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竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

詩作中心。たまに短歌を詠む。 景色、風景の美しい写真は大好き😍
不動産・建築・インテリア
散歩
写真撮影
ガンダム
マンガ
話を聞くのが好き
アニメ
音楽
旅行
読書
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

寒月独歩 雲の中
氷のザラメの風に吹かれて
細めるばかりの身の上を
襟を立てながら独り行く

寒月独歩 紫紺の空
いつもながらの散歩道
季節に揺蕩うそのすがら
こうして下界を見て過ぎる

あぁ この頃の滑空する北風を
あの人達はさぞや寒かろう

あぁ この身も寒き事なれど
あの人達は もっと寒かろう

寒月独歩 月は知らない
見上げた人の心にも
月とおんなじ 気持ちがあると
知らない同士の 暖かさを

「寒月独歩」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY11
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

ベビーパウダーの匂いって
嗅いだら何だか懐かしい

ベビーパウダーの白い粉
手触り何だか柔らかい

春の野原に行って
綿毛になったタンポポを
一つずつ摘んで
はたいて出来たみたい

ふんわりした香りと
ほわほわした手触りと
胸に仕舞った
レコードが憶えている

「ベビーパウダー」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY150
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

#寝るときのこだわり
GRAVITY
GRAVITY114
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

ぼんやり…
ただ ぼんやり と…

午後の光が漂う波を、
誰かか来るまで眺めていた。

波は漣。
向こうの岸壁から、
まるで鼻歌交じりの陽気で、
こちらの疲労や苦悩など、
まるでお構いなしの様相。

それが 西風に乗って、
こちらへ 来る。

待っている人は まだ 来ない。

また、待つ。
そして 眺める。

その間、陽気な波が縁日の人出の様に、
こちらへ押し寄せてくる。

私のいる岸壁は、
とうとう 船になった。

どんどん引き寄せられて、
何処へと向かうのか、
ゆっくりと、進み始めた。

胸が はしゃぐ。
旅に出られるのだ。
この倦怠の日常を脱して、
旅へと 出るのだ。

いざ向かわん。何処(いずこ)かへ!
出港の汽笛を鳴らそう。
そうして あの海原へ。

しかし、
私を呼ぶ声が する。
私は岸壁へ引き戻されて、
短い旅の ほんのさわりに、
未練を残して 波と別れた。

漣の鼻歌を 背中にして…

「漣の出発」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY105
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

はらり。
一枚落ちる度、
浅い眠りに夢を見る。

熱に咲く花の、
はらり…落ちる花弁は、
同じ花房から、
それぞれ違う色の花弁を、
一夢のその都度に、
散らしている。

他人の夢を、
覗い知る事は出来ないけれど、
真夏の夜の夢の花の、
散っては咲く、
その姿。
見る事ができるなら、
春の山野の繚乱よりも、
きっと、鮮やかに映るだろう。

闇夜に映えて、
きっと、美しく映るのだろう。

そうに違い無い。

「一夢の花弁」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY72
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

闇を漕ぎ いずこ向かわん
雲もまばらに 侘しい闇を
漂う様な 漕ぎ足では
いずれ揺蕩う 三日月孤月

孕んだ夜風 熱含みの風
我が夜を照らせ 我も亦、一人
孤月の揺蕩うまにまに
我も行こう 夜風通り

時々で良いから こっちを見ておくれ
風しか行かぬ この通りの 
足元寒い 我が行く道を

連れなど要らぬ 一人行脚
孤月、其方と 二人旅
いずれ揺蕩う 道すがら

「孤月、二人」
星影 流
#詩
#ソネット
GRAVITY
GRAVITY73
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

キラキラした気持ちの欠片
砕けてしまった思い出の欠片
それを拾い集めるのは
真夜中の様に沈んだ時

真夜中キャンバス
落ち込んで いじけた心は人差し指
真夜中キャンバス
砂をいじる そして見つかるキラキラ

一つ摘んだ欠片はすぐに
二つ目見つけてみたくなる
次々、見つけてみたくなる
沢山、もっと、いっぱいに

真夜中キャンバス
貼り付けた もう分からない記憶の欠片を
真夜中キャンバス
貼り付ける 見つけて浮かべた黒い画布

貼り付けながら 忘れてる
暗い気持ちはもういない
真夜中キャンバス 気付いたら
朝がきらめく青空が
埋め尽くされてそこにあった

思い出の欠片はモザイクタイル
ガラスよりも きらめいて
ひび割れた思い出達の境界さえ
今は一つの キラキラキャンバス

「真夜中キャンバス」
星影 流
#詩
#AIイラスト
GRAVITY
GRAVITY31
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

早く目覚めた朝は
少し遠くまで足を進めて
街が目覚める前の
風を捕まえに行きたい

どうせ暑くなる今日も
目覚め前の風の冷たさならば
どんなにか 幾分かは
慰めになる筈だけど

寝息は熱風を吹かせて
河沿いの道は蒼いまま
今日は想像すら届かない暑さになる

家の前の小さな川に涼風が吹く
帰り道は風が変わって捕まえたい風は
ずっと近くにあったと気付いた

「川と河、蒼と青」
星影 流
#詩
#イマソラ
#ソネット

(Xとnoteと、ここGravityとの初同時展開…)
GRAVITY
GRAVITY71
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

夜空は今、
暗さのラッシュアワー。

ひしめき合う闇が、
空のホームで押し合っている。

駅の係り員の、
やはり真っ黒な後ろ姿は、
殺到する闇を、
飽和した黒塗りの客車へ、
ぎう、ぎう、と、
押し込んでゐるのが見えた。

私が上げた紫煙を、
発車の兆しと勘違いして、
尚の事、
客である闇は、
蒼くなる迄に、
慌て始めた。

駅の係は私を睨む。

なんて事をするんだ、
そう、言わんばかり。

やがて、すべての闇を乗せて、
暁行の鈍行は、
雲を吐きながら、
ホームを出ていくのだ。

品の良いご婦人ではない私は、
見送りの紫煙を、
ぽかり、
雲の蒸気に被せた。

「暁行」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY49
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

オレンジがラメに輝く
雲の稜線を
何度も眺めてきた
何度も見上げてきた

暖かいな あの色は
綺麗だな あの雲は
見かける度につく溜息
それは憧れと諦め

描きたくても描けない
もどかしさと
いつかは描きたい想い
水と油を混ぜて
心が動く

夕映え 煌めきながら
風に形を変え流れ
どうしよう とても綺麗

雨上がりの空は
洗いざらしでさっぱりして
何もかも洗い流して
とても綺麗

「夕映え」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY38
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

たんぽぽ まんまる
綿毛はほわほわ
飛び立て、飛び立て
近くへ、遠くへ

まんまる綿毛
僕も乗せてよ
まんまる姿は
シャボン玉

風が吹いて
暖かな空を
何処かに辿り着けるなら
ふっと吹きかけて
風に乗って
何処までも

「綿玉」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY65
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

The forest as a forest
There is a place where existence must be protected
That is the root of the forest
The place is the cradle of the forest spirit
The trees are dead
There is a place where the soul can rest to be born again
The place is deep in the forest
It's very high up
In a place so deep that people get lost
On a tree that no one thinks is
The reason why it is called a forest of forests
To protect the forest itself
Surronded by a veil of mystery
In a deep,deep place
There is a perch for the souls of the trees.
「deep forest perch 」
N.Hoshikage

#poem #poetry
#詩
GRAVITY
GRAVITY56
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

旅に疲れた旅人は
夜になっても
足を止めずに
ひたすら、ひたすら
向かうのは
忘れてしまった幸せ一つ

夜凪は今宵
残酷なまでに静か
まるで静寂の砂漠
静かな乾いた砂が
何もかもを奪い去っていく様で

倒れ込んだ旅人を
月が覗いて語りかける
この孤独の夜の静寂の砂漠に
貴方にだけ歌おうか、と

見上げた空に花の月
月光だけが波をたてて
この砂漠を潤していった
気付いた瞳に泪が浮かぶ

旅人は疲れてやがて眠る
月が歌った子守歌は
誰も知る事は許されぬ
旅人にだけ贈った
優しい歌

「花月の歌」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY20
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

一度、触れたら音色を奏でる
そんな人になってみたい
触れた人が聴きたい音を
幾つも出せるそんな人に

何で触れられたいかを
声高に叫ぶよりも
何で触れられたって
十色の音を奏でられる

綺麗な音かな
それとも不格好かな
響くかな
それとも耳障りかな

試しながら
試されながら
人は重なって
澄んだ音になる

「人音」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY20
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

みどりの風が入ってきた
ほんの少し 開けた窓から

みどりの風はそのまま
僕の部屋をキャンバスに変えた

白かった壁や天井を
淡い緑に染めたから
次は何が起こるのか
風を待った

次に入ってきた風は
みどりのキャンバスに
青や群青で
誰ともしれない誰かの
肖像を描いた

見覚えは無い面影だ
知らない顔だ
だけど不満は無かった

キャンバスに描かれた青い絵は
まるで刺繍糸の様な柔らかさで
僕の部屋を包むから
僕は知らない顔に見守られて
眠ってしまった

「寒色の糸絵」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY19
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

落ちて二度咲く
花弁の川の
流れ着く先に
次の季節が
待っているのかな

星影 流
#五行歌
GRAVITY
GRAVITY47
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

【普段の御礼】
詩を書いているだけで、あんまり訪問もしない僕の投稿に、いつも「いいね」してくれる皆さまへ、読んでくださる方々へ、一言御礼を申し上げたい。

ありがとうございます🙇

GRAVITY
GRAVITY58
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

「おかえり」
そう言った

眠っている間は留守だった
生命の膨らみがいや増して
帰ってきた四季彩の
日々追うごとに
鮮やかになってきたから

「おかえり」
そう言った

胸がときめいていく
雪に閉ざされ枯れ果てた
野山が帰ってきた

「おかえり」
そう言っても
「ただいま」
とは、言わない
鮮やかな四季彩が
替わりに応えてくれる

「ただいま」、と

「四季彩のただいま」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY23
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

花房そっとのせて
のぞきこんだ手のひらは
さながら出来た小さな庭

一つじゃ寂しかろうかと
もう一つのせたら
落ちた花房喜んだ

僕も同じだ 道端に
転げ落ちた落ち零れ
見上げた天には誇らしく
栄華の花を咲かせた人達

悔し涙の一粒が
手のひらに落ちて池になった
小さな池には星一つ
光を落として言ったっけ

君も僕も桜も同じだ
ほら、手と足を広げて
大の字になったと想像してごらん
みんな、同じに見えないか?
落ちていたって
落ちたって
みんな、五枚と五芒と五体の
おんなじ形の
おんなじ仲間
見上げてばかりじゃ見失う
手のひらの中の仲間達

それだけ言って
花房の桜も星も
風がさらって帰って行った
峠の道の風の中で
優しい微笑みだけを残して

「五の仲間達」
星影 流
#詩
#AIイラスト
GRAVITY
GRAVITY98
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

木立が囃す
とおりゃんせ、とおりゃんせ
伸ばした指先くっつけて
お蔭で暗くて
見えなくなった空

長い坂道は
いつの間に拓けて
隠された暗がりに
無頓着なまでの
青空 抜けた

まだ坂の途中から
あの空は春のような顔して
こっちへ手招きしてる

早く来い、来い

せっかち気味な
空の手招き

春はとっくに来ていたのに
僕はまだ春になれずにいた

それを坂の天辺にいる
抜けた青が
僕の中で寝坊している春に
忙しく呼びかけていた

「春坂の空」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY45
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

心が溶けた、溶け出した言葉
誰に見せる事も無い言葉
誰も見ては、くれなくても
別にいいさ、そんな言葉

それを集めて、「詩」と呼んだ
それを音にして、「歌」に詠んだ
誰も見ては、くれなくても
知らない何か、振り返らなくても

誰かとすれ違うようなもの
心が混ざる言葉の群れ
それは顔を見せて歩いていのと同じ

心と顔とはきっと同じ様に見える
それが今まで溶かしてきた
今ある全てのまま

「言葉の顔」
星影 流
#詩
#ソネット
GRAVITY
GRAVITY29
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

何処かから聞こえてくる音を
夢現に聞いていた
不思議な音だった

向かいの山の山頂の
鐘撞堂から聞こえたものか
いいや、冬季は入山できない筈だ

鐘撞堂の鐘にしては
随分、教会の鐘の音に似ていた

らろんらろん
ごろらろん

輪唱する鐘の音

ららろんららろん
ごろろららろろん

空の上からこんばんは
天空の鐘のご挨拶

不思議な音の正体を
知らないままでいたい

あれはきっと
天空の鐘

春を告げに
風が鳴らした鐘の音

「天空の鐘」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY10
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

涙に乗せた
色一つ
心が映る
色一つ

水色涙は
悲しみ色
誰も知らない悲しみを
涙はちゃんと知っていて
心の外に
連れて行く

海色涙は
寂し色
喪った寂しさが
滲み出す
悲しみよりも深い青
沢山流して
欠けた心を埋めていく

黄昏色の涙には
同じになった
心が映る
誰かの喜びが
感染って流れる
優しさで出来た涙色

桃色涙は恋涙
誰かを想って
滲む色
何度も流した
水色が
悲しさ失くした
想い色

赤色涙は
嬉しい色
心が温もりに染まる時
温もりが滲みた
揺れ動く心の
熱い涙

涙と出会う時
どんな色の涙かを
誰かが気付いてくれたなら
それを分かってくれたなら
涙は虹色
空に帰る

「涙の色」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY8
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

僕達は
野に咲く花のように
生きている

僕達は
花のように
雌雄を同じくしている

詩と言う名の花粉を飛ばしたり
また別の花粉を飛ばして
どこかの誰かの受容体に辿り着き
刺激になったり、
創意になったり、
感動を産んだり、
また何にも起こらなかったり、する

僕達は
感性の受容体の他にも
幾つかの受容体を持っている様で
「幸福」を感じる物があるらしい

幸せ受容体は
他の人の放った花粉や
結実して出来た
二次的花粉を受け取る

受け取れば受け取れるほど
受容体は豊かになって
小さな出来事にさえ
幸せに感じられるようになるらしい

幸せ受容体を育てよう
小さな事に
大きく感謝を
感じられる位に

幸せ受容体を感じよう
あちらこちらにある
幸せの花粉を
感じられる位に

「幸せ受容体」
星影 流
#詩
#AIイラスト
GRAVITY
GRAVITY19
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

僕達は
野に咲く花のように
生きている

僕達は
花のように
雌雄を同じくしている

詩と言う名の花粉を飛ばしたり
また別の花粉を飛ばして
どこかの誰かの受容体に辿り着き
刺激になったり、
創意になったり、
感動を産んだり、
また何にも起こらなかったり、する

僕達は
感性の受容体の他にも
幾つかの受容体を持っている様で
「幸福」を感じる物があるらしい

幸せ受容体は
他の人の放った花粉や
結実して出来た
二次的花粉を受け取る

受け取れば受け取れるほど
受容体は豊かになって
小さな出来事にさえ
幸せに感じられるようになるらしい

幸せ受容体を育てよう
小さな事に
大きく感謝を
感じられる位に

幸せ受容体を感じよう
あちらこちらにある
幸せの花粉を
感じられる位に

「幸せ受容体」
星影 流
#詩
#AIイラスト
GRAVITY
GRAVITY15
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

はにかみ屋のキミは
なかなか顔を出さない
いつもモジモジして
隠れがちで

あのコとは違う
キミの訪れは
いつでも待ちくたびれて
焦れったい

そんなキミを待っている人を
知っているから
野に、田の畦に、
その人の数ほどの
土筆を出して応える事を
僕は知っているつもり
キミは、だけど
まだ、はにかんだままで
そっぽを向いて
花を咲かせる風に隠れた

「キミ=春」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY4
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

いつも通りでは無くなった
「いつも」を何に置き換えるべきか
悩んで、行き当たって
立ち止まると、
決まって甘いものを手に取る

ティラミスを一口
忽ち、甘い
マスカルポーネと
一緒にマッタリ

それが出来ると
幸せだ
それが出来ないと
また、行き当たる

それを楽しめる程の達観は
未だ、ない

「ティラiミス」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY2
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

眠っているのさ
君や僕の中に
思い出が
感動が
眠っている

ずっとくすくすと
燻されて
想いになれない
花詞(はなことば)

気付いて、捕まえた
宇宙の様な
心の中の
あれやこれを
素直なままで
言葉にしたら
それは詩になる
花詞

「花詞」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY18
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

ずっと聴いていた
潮の詩を

赤子の頃より聴いてきた
その詩を

今は忘れてしまった
その詩の
母の胸で聴いた筈の
潮の聲は

今は思い出せないでいるけれど
きっと、
どこかに流れている

あの厳しくも、優しい
潮の詩が

「潮の詩」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY16
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

薪をくべたぬくもりは
体もゆっくり、暖めて
目を通して、
はぜる薪と、
耳を通して、
パチパチとその音を聞くと
心の中まで
ぬくもりが伝わって、
自然と僕も
薪と同じ、
笑顔がはぜる

「薪ストーブのフロア」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY30
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

僕の中には
いつも、ボクはいない
どこかの空で
歌っているから

想像の中の
だだっ広い空を
自由を翼にして
飛び回っているんだ

目を閉じてごらん
ボクの歌が
どこからか聴こえてこないか?
淋しい時や
堪えきれない時は
目を瞑ったら
飛んでくる
ボクにきっと、会える

欲しい言葉で
歌を歌うよ
君に、誰にも
一番よく似合う
服を選ぶように
髪を梳かすように
ボクの歌を聞いて
眠ると良い

空飛ぶボクを
想像の中で
捕まえた後に
眠ると良い

「空飛ぶボクを捕まえて」
星影 流
#詩



GRAVITY
GRAVITY13
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

迷い言葉は漆黒の黎明に。
姿を探すよ、主人を探す、
朝露に。
早すぎる雨に。
それから、
朝霧に姿を紛らせて。

意味を失ったから、
何処へ向かおうかと、
洗い流しているんだ。
通ってきた道を。

そうしてもっと、
誰が言葉の主だったかを、
すっかり忘れた言葉達が、
終電の後の座席の、
忘れられた傘みたいに、
しょげた顔で…

可哀想な言葉を、
僕達は集めて…慰め、
素敵な言葉の
お布団に打ち直してあげよう。

誰もが、
この冬の街に心を冷やしているから。
誰もが、
忘れた言葉で蘇られる様に。

迷い言葉は、
いなくなる。
朝の、露も、雨も、霧も。
みんな、お布団になる。

言葉のお布団を、
みんなで作ろう。
それが、きっと、
詩詠いの お仕事だ。

「詩詠いのお仕事」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY46
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

冷たい雨が 霧を呼んだ
白々と立ち込めて
薄暮の刻に
町並みは 霧に沈む

霧は大地が吐いた
白い吐息に
声の便りを
精霊に持たせる

「雪が近いよ」

精霊が囁く
声が凛となる

冷やされた大地の
にわかに出てきた声の主は
深く被ったニットの
僅かに出た耳元のポストに
声の便りを届けに来た


「霧の精の声便り」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY22
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

最高な物は
ちょっとだけ欠けてていい
少しだけたりなくて良い
望むのは完全な美ではない
完全になれない美だ

あと1ミリあれば届く円
あと1ミリあれば円になれるのに
その1ミリが無いから
円にはなれない

僕の追いかけているものは
きっとその1ミリ
届いちゃいけない間際の
届きそうで届かない

より完全にどれほど近づけるか
完全になれない、してはいけない
些細な欠損に
僕は美を求めて
探す最高がある

「閉じない円の美」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY9
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

波は風のゆりかご

うねる波と逆巻く風

出会いは冬の、
残酷な程の冷気の中で

導かれたような、
当たり前だったような

風は気づいたら
波の湾曲の優しさに
まるで、初めから
風に合うように
パズルのピースを嵌め込むように

波の歌は風を眠りに導いて
風の声は波を励ました

雪降る日の
波間に見た 子守歌

「ゆりかごの歌」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY69
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

僅かな光を求めて
黒炭色が染みた道に出る
月はいない
星さえ いない
あるのは
星の替わりにと
人が作り上げた街灯の
冷めた光だけ

夜空が好きだ
光ある 夜空が好きだ

星の絨毯と
その中を漕いでいく
三日月の舟の
悠久の旅を
夢物語の様に見るのが好きだ

例え夜空に 光がなくても
太陽の光だけは
夜空には求めない

この暗色の世界は
静かで
何かあっても 見えない
それを照らす星月の
僅かな光が
そこに何が有るのか
やっと 教えてくれる

それがいい

太陽の様に
はっきり照らしてしまうと
それがそれでしかなくなる
星月の様に
ぼんやり照らしてくれると
それかもしれないし
あれかもしれないし
どれとも違うかもしれない
想像が生まれるから

星の絨毯と月の舟は
想像の海の航海を
やおら駆り立て
僕を虜にするのだ

「星月航海」
星影 流
#詩
#AIイラスト
GRAVITY
GRAVITY61
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人


僕の手
そんなに大きくもなく
そうかと言って小さくもない
普通の人の 手

じっと見た
啄木のように
じっと見てみた

この手は
何をなし得たのだろうかと

愛するものを愛で
抱き上げた 手
褒めるのに
頭を撫でた 手
時には叱って
つい出てしまった 手
沢山の絵を
描いては消した 手
沢山の詩を
送り出した 手
庭を作り
笑顔を生み出した 手


僕の手
思ったよりも
振り返れば
沢山の事をしてきた 手

ぎゅっ、と握った
やる気になる

また開いた
やる気が形になる

「手」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY19
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

「あ」
彼女が言った
彼女の周りの人が
数人振り向いた

振り向いたのは
彼女の友人なのか
それともこれから友人に、と
そう思っているのか
ただ、声がしたから振り向いたものか

振り向かなかったのは
彼女の声が聞こえなかったか
知っていても、無関心か
どちらかと言えば好きじゃないからか

彼女が言った「あ」に
これからの人間関係の
種が入っていた

帰って「あ」を書いてみたくなった

浮かべた出来事と「あ」の形

もしかすると
「あ」の右の
ちょびっと出たのは
種から出た芽かもしれない

そんな閃きのせいか
僕の書いた「あ」は
ゲシュタルト崩壊して
斬新な未来になっていた

「あ、の種」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY5
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

冬の声
ひそひそ聞こえる

冬の声
今はまだ雨に混ざって

冬の声
そのうち風が冷たくなって
冬の声は
大きくなるけれど

街路樹の葉を
たんと落として
山の裾まで
雪に染まると
白い息が
空に帰って
雪になって
また戻る

冬の声
ひそひそ、ざわざわ

冬の声
今はまだ雨

「冬の声」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY16
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

両手と両足を
広げて
頭をいれたら
5つの点を持っている

お空のお星様と
おんなじような
形になる

あそこから来て、
あそこに帰るんだ

だから、みんな
お星様になるんだ

だから、みんな
輝いている

だから、みんな
悲しいんだ

居なくなったら、悲しいんだ

だけども、
悲しみ過ぎちゃ
いけないよ
だって僕も君も
星になるんだから

「ヒトと星と」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY16
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

笑顔でいよう

どんなに楽しくなくても
どんなに辛い毎日が
風呂栓の鎖の玉のように
続いたとしても

その鎖の重さに
圧し潰されない様に
引っ張ってなんとかしようと
食いしばった顔を
見せないように

笑顔でいよう

いつか、その鎖を絶ち切って
──ふっと
今までの辛いのが
嘘みたいに軽くなるまで

笑顔でいよう

軽くなったら、その時は
今までの分を泣いてしまおう
泣きやんだら
今までとは違う
笑顔になろう

「笑顔」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY21
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

黒の裏地を貼ったら
外景色の窓は
鏡になって
真っ黒な星の池になった

電飾がチカチカ灯るツリーと
並んだ子供の顔を映して
ずっと先の未来まで
深く続いていた

心待ちにしてるのは
サンタクロースなのか
クリスマスなのか
分からないけれど
どっちの顔も
明日、明日と 輝いていた

鈴生りの雪が
音をたてる頃には
君達の笑顔は
きっと一番星になる
その笑顔を一目見たら
サンタもクリスマスも
きっと喜んで
明日の一等星になる

「窓の向こうはクリスマス」
星影 流
#詩
#AIイラスト
GRAVITY
GRAVITY21
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

何にもない暗闇が
退屈だと嘆いた
月の可愛い 独り言

そんな独り言を
風が掬って遡泳(そよ)ぐと
退屈な空は 河になった

下弦の半月 天の河で
慣れない水遊び
ドンブラせっせ、と
泳いでみると
風は優しく微風を吹かす

「やめたくなったらご遠慮なく」
風の折角の心遣い
さながらの水は
月にはまだ尚早だった

「次の満月にもう一度お願いします」
風に甘えて月が言う

今夜の闇は 何時もと違う
紫紺の優しき 月光含み
垂水の雫に 風、遡泳ぐ 

「垂水、月光。後、優風の夜」
星影 流
#詩
#AIイラスト
#月の写真
GRAVITY
GRAVITY35
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

開いた本の今は7頁
全部で24頁の本を読み始めた
本棚には
生まれた時から始まった
そのシリーズしかない

僕の名前のついた
そのシリーズものは
時に退屈で
時にドキドキして
時には目を背けたくなる

眠る時に閉じるまでの
タイトル替わりに
今日の日付を打った
その短い本は
まだ 始まったばかり

「今日という名の本」
星影 流
#詩
#AIイラスト
GRAVITY
GRAVITY14
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

伸びたり縮んだり
小さくなったり大きくなったり

気持ちは不思議
見えない大きさが
増えたり減ったり繰り返す

こんなに
たった
これだけの
胸の中

それだのに
伸びたり縮んだり
広かったり狭かったり

心の中は
無限に狭い
心の中は
無限に伸びて
とっても不思議

「心の無限」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY34
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

何もない水面に
言葉を一つ
水面に触れたなら
瞬く間に
触れた所から
木々の緑や
花や蝶
鳥の囀りと動物達
めくるめく極彩色の
総天然色の世界が動き出す

空には数多煌めく星々の
甘く歌う吐息
その吐息が
星座を象って
銀河の果まで
飛び立つ人達

そんな何もない所から
始まる言葉を
僕は詩いたい
無から想像する幻想にも似た詩を
僕は詩いたい

揺らめく心を詠んでいたい
彗星の様に来ては去る季節を歌い
美しいままの森羅の
そこはかとない刹那を切り取り
誰かに見せたい

そんな言葉の一雫を
僕は届けていたい

「言葉の一滴」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY27
竹林の11人の小人

竹林の11人の小人

心の大きさ知らないままで
一体何と比べよう
心の形と色を知らままで
一体何と例えよう

アンシンメトリーな
心はアンバランスな危うさのまま
いつもは奇跡のように
釣り合っているだけで
見ていると

今にも闇の中
落ちてしまいそうだから
目を背けたくなるけど

その目を背けたなら
誰も僕を見なくなるだろう
ただ一人僕の小さな
一番の味方は
僕自身なんだろう

心がバランスを取って
皆が見に来てくれるんだ
そうして
荒野に花が咲いていく様に
人の輪が咲き誇ればいい

「アンシンメトリーな心を見つめて」
星影 流
#詩
GRAVITY
GRAVITY49