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渋くし
#チャングムの誓い

よんのこ
♯に
身も心も身体も息たえだえの弟子をみるや、何故こうも帰りが遅いのかを問い質すハン尚宮には全て解っていました。そのうえで聞き正します。何故こんなにも無茶をしたのか。
チャングムは答えます。先生が飲んで下さらないので清流まで汲みに行きましたと。私が飲まなければそんな無茶をするのかと弟子を叱り枝で叩きます。それでも飲んでほしい一心でしたことは誰よりもハン尚宮が一番分かっていて、弟子の無茶を密かに嬉しく思いました。
弟子に言います。どんな水がいいのか、その人、彼の人で、ほしい味や温度も違うことを。さらに伝えます。お前がしたことは宮中では許されないことで、しでかしたことの重さと、宮中で生き抜くには絶対にしてはならぬこと。規則を破ったお前はもう、破門するしかない、だがこの言葉は尚宮は堪えました。おまえはきっとこれからも無知な悪さをするだろう。おまえを厭う人や障害となるものも出てこよう。おまえには辛く楽しい人生などとはきっと無縁であろう。それでも負けない努力と知恵と工夫を学びなさい。人を敬い人を憐れむ心と努力を怠らないような人になってほしいとハン尚宮はつたえます。
人を救うのはまず水であること、それが清らかであればあるほど命を救う。わたしが教えたかったのは人に差しだす水をきちんと望まれる水で用意するように教えたかった。こんな無茶をしてまでと誰が望んだのか、ボロボロになったチャングムは先生の手を、尚宮は陰日向なく働くミョンイの子を優しく労わるように師弟は手を取り泣き合います。
誰かに差しだすものは彼の人の望む形で細やかに聞き、自分の自らの足や知恵や真心をもって考え、最良なものを用意する事、それがここ(宮中)で生きる道であり、生き残る道でもあり、世の道理であり、節理なのだと、お前の母が教えたかった伝えたかった言葉であろうかとハン尚宮は夜を泣きました。
ジャングムの父母に託されたハン尚宮の教えは厳しく時には枝打ちの罰もありました。けれどもその躾のおかげか、本人の強い意志か、亡き母の友であったミョンイの言葉を伝えるつもりでペギョンは決して間違ったことは教えませんでした。またジャングムもよくその教えを守り続けました。
後年、ペキョンは亡くなりますがまさに泪なしには語れません。韓も中も朝も露も私は厭いです。唾棄する程です。けれど、この物語は私の心から離れません。
よん


懐夫歌I (「宮廷女官チャングムの誓い」より)
