幾夜魘されたか知らない悪夢、目の前、僅かな一跨ぎ、それができない泥沼の中で俺は喘ぐ。身に絡みつく過去を振り解こうとして。肩を落とした鉄の背中がどこまでも続く、穢れた赤い雨が容赦なく降り注ぎ、装甲までも溶かさんとする。息を詰め、足音だけを見つめ、ただひたすらに爛れた大地を踏みしめる、敗残の騎兵。振り向けば、未練のないスローモーションとなる。遠く弾ける鋼鉄のドラムが、地獄への道を急がせる。「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」。これがボトムズ達の戦場だ。
お前は言ったはずだ、異能生存体であれば、どんな奇跡も起こり得るとな。彼らはそうなる前に自身の環境を変える。故に、異能生存体なのだと。ぶっ潰しても、切り刻んでも、焼いても死なない。時に利己的に、時に利他的に、取り巻く環境を変えてまで生き延びる。そう、それが異能の因子だ。証明して見せろ。己たちの異常さを、己たちの正体を、ラストチェック。このテストで答えが出るはずだ。ゴキブリめ。蛆虫め。這いずりまわり、のたうちまわり、五臓六腑を撒き散らしても、生き抜いて見せろ。「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」。しかし、生き延びたとして、その先がパラダイスの筈はない。