竹林の11人の小人
詩作中心。たまに短歌を詠む。
景色、風景の美しい写真は大好き😍
不動産・建築・インテリア
散歩
写真撮影
ガンダム
マンガ
話を聞くのが好き
アニメ
音楽
旅行
読書
竹林の11人の小人
氷のザラメの風に吹かれて
細めるばかりの身の上を
襟を立てながら独り行く
寒月独歩 紫紺の空
いつもながらの散歩道
季節に揺蕩うそのすがら
こうして下界を見て過ぎる
あぁ この頃の滑空する北風を
あの人達はさぞや寒かろう
あぁ この身も寒き事なれど
あの人達は もっと寒かろう
寒月独歩 月は知らない
見上げた人の心にも
月とおんなじ 気持ちがあると
知らない同士の 暖かさを
「寒月独歩」
星影 流
#詩

竹林の11人の小人
嗅いだら何だか懐かしい
ベビーパウダーの白い粉
手触り何だか柔らかい
春の野原に行って
綿毛になったタンポポを
一つずつ摘んで
はたいて出来たみたい
ふんわりした香りと
ほわほわした手触りと
胸に仕舞った
レコードが憶えている
「ベビーパウダー」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
竹林の11人の小人
ただ ぼんやり と…
午後の光が漂う波を、
誰かか来るまで眺めていた。
波は漣。
向こうの岸壁から、
まるで鼻歌交じりの陽気で、
こちらの疲労や苦悩など、
まるでお構いなしの様相。
それが 西風に乗って、
こちらへ 来る。
待っている人は まだ 来ない。
また、待つ。
そして 眺める。
その間、陽気な波が縁日の人出の様に、
こちらへ押し寄せてくる。
私のいる岸壁は、
とうとう 船になった。
どんどん引き寄せられて、
何処へと向かうのか、
ゆっくりと、進み始めた。
胸が はしゃぐ。
旅に出られるのだ。
この倦怠の日常を脱して、
旅へと 出るのだ。
いざ向かわん。何処(いずこ)かへ!
出港の汽笛を鳴らそう。
そうして あの海原へ。
しかし、
私を呼ぶ声が する。
私は岸壁へ引き戻されて、
短い旅の ほんのさわりに、
未練を残して 波と別れた。
漣の鼻歌を 背中にして…
「漣の出発」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
一枚落ちる度、
浅い眠りに夢を見る。
熱に咲く花の、
はらり…落ちる花弁は、
同じ花房から、
それぞれ違う色の花弁を、
一夢のその都度に、
散らしている。
他人の夢を、
覗い知る事は出来ないけれど、
真夏の夜の夢の花の、
散っては咲く、
その姿。
見る事ができるなら、
春の山野の繚乱よりも、
きっと、鮮やかに映るだろう。
闇夜に映えて、
きっと、美しく映るのだろう。
そうに違い無い。
「一夢の花弁」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
雲もまばらに 侘しい闇を
漂う様な 漕ぎ足では
いずれ揺蕩う 三日月孤月
孕んだ夜風 熱含みの風
我が夜を照らせ 我も亦、一人
孤月の揺蕩うまにまに
我も行こう 夜風通り
時々で良いから こっちを見ておくれ
風しか行かぬ この通りの
足元寒い 我が行く道を
連れなど要らぬ 一人行脚
孤月、其方と 二人旅
いずれ揺蕩う 道すがら
「孤月、二人」
星影 流
#詩
#ソネット

竹林の11人の小人
砕けてしまった思い出の欠片
それを拾い集めるのは
真夜中の様に沈んだ時
真夜中キャンバス
落ち込んで いじけた心は人差し指
真夜中キャンバス
砂をいじる そして見つかるキラキラ
一つ摘んだ欠片はすぐに
二つ目見つけてみたくなる
次々、見つけてみたくなる
沢山、もっと、いっぱいに
真夜中キャンバス
貼り付けた もう分からない記憶の欠片を
真夜中キャンバス
貼り付ける 見つけて浮かべた黒い画布
貼り付けながら 忘れてる
暗い気持ちはもういない
真夜中キャンバス 気付いたら
朝がきらめく青空が
埋め尽くされてそこにあった
思い出の欠片はモザイクタイル
ガラスよりも きらめいて
ひび割れた思い出達の境界さえ
今は一つの キラキラキャンバス
「真夜中キャンバス」
星影 流
#詩
#AIイラスト

竹林の11人の小人
少し遠くまで足を進めて
街が目覚める前の
風を捕まえに行きたい
どうせ暑くなる今日も
目覚め前の風の冷たさならば
どんなにか 幾分かは
慰めになる筈だけど
寝息は熱風を吹かせて
河沿いの道は蒼いまま
今日は想像すら届かない暑さになる
家の前の小さな川に涼風が吹く
帰り道は風が変わって捕まえたい風は
ずっと近くにあったと気付いた
「川と河、蒼と青」
星影 流
#詩
#イマソラ
#ソネット
(Xとnoteと、ここGravityとの初同時展開…)

竹林の11人の小人
暗さのラッシュアワー。
ひしめき合う闇が、
空のホームで押し合っている。
駅の係り員の、
やはり真っ黒な後ろ姿は、
殺到する闇を、
飽和した黒塗りの客車へ、
ぎう、ぎう、と、
押し込んでゐるのが見えた。
私が上げた紫煙を、
発車の兆しと勘違いして、
尚の事、
客である闇は、
蒼くなる迄に、
慌て始めた。
駅の係は私を睨む。
なんて事をするんだ、
そう、言わんばかり。
やがて、すべての闇を乗せて、
暁行の鈍行は、
雲を吐きながら、
ホームを出ていくのだ。
品の良いご婦人ではない私は、
見送りの紫煙を、
ぽかり、
雲の蒸気に被せた。
「暁行」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
雲の稜線を
何度も眺めてきた
何度も見上げてきた
暖かいな あの色は
綺麗だな あの雲は
見かける度につく溜息
それは憧れと諦め
描きたくても描けない
もどかしさと
いつかは描きたい想い
水と油を混ぜて
心が動く
夕映え 煌めきながら
風に形を変え流れ
どうしよう とても綺麗
雨上がりの空は
洗いざらしでさっぱりして
何もかも洗い流して
とても綺麗
「夕映え」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
綿毛はほわほわ
飛び立て、飛び立て
近くへ、遠くへ
まんまる綿毛
僕も乗せてよ
まんまる姿は
シャボン玉
風が吹いて
暖かな空を
何処かに辿り着けるなら
ふっと吹きかけて
風に乗って
何処までも
「綿玉」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
There is a place where existence must be protected
That is the root of the forest
The place is the cradle of the forest spirit
The trees are dead
There is a place where the soul can rest to be born again
The place is deep in the forest
It's very high up
In a place so deep that people get lost
On a tree that no one thinks is
The reason why it is called a forest of forests
To protect the forest itself
Surronded by a veil of mystery
In a deep,deep place
There is a perch for the souls of the trees.
「deep forest perch 」
N.Hoshikage
#poem #poetry
#詩

竹林の11人の小人
夜になっても
足を止めずに
ひたすら、ひたすら
向かうのは
忘れてしまった幸せ一つ
夜凪は今宵
残酷なまでに静か
まるで静寂の砂漠
静かな乾いた砂が
何もかもを奪い去っていく様で
倒れ込んだ旅人を
月が覗いて語りかける
この孤独の夜の静寂の砂漠に
貴方にだけ歌おうか、と
見上げた空に花の月
月光だけが波をたてて
この砂漠を潤していった
気付いた瞳に泪が浮かぶ
旅人は疲れてやがて眠る
月が歌った子守歌は
誰も知る事は許されぬ
旅人にだけ贈った
優しい歌
「花月の歌」
星影 流
#詩

竹林の11人の小人
そんな人になってみたい
触れた人が聴きたい音を
幾つも出せるそんな人に
何で触れられたいかを
声高に叫ぶよりも
何で触れられたって
十色の音を奏でられる
綺麗な音かな
それとも不格好かな
響くかな
それとも耳障りかな
試しながら
試されながら
人は重なって
澄んだ音になる
「人音」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
ほんの少し 開けた窓から
みどりの風はそのまま
僕の部屋をキャンバスに変えた
白かった壁や天井を
淡い緑に染めたから
次は何が起こるのか
風を待った
次に入ってきた風は
みどりのキャンバスに
青や群青で
誰ともしれない誰かの
肖像を描いた
見覚えは無い面影だ
知らない顔だ
だけど不満は無かった
キャンバスに描かれた青い絵は
まるで刺繍糸の様な柔らかさで
僕の部屋を包むから
僕は知らない顔に見守られて
眠ってしまった
「寒色の糸絵」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
花弁の川の
流れ着く先に
次の季節が
待っているのかな
星影 流
#五行歌

竹林の11人の小人
詩を書いているだけで、あんまり訪問もしない僕の投稿に、いつも「いいね」してくれる皆さまへ、読んでくださる方々へ、一言御礼を申し上げたい。
ありがとうございます🙇
竹林の11人の小人
そう言った
眠っている間は留守だった
生命の膨らみがいや増して
帰ってきた四季彩の
日々追うごとに
鮮やかになってきたから
「おかえり」
そう言った
胸がときめいていく
雪に閉ざされ枯れ果てた
野山が帰ってきた
「おかえり」
そう言っても
「ただいま」
とは、言わない
鮮やかな四季彩が
替わりに応えてくれる
「ただいま」、と
「四季彩のただいま」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
のぞきこんだ手のひらは
さながら出来た小さな庭
一つじゃ寂しかろうかと
もう一つのせたら
落ちた花房喜んだ
僕も同じだ 道端に
転げ落ちた落ち零れ
見上げた天には誇らしく
栄華の花を咲かせた人達
悔し涙の一粒が
手のひらに落ちて池になった
小さな池には星一つ
光を落として言ったっけ
君も僕も桜も同じだ
ほら、手と足を広げて
大の字になったと想像してごらん
みんな、同じに見えないか?
落ちていたって
落ちたって
みんな、五枚と五芒と五体の
おんなじ形の
おんなじ仲間
見上げてばかりじゃ見失う
手のひらの中の仲間達
それだけ言って
花房の桜も星も
風がさらって帰って行った
峠の道の風の中で
優しい微笑みだけを残して
「五の仲間達」
星影 流
#詩
#AIイラスト


竹林の11人の小人
とおりゃんせ、とおりゃんせ
伸ばした指先くっつけて
お蔭で暗くて
見えなくなった空
長い坂道は
いつの間に拓けて
隠された暗がりに
無頓着なまでの
青空 抜けた
まだ坂の途中から
あの空は春のような顔して
こっちへ手招きしてる
早く来い、来い
せっかち気味な
空の手招き
春はとっくに来ていたのに
僕はまだ春になれずにいた
それを坂の天辺にいる
抜けた青が
僕の中で寝坊している春に
忙しく呼びかけていた
「春坂の空」
星影 流
#詩

竹林の11人の小人
誰に見せる事も無い言葉
誰も見ては、くれなくても
別にいいさ、そんな言葉
それを集めて、「詩」と呼んだ
それを音にして、「歌」に詠んだ
誰も見ては、くれなくても
知らない何か、振り返らなくても
誰かとすれ違うようなもの
心が混ざる言葉の群れ
それは顔を見せて歩いていのと同じ
心と顔とはきっと同じ様に見える
それが今まで溶かしてきた
今ある全てのまま
「言葉の顔」
星影 流
#詩
#ソネット
竹林の11人の小人
夢現に聞いていた
不思議な音だった
向かいの山の山頂の
鐘撞堂から聞こえたものか
いいや、冬季は入山できない筈だ
鐘撞堂の鐘にしては
随分、教会の鐘の音に似ていた
らろんらろん
ごろらろん
輪唱する鐘の音
ららろんららろん
ごろろららろろん
空の上からこんばんは
天空の鐘のご挨拶
不思議な音の正体を
知らないままでいたい
あれはきっと
天空の鐘
春を告げに
風が鳴らした鐘の音
「天空の鐘」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
色一つ
心が映る
色一つ
水色涙は
悲しみ色
誰も知らない悲しみを
涙はちゃんと知っていて
心の外に
連れて行く
海色涙は
寂し色
喪った寂しさが
滲み出す
悲しみよりも深い青
沢山流して
欠けた心を埋めていく
黄昏色の涙には
同じになった
心が映る
誰かの喜びが
感染って流れる
優しさで出来た涙色
桃色涙は恋涙
誰かを想って
滲む色
何度も流した
水色が
悲しさ失くした
想い色
赤色涙は
嬉しい色
心が温もりに染まる時
温もりが滲みた
揺れ動く心の
熱い涙
涙と出会う時
どんな色の涙かを
誰かが気付いてくれたなら
それを分かってくれたなら
涙は虹色
空に帰る
「涙の色」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
野に咲く花のように
生きている
僕達は
花のように
雌雄を同じくしている
詩と言う名の花粉を飛ばしたり
また別の花粉を飛ばして
どこかの誰かの受容体に辿り着き
刺激になったり、
創意になったり、
感動を産んだり、
また何にも起こらなかったり、する
僕達は
感性の受容体の他にも
幾つかの受容体を持っている様で
「幸福」を感じる物があるらしい
幸せ受容体は
他の人の放った花粉や
結実して出来た
二次的花粉を受け取る
受け取れば受け取れるほど
受容体は豊かになって
小さな出来事にさえ
幸せに感じられるようになるらしい
幸せ受容体を育てよう
小さな事に
大きく感謝を
感じられる位に
幸せ受容体を感じよう
あちらこちらにある
幸せの花粉を
感じられる位に
「幸せ受容体」
星影 流
#詩
#AIイラスト

竹林の11人の小人
野に咲く花のように
生きている
僕達は
花のように
雌雄を同じくしている
詩と言う名の花粉を飛ばしたり
また別の花粉を飛ばして
どこかの誰かの受容体に辿り着き
刺激になったり、
創意になったり、
感動を産んだり、
また何にも起こらなかったり、する
僕達は
感性の受容体の他にも
幾つかの受容体を持っている様で
「幸福」を感じる物があるらしい
幸せ受容体は
他の人の放った花粉や
結実して出来た
二次的花粉を受け取る
受け取れば受け取れるほど
受容体は豊かになって
小さな出来事にさえ
幸せに感じられるようになるらしい
幸せ受容体を育てよう
小さな事に
大きく感謝を
感じられる位に
幸せ受容体を感じよう
あちらこちらにある
幸せの花粉を
感じられる位に
「幸せ受容体」
星影 流
#詩
#AIイラスト

竹林の11人の小人
なかなか顔を出さない
いつもモジモジして
隠れがちで
あのコとは違う
キミの訪れは
いつでも待ちくたびれて
焦れったい
そんなキミを待っている人を
知っているから
野に、田の畦に、
その人の数ほどの
土筆を出して応える事を
僕は知っているつもり
キミは、だけど
まだ、はにかんだままで
そっぽを向いて
花を咲かせる風に隠れた
「キミ=春」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
「いつも」を何に置き換えるべきか
悩んで、行き当たって
立ち止まると、
決まって甘いものを手に取る
ティラミスを一口
忽ち、甘い
マスカルポーネと
一緒にマッタリ
それが出来ると
幸せだ
それが出来ないと
また、行き当たる
それを楽しめる程の達観は
未だ、ない
「ティラiミス」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
君や僕の中に
思い出が
感動が
眠っている
ずっとくすくすと
燻されて
想いになれない
花詞(はなことば)
気付いて、捕まえた
宇宙の様な
心の中の
あれやこれを
素直なままで
言葉にしたら
それは詩になる
花詞
「花詞」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
潮の詩を
赤子の頃より聴いてきた
その詩を
今は忘れてしまった
その詩の
母の胸で聴いた筈の
潮の聲は
今は思い出せないでいるけれど
きっと、
どこかに流れている
あの厳しくも、優しい
潮の詩が
「潮の詩」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
体もゆっくり、暖めて
目を通して、
はぜる薪と、
耳を通して、
パチパチとその音を聞くと
心の中まで
ぬくもりが伝わって、
自然と僕も
薪と同じ、
笑顔がはぜる
「薪ストーブのフロア」
星影 流
#詩

竹林の11人の小人
いつも、ボクはいない
どこかの空で
歌っているから
想像の中の
だだっ広い空を
自由を翼にして
飛び回っているんだ
目を閉じてごらん
ボクの歌が
どこからか聴こえてこないか?
淋しい時や
堪えきれない時は
目を瞑ったら
飛んでくる
ボクにきっと、会える
欲しい言葉で
歌を歌うよ
君に、誰にも
一番よく似合う
服を選ぶように
髪を梳かすように
ボクの歌を聞いて
眠ると良い
空飛ぶボクを
想像の中で
捕まえた後に
眠ると良い
「空飛ぶボクを捕まえて」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
姿を探すよ、主人を探す、
朝露に。
早すぎる雨に。
それから、
朝霧に姿を紛らせて。
意味を失ったから、
何処へ向かおうかと、
洗い流しているんだ。
通ってきた道を。
そうしてもっと、
誰が言葉の主だったかを、
すっかり忘れた言葉達が、
終電の後の座席の、
忘れられた傘みたいに、
しょげた顔で…
可哀想な言葉を、
僕達は集めて…慰め、
素敵な言葉の
お布団に打ち直してあげよう。
誰もが、
この冬の街に心を冷やしているから。
誰もが、
忘れた言葉で蘇られる様に。
迷い言葉は、
いなくなる。
朝の、露も、雨も、霧も。
みんな、お布団になる。
言葉のお布団を、
みんなで作ろう。
それが、きっと、
詩詠いの お仕事だ。
「詩詠いのお仕事」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
白々と立ち込めて
薄暮の刻に
町並みは 霧に沈む
霧は大地が吐いた
白い吐息に
声の便りを
精霊に持たせる
「雪が近いよ」
精霊が囁く
声が凛となる
冷やされた大地の
にわかに出てきた声の主は
深く被ったニットの
僅かに出た耳元のポストに
声の便りを届けに来た
「霧の精の声便り」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
ちょっとだけ欠けてていい
少しだけたりなくて良い
望むのは完全な美ではない
完全になれない美だ
あと1ミリあれば届く円
あと1ミリあれば円になれるのに
その1ミリが無いから
円にはなれない
僕の追いかけているものは
きっとその1ミリ
届いちゃいけない間際の
届きそうで届かない
より完全にどれほど近づけるか
完全になれない、してはいけない
些細な欠損に
僕は美を求めて
探す最高がある
「閉じない円の美」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
うねる波と逆巻く風
出会いは冬の、
残酷な程の冷気の中で
導かれたような、
当たり前だったような
風は気づいたら
波の湾曲の優しさに
まるで、初めから
風に合うように
パズルのピースを嵌め込むように
波の歌は風を眠りに導いて
風の声は波を励ました
雪降る日の
波間に見た 子守歌
「ゆりかごの歌」
星影 流
#詩

竹林の11人の小人
黒炭色が染みた道に出る
月はいない
星さえ いない
あるのは
星の替わりにと
人が作り上げた街灯の
冷めた光だけ
夜空が好きだ
光ある 夜空が好きだ
星の絨毯と
その中を漕いでいく
三日月の舟の
悠久の旅を
夢物語の様に見るのが好きだ
例え夜空に 光がなくても
太陽の光だけは
夜空には求めない
この暗色の世界は
静かで
何かあっても 見えない
それを照らす星月の
僅かな光が
そこに何が有るのか
やっと 教えてくれる
それがいい
太陽の様に
はっきり照らしてしまうと
それがそれでしかなくなる
星月の様に
ぼんやり照らしてくれると
それかもしれないし
あれかもしれないし
どれとも違うかもしれない
想像が生まれるから
星の絨毯と月の舟は
想像の海の航海を
やおら駆り立て
僕を虜にするのだ
「星月航海」
星影 流
#詩
#AIイラスト

竹林の11人の小人
僕の手
そんなに大きくもなく
そうかと言って小さくもない
普通の人の 手
じっと見た
啄木のように
じっと見てみた
この手は
何をなし得たのだろうかと
愛するものを愛で
抱き上げた 手
褒めるのに
頭を撫でた 手
時には叱って
つい出てしまった 手
沢山の絵を
描いては消した 手
沢山の詩を
送り出した 手
庭を作り
笑顔を生み出した 手
手
僕の手
思ったよりも
振り返れば
沢山の事をしてきた 手
ぎゅっ、と握った
やる気になる
また開いた
やる気が形になる
「手」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
彼女が言った
彼女の周りの人が
数人振り向いた
振り向いたのは
彼女の友人なのか
それともこれから友人に、と
そう思っているのか
ただ、声がしたから振り向いたものか
振り向かなかったのは
彼女の声が聞こえなかったか
知っていても、無関心か
どちらかと言えば好きじゃないからか
彼女が言った「あ」に
これからの人間関係の
種が入っていた
帰って「あ」を書いてみたくなった
浮かべた出来事と「あ」の形
もしかすると
「あ」の右の
ちょびっと出たのは
種から出た芽かもしれない
そんな閃きのせいか
僕の書いた「あ」は
ゲシュタルト崩壊して
斬新な未来になっていた
「あ、の種」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
ひそひそ聞こえる
冬の声
今はまだ雨に混ざって
冬の声
そのうち風が冷たくなって
冬の声は
大きくなるけれど
街路樹の葉を
たんと落として
山の裾まで
雪に染まると
白い息が
空に帰って
雪になって
また戻る
冬の声
ひそひそ、ざわざわ
冬の声
今はまだ雨
「冬の声」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
広げて
頭をいれたら
5つの点を持っている
お空のお星様と
おんなじような
形になる
あそこから来て、
あそこに帰るんだ
だから、みんな
お星様になるんだ
だから、みんな
輝いている
だから、みんな
悲しいんだ
居なくなったら、悲しいんだ
だけども、
悲しみ過ぎちゃ
いけないよ
だって僕も君も
星になるんだから
「ヒトと星と」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
どんなに楽しくなくても
どんなに辛い毎日が
風呂栓の鎖の玉のように
続いたとしても
その鎖の重さに
圧し潰されない様に
引っ張ってなんとかしようと
食いしばった顔を
見せないように
笑顔でいよう
いつか、その鎖を絶ち切って
──ふっと
今までの辛いのが
嘘みたいに軽くなるまで
笑顔でいよう
軽くなったら、その時は
今までの分を泣いてしまおう
泣きやんだら
今までとは違う
笑顔になろう
「笑顔」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
外景色の窓は
鏡になって
真っ黒な星の池になった
電飾がチカチカ灯るツリーと
並んだ子供の顔を映して
ずっと先の未来まで
深く続いていた
心待ちにしてるのは
サンタクロースなのか
クリスマスなのか
分からないけれど
どっちの顔も
明日、明日と 輝いていた
鈴生りの雪が
音をたてる頃には
君達の笑顔は
きっと一番星になる
その笑顔を一目見たら
サンタもクリスマスも
きっと喜んで
明日の一等星になる
「窓の向こうはクリスマス」
星影 流
#詩
#AIイラスト

竹林の11人の小人
退屈だと嘆いた
月の可愛い 独り言
そんな独り言を
風が掬って遡泳(そよ)ぐと
退屈な空は 河になった
下弦の半月 天の河で
慣れない水遊び
ドンブラせっせ、と
泳いでみると
風は優しく微風を吹かす
「やめたくなったらご遠慮なく」
風の折角の心遣い
さながらの水は
月にはまだ尚早だった
「次の満月にもう一度お願いします」
風に甘えて月が言う
今夜の闇は 何時もと違う
紫紺の優しき 月光含み
垂水の雫に 風、遡泳ぐ
「垂水、月光。後、優風の夜」
星影 流
#詩
#AIイラスト
#月の写真


竹林の11人の小人
全部で24頁の本を読み始めた
本棚には
生まれた時から始まった
そのシリーズしかない
僕の名前のついた
そのシリーズものは
時に退屈で
時にドキドキして
時には目を背けたくなる
眠る時に閉じるまでの
タイトル替わりに
今日の日付を打った
その短い本は
まだ 始まったばかり
「今日という名の本」
星影 流
#詩
#AIイラスト

竹林の11人の小人
小さくなったり大きくなったり
気持ちは不思議
見えない大きさが
増えたり減ったり繰り返す
こんなに
たった
これだけの
胸の中
それだのに
伸びたり縮んだり
広かったり狭かったり
心の中は
無限に狭い
心の中は
無限に伸びて
とっても不思議
「心の無限」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
言葉を一つ
水面に触れたなら
瞬く間に
触れた所から
木々の緑や
花や蝶
鳥の囀りと動物達
めくるめく極彩色の
総天然色の世界が動き出す
空には数多煌めく星々の
甘く歌う吐息
その吐息が
星座を象って
銀河の果まで
飛び立つ人達
そんな何もない所から
始まる言葉を
僕は詩いたい
無から想像する幻想にも似た詩を
僕は詩いたい
揺らめく心を詠んでいたい
彗星の様に来ては去る季節を歌い
美しいままの森羅の
そこはかとない刹那を切り取り
誰かに見せたい
そんな言葉の一雫を
僕は届けていたい
「言葉の一滴」
星影 流
#詩
竹林の11人の小人
一体何と比べよう
心の形と色を知らままで
一体何と例えよう
アンシンメトリーな
心はアンバランスな危うさのまま
いつもは奇跡のように
釣り合っているだけで
見ていると
今にも闇の中
落ちてしまいそうだから
目を背けたくなるけど
その目を背けたなら
誰も僕を見なくなるだろう
ただ一人僕の小さな
一番の味方は
僕自身なんだろう
心がバランスを取って
皆が見に来てくれるんだ
そうして
荒野に花が咲いていく様に
人の輪が咲き誇ればいい
「アンシンメトリーな心を見つめて」
星影 流
#詩
