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かずら

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愛着理論に感じた違和感から

「ええんやで文化圏」という生存インフラへ

最初の違和感は、単純だった。

愛着障害?
愛着タイプ?
で、結局どれなん?

そう聞かれると、
理論上は「回避型」になるんだと思う。

でも、いわゆる回避型で語られる
「近づかれるとしんどい」
「親密さが怖い」
という感覚は、正直あまりない。

むしろ逆で、
自分から人に近づくし、
誰かと関わらないと寂しいし、退屈になる。

極端な話、
トラブルすらどこかで望んでいる節もある。

だから、愛着理論の枠に当てはめようとすると
どうしても引っかかっていた。



そもそも、自分には
「安全基地がある前提」が育たなかった。

物理的に養育者はいた。
育てられてもいた。
でも、信用の基軸が置けなかった。

言うことが秒単位で変わる。
基準が一貫しない。
圧倒的な権力勾配の中で、
「ここにいれば安全だ」とは思えない。

ただし、
完全に破綻していたわけでもない。

不成立だと言い切れるほどではなく、
でも成立しているとも言えない。

成立と不成立の瀬戸際にある安全基地。

これが、ずっと言葉にならなかった違和感だった。



愛着理論は、
安全基地が「基本的には安全である」ことを前提にしている。

原典には進化的サバイバルの視点もある。
ただ、現代社会において
安全ではなかった部分をどう引き受けるか
という設計までは、理論の射程外に見える。

ここで、問いが反転した。

愛着の問題で人が本当に困るのは、
「関係の質」だけなんだろうか。

人間関係が壊れる。
居場所を失う。
信用が切れる。

そのたびに
生きていくこと自体が不安定になる。

これはもう
「生存」の問題ではないだろうか。



愛着理論が整備された背景には、
暗黙の前提がある。

・福祉国家
・家族制度
・比較的安定した雇用と居住
・「死なないこと」は統計的に守られている社会

今も形式上は、これらは存在している。

でも現代では、

・自殺
・孤立死
・社会的死(居場所や信用の喪失)

心理的・社会的な断絶そのものが、
生存を脅かすリスクとして可視化されてきている。

高度に発達した社会では、
「関係が壊れること」=「生き延びにくくなること」
になってしまった。

この変化を抜きにして、
愛着理論だけで語ろうとすると、
どうしてもズレが生じる。



ここで視点が、個人から社会へ移った。

もし家庭の安全基地が
完全には安全でなかったとき、
その「安全ではなかった部分」は
どこで引き受けられてきたのか。

その答えとして浮かび上がってきたのが、
『ええんやで文化圏』だった。



「すまんな」
「ええんやで」

『優しい世界』と揶揄され、揶揄われながらも、
この一言で、
多くの失敗が回収されていた。

優しさでも、甘えでもない。

人が壊れずに失敗し続けるための文化的緩衝材。

思い返せば、
高度経済成長から不況期にかけて、
その一部はオンライン空間に移送されていた。

2chをはじめとする
場末のインターネット文化。

危険だと言われ、
人をダメにすると批判されながらも、
そこは確かに
「安全ではなかった部分」を受け止める
『ええんやで文化圏』だった。



しかし今、その空間も変質している。

犯罪の取り締まり強化自体は正しい。
ただ実態としては、
法的制裁の外側で行われる私刑や、
軽微な逸脱に対する過剰な断罪によって、
人が成長するために不可欠な
失敗や未熟さまで
一緒に排除されるようになった。

安心への渇望が強まるほど、
社会は失敗を許容しなくなる。

結果として、
安全基地の欠損を補っていた文化圏が
次々に消えていっている。



だから、こう考えるようになった。

ええんやで文化圏とは、
安全基地の「安全ではなかった部分」を
社会側で受け止めるためのリソースだったのではないか。

愛着理論を否定したいわけじゃない。
用途と射程の違いを指摘しているだけだ。

家庭で回収しきれなかった不安や失敗を、
文化が引き受けてくれていた時代があった。

そして今、
その受け皿が消えつつある。
それ故に、愛着理論だけでは解消されない、
居場所の喪失がそのまま「社会的な死」や現実の自死に接続してしまうレベルの、生存上の破綻が
生まれてしまうのではないか。

だからこれは、
個人の内面の話では終われない。

これから必要なのは、

・ええんやで文化圏はどこに存在しうるのか
・どうすれば自分の周りに再構築できるのか

という問いだと思っている。

もしよければ、
皆の身近に感じる
「ええんやで文化圏」を
コメントで教えてほしい。

今後の考察の参考にしたい。
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