて金は持たないけど人情だけは熱いんだよね。「みんなありがとうね、さぁー歌って騒ごうよ!」大して上手くもない肴しかないのにね、私もそんなに綺麗でも若くもないのに、コイツら何で通ってくるんだろうね。苦笑
アイツは絶対お店には顔を出さない。何故って?男の影があったら客足に影響するだろうだってさ。それなら働いて稼げよって言いたい。
でもねアイツはあー見えて優しいんだよ。
私がまだ学生の頃、襲われそうになったのを必死で守ってくれたんだ。相手の方が人数多いのにね。頭悪いんだろうね。結局病院送りにされたのはこっちの方。でもそれでもいいんだ。アイツを
支えたいのさ。こればっかしは私の勝手だからね。
その頃、パチンコをしていたアイツはクシャミをひとつしたよ。

Yes-No

みの_chill
ところがどうだ、最初の意気込みはどこへやら、突き進む道は他の連中がどんどん追い越して行き惨めな俺は置いてけぼり。いくらもがいても浮上する気配(こと)さえなかった。単に田舎者が粋がっていただけさと開き直る始末。
「気をつけてね」と寂しさを俺に見せまいと弱々しい笑顔で見送ってくれた彼女。情けない俺は何をやっているんだ。酒を食らっては他人に愚痴をこぼし、つまらない事で口論となり喧嘩する。
ダメだってことは1番わかっているのに。
地元の友人が知らせてくれたメール。彼女に病気が見つかったって。元々身体が弱かったんだ。
それを俺に知られたくなくて、ずっと隠していた。彼女のお袋さんからはその話を聞かされていたから、彼女の前では知らん顔してサポートしてたんだ。
とうとう入院したと連絡が届いた。俺は居ても立っても居られない苛立ちから。ここをスッパリ諦めて地元に急いで帰った。戻ったところで俺には何も無い、世間に付いて行けなかったんだから。
突然、病室に現れた俺にびっくりして、すぐさま笑顔になった彼女。痩せた彼女が痛々しい。
「ただいま! またせたな。 これからはずっとこっち(お前の側)だから」
「あっち(都会での仕事)はもういいの? ほんとに側にいてくれるのね?(涙)」
「あーそうだ。やるだけやった。満足だ」
俺は地元に職を求め、昔の連中にも頼み込んで何とかありつけた。おれが顔を出すと彼女は笑顔で迎え病室にいるのに甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。 日に日に良くなっていく。 顔色がだいぶ良くなってきた。

迷い道

みの_chill
タカを括っていた。
会社で机を並べる彼女が遊びに来た。付き合っているのを会社の連中も知っているし、俺の仕事を彼女も知っている。だから理解してサポートをしてくれる。 今回の事も聞いてたんだろうな。
ダメな俺に愛想尽かしただろうな。
主任がお客様に謝って事なきを得たけど、俺は凹んだ。 そして休みをもらっていた。
部屋に来たらいきなり腕を上げろと言う。着ていたシャツを巻くって、脇をペロンと舐める。ん?
「うひゃ! 何するの?」と驚く。
「やっぱりね。主任が言ってたんだよね。 彼はまだまだ脇が甘いってね!」
俺は気を引き締めていちから勉強し直す事を心に誓ったよ。


みの_chill
お互い違う課なのに、屈託なく話し合えたんだけど、それから転職することだけは最後まで内緒だった。最後に挨拶に来たとき心配を掛けるし引き留められるのも苦手だからね、泣いちゃうのわかってたからってサラッと言われた。目には涙が滲んでいたけど。
数年後、彼女が結婚するかもしれないって人伝えに聞いた。辞めてからもメールはたまにくれていたし、ご飯も仲間内では行ってたけど、またもやその話は出てこなかった。おめでとう!を言いたくて電話をしても出てくれない。メールも未読のままって彼女に何があったのかな。
やっと繋がったのは数日後、携帯を番号ごと変えたんだって。彼との結婚の話も無くなったと明るく話してくれた。そんなやり取りも昔のまんまだった。「会って話せない?」だて聞いたら直ぐに「いいよー!私も話したいことがあるしー」って直ぐに返信が来たんだ。
馴染みの店で待ってたら、少し寂しげな表情の彼女が入ってきた。俺を見つけると急にぱっと明るい表情になった。ん? これは何かあったなと瞬間的に思った。 お疲れさま、お久しぶりの乾杯をしてから、彼女はポツポツと話し出した。
最初は彼氏も結婚する気だったらしい。でもね、よくよく聞いたら地元にも約束をしていた彼女がいたらしく。 何やら雲行きが怪しくなったらしい。 そこで私から身を引いたのって、あっけらかんに話す。 そう長く続いていたのに悲しかったろうねって言ったら、ついに泣き出された。周りは何事か? この男が何か悪さしたのか?っていう目で見られた。いやいや違うんだけど‥。
それで店を出て歩き始めた時にいわれたのさ。
「彼には地元の子が居るけど、私には誰が居るのかな?って考えたら貴方しか居ないってわかったの。、今更遅いよね?」って言われた。これはどう受け止めたらいいんだろう? そうしたらいきなり「私じゃダメかな?」ダメ出しをされたんだよ。
「寂しさを忘れる為の代役なら嫌だよ。でも真剣なら俺は拒まない」って言ったら、「ありがとう、やっぱり優しいんだね♡」って腕を絡ませて頬にキスしてくれた。俺もおあいこでぎゅーって抱き締め返したんだ。

幸せな結末

みの_chill
枕を共にするのは初めてだったのに君は、直ぐに寝息をたてた。仕事で色々あって疲れたんだね。
ヨシヨシって頭を撫でてあげたよ。
可愛いなぁー♡
そうしたら、う〜んと言いながら寝返りを打って、寝言をむにゃむにゃと言い出したのさ。
最初は声が小さくて、何を言っているのかわからなかった。
耳を近づけて聞いてみると「大好きだよ、◯◯◯くん♡」って確かに言ったんだ。
俺ははっきり目が覚めた。
どんな夢を見ているんだろう?
ベランダに出て普段吸わないタバコに火をつけた。 吐き出す煙が風に流されていく。
◯◯◯くんって、いったい誰だ? ん?
俺の心も風に流されたのさ。

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