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#惑星初投稿
短編書いたのでもし良ければ感想ください


code.1


## 1


region.123、zone.456。白と黒のみで構成された空間に、human.123は立っていた。


ある日、123は唐突に思った。「好きな人がほしい」


それは突然、意識の表層に浮上した言葉だった。理由はわからない。ただ、marginを歩いているとき、house.123で目を覚ましたとき、反復されるその言葉が123の内側で響いていた。


123の手にはobject.111があった。黒い立方体。角が丸く削られ、手のひらに収まる大きさ。123はこれを長い間、お気に入りとしていた。理由は説明できない。ただ、手に持つと落ち着いた。


その日、park.000を通りかかったとき、123はhuman.234を見た。


234は白いベンチに座り、object.222を眺めていた。円柱状の物体。表面に規則的な溝が刻まれている。234の視線は、object.222に注がれたまま動かなかった。その静止した集中に、123は何かを感じた。


「自分は234のことが好きなんだ」


123はそう結論づけた。論理的な過程はなかった。ただ、234がobject.222を眺める姿を見て、123の中で何かが確定した。


だから、object.222を手に入れなければならない。そうすれば234との距離を縮められる。123はそう考え、store.987へ向かった。


## 2


store.987の内部は、白い壁と黒い床で構成されていた。整然と並べられた棚に、様々なobjectが配置されている。


123はobject.222を探した。円柱状の、表面に溝のある物体。それは棚の中段にあった。123が手を伸ばしたとき、声がかかった。


「自分ももっています」


振り返ると、human.345が立っていた。345の手にはobject.111があった。123が持っているものと同じ、黒い立方体。


「それ、いいですよね」と345は言った。


「ええ」と123は答えた。


「自分は、角の丸みが気に入っています。それと、重さの配分。持ったときのバランスがいい」


345の言葉は具体的だった。123は自分がobject.111について、そこまで詳しく考えたことがなかったと気づいた。


「そうですね」と123は曖昧に答えた。


「あなたは、どこが好きですか」


123は少し考えた。「触ったときの感じ、でしょうか」


「ああ、わかります。表面の質感ですね」


短い会話。345は微笑んだように見えた。この空間では表情は明確には見えないが、何かがそう示唆していた。


123はobject.222を購入し、store.987を出た。


## 3


park.000に戻ると、234はまだベンチにいた。


123は近づいた。手にはobject.222がある。234と同じものを持っている。これで何かが始まるはずだった。


「こんにちは」と123は声をかけた。


234は顔を上げた。123を見た。


「これ、お持ちですよね」123はobject.222を示した。


「ええ」と234は答えた。


「自分も手に入れました」


「そうですか」


234の視線は、123の手の中のobject.222に向けられた。しばらくの沈黙。123は何か言わなければと思った。object.222について。その特徴について。なぜ自分がこれを手に入れたのか。


しかし言葉が出なかった。


表面の溝は何のためにあるのか。なぜ円柱状なのか。123は何も知らなかった。ただ、234が持っていたから手に入れた。それだけだった。


「自分は、これから用事があるので」と234は立ち上がった。


「ああ、はい」


234は歩き去った。123は取り残された。手の中には、意味のわからないobject.222があった。


## 4


house.123に戻り、123は考え込んだ。


何が間違っていたのか。234と距離を縮めたかった。しかし失敗した。object.222を持っているだけでは不十分だった。


「好きな人がほしい」という最初の言葉を、123は反芻した。


そして気づいた。


「好きな人がほしいのではなく、自分を誰かに好きになってもらいたいのかもしれない」


主語が逆だった。123は234を好きだと思っていた。しかしそれは、234が何かに集中している姿を見て、自分もそうなりたいと思っただけではないか。234のように、何かに夢中になっている自分を、誰かに見てもらいたい。


ならば、必要なのは自分を好きになってくれる誰かだ。


123は345のことを思い出した。


345は、object.111について語った。具体的に。詳しく。345にとって、object.111は意味のあるものだった。そして123もobject.111を持っている。ならば、345は123に興味を持つかもしれない。


恋に落ちるかどうかはわからない。しかし可能性はある。


123はstore.987へ向かった。


## 5


store.987に着くと、345がいた。


345は入口付近に立ち、何かを待っているようだった。123を見ると、表情が変わった。


「また会えましたね」と345は言った。


「ええ」


「あなたのobject.111、もっと見せてもらえますか」


123は取り出した。345も自分のobject.111を取り出し、二つを並べた。


「少し違いますね。この角の削り方」


「本当ですね」


345は丁寧に、二つの差異を指摘していった。123は初めて、自分のobject.111をそんなふうに見た。


会話は続いた。時間の感覚が薄れた。白と黒の空間の中で、二人と二つのobject.111だけが存在していた。


「自分は、あなたと話していると楽しい」と345は言った。


「自分も」と123は答えた。


それは本当だった。234のときとは違う。345との会話には内容があった。object.111という共通項があり、そこから広がる話題があった。


「24時間後、同じ場所でまた会いたい」と345は言った。


「わかりました」


約束が成立した。123は満たされた気持ちでhouse.123へ戻った。


## 6


眠りについた123は、夢を見た。


夢の中で、234がいた。object.222を持ち、123を見ていた。


目を覚ますと、約束の時間まで残り少なかった。123は急いで準備をし、store.987へ向かおうとした。


marginを歩いているとき、声がかかった。


「こんにちは」


振り返ると、234だった。


「object.222、どうですか」と234は言った。


123は驚いた。234は覚えていた。park.000での出来事を。


「実は、あのとき時間がなくて。でも、あなたがobject.222に興味を持ってくれたのは嬉しかった」


234の言葉に、123の中で何かが揺れた。234は興味を失っていなかった。ただ、時間がなかっただけだった。


「今、少し時間があるので。よければ、object.222について話しませんか」


123は時間を確認した。約束まで、あと少し。


そして123は判断した。345は自分に好意を持っている。だから、少しくらい遅れても許してくれるだろう。それより今、234との機会を逃すわけにはいかない。


「ええ、ぜひ」と123は答えた。


## 7


234との会話は長くなった。


object.222の溝の意味。円柱という形状の理由。234は詳しく説明した。123は聞き入った。これが自分の求めていたものだと感じた。


気づくと、約束の時間を4時間過ぎていた。


「すみません、自分は行かなければ」と123は言った。


「ああ、引き止めてしまって。でも楽しかったです」


123は急いでstore.987へ向かった。しかし着いたとき、345の姿はなかった。


当然だった。4時間も遅れたのだから。


123は20時間待った。そして再びstore.987へ行った。


345はいなかった。


次の24時間後も。その次も。


何度訪れても、345は現れなかった。


## 8


123は理解した。


約束を破ったのは自分だった。345の好意は確かにあった。しかしそれは、123が誠実であることを前提としていた。


345の想いは、過去の会話や共通項だけで成立していたわけではない。これからの123の行動によって、初めて形作られるはずだったのだ。


契約は、夢の実現そのものではない。契約の後に、実際に相手への想いを行動で示し続けることで、初めて意味を持つ。


123はstore.987に入った。store.human.987に声をかけた。


「object.111のアップデート版はありますか」


「object.111.0ですね。あります」


123はそれを購入した。黒い立方体。角の丸みがより精密に調整され、重量バランスが改良されている。


「これを、もしhuman.345が来たら渡してください。123からの贈り物だと」


987は了承した。


## 9


24時間後、123はstore.987へ向かった。


345がいるかどうかはわからない。object.111.0を受け取ったかどうかもわからない。もう二度と会えないかもしれない。


しかし123は向かった。


約束の場所に立つ。それは、誰かにとって特別になるための唯一の方法だった。結果ではなく、継続する行為そのものが。


白と黒の空間。region.123、zone.456。


123は待った。


誰かにとって特別であるとは、主観性の中で最も強い優越性である。それは創作であり、独自の思想であり、愛である。


そして愛とは、告白時点で成り立つ現象ではなく、告白の契約に対する義務を果たし続けることである。


123は、その第一歩を踏み出した。


白と黒の世界で、約束の場所に立ち続けることで。

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