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ハ月

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#小説のなかの好きな一節 #INTP
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#小説のなかの好きな一節

きれいなうしろ姿のきみは、あの光景にじつによく調和していた。あまりにも調和しすぎていて、ぼくは、不憫に思った。年下のぼくが、不憫に思った。なぜ、不憫かと言うと、あまりにも似合いすぎている。その風景から、いつまでもきみは抜け出すことが出来ずに、そのまま埋もれてしまうのではないか、という思いが誘発されてくるからだ

片岡義男『きみを愛するトースト』

(この引用の下に当時の自分のメモ有り)

……

彼から見た私がこんな風に映っていたら悲しい。「その風景から、いつまでもきみは抜け出すことが出来ずに、そのまま埋もれてしまうのではないか」という一文に、自分の今を重ねてしまった。自分のやりたいこと、目標、将来の夢、持ち合わせている資格などが、果たして今いる地で叶うのか、役立つのか、このまま過ごしていて将来、大丈夫なのかと。隣にいる彼の横で、彼のために笑い続ける道を、本当に選んでいいのかと。それがやりたいことなのかと。まだ間に合う。私だけの、大切な人生を、ちゃんと本当の意味で考えて、行動しなくてはいけない。

……

2021.1.25のスケジュール帳からメモを発見。
おそらく、お互いが恋に恋していたんだ。
世界は必ずしも恋人がすべてじゃない。
あの頃はただただ彼について行くことしか出来ず、このまま結婚して、扶養に入りパートでもするのかと思っていた。
なんだか閉じ込められた気分だなって、思っていた。
ところがそんな未来はあらず。
私もかつての恋人ももうとっくに自由です。
今の私にこの一節はスコンとも響きません。
多分、あの頃より心は豊かです。
幸せ、とは言いません。きっとあの頃もそれはそれで幸せだったので覆したくないから。
幸せだっただろう過去を、比べてつらかったな、、なんて、過去の私が救われない。
だから、今の方が、あの頃よりよく眠れます。
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