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『砂男/Theラブ人間』

起きてすぐ手首に傷があるのを見て、あぁそういえば昨日はいつも通っている居酒屋で同級と飲んだな、と思い出す。時計は朝の11時を回っており、カーテンから滲む暑そうな光みて、そろそろ遮光カーテンでも買わなければと思う。
飲みすぎてしまう癖はどうにも抜けない。同級のやつらは嫌いじゃいけれど、やつらとはどこか空虚な隙間があって、それがどうにも、もどかしくてむしゃくしゃするんだ。
あんなに楽しく飲んでいるのに、どこか俯瞰している自分もいて、なんだかやけに酒が冷たかった。その日は恋人に振られた日で、柄にもなく同級を誘ったから、やつらからは珍しいなおいなんて言われた。それもなんだか悔しかった。
耐えきれなくなって、のんでのんでのんで、そのまま潰れてその先は覚えてない。たぶん誰かがタクシーを呼んで駄賃を渡してくれた気がする。

こんなことにもならなきゃ、僕は気付かない馬鹿たれなんです。貴方を失わなきゃ、貴方の有り難さがわからない。愛してるよ、がなければ、みんなから愛されてることを実感できない。それじゃダメだなと、感謝してるフリをしたり、ごめんねをちゃんと言ってみたりして、そうやって精一杯装ってみる。けれど、それでもなんだか実感が伴わない。だからやっぱり僕は馬鹿たれなんだ。

ピンポーン、と。
不意にインターホンがなる。大家が家賃を徴収しに来たのかと焦ってインターホンまで駆けるが、違った。同級の山崎だった。
「おう、大丈夫か」
心配して無さそうな顔で山崎は僕に心配の言葉をかける。
こんな僕でも、こうやって心配してくれる人間がいる。暖かい気持ちになったのは、たぶん暑すぎる日光のせいだけじゃないと思った。
こうやって、日常のふとした瞬間に温もりがあるから、僕らは人間をやめれない。
「まあ、なんだ」
と山崎が頭の後ろをぽりぽりかきながら呟く。
「飲み、いくか」
「おう」
僕らはまたこうやって、馬鹿たれを続けて生きていくんだろう。
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