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ハリ@

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気が狂うくらい眠いのでいつもはコーヒーで何とかしてるけど生まれて初めて眠眠打破を飲んでみた。心臓の奥がドッドッドッてなって何かヤバいという実感だけがある
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カニ

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ドッドッドッと心臓が脈をうち、焦る様な感覚。カフェイン由来なのか薬由来なのかわからんな
目は覚めるけど、創造性は消える
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吉田賢太郎

吉田賢太郎

夜の帳が降りたアスファルトの上、一人の男が愛機にまたがっていた。彼の名はケンジ。メタリックな輝きを放つ漆黒の車体、ドッドッドッ、と重低音を響かせるエンジンは、まるで彼の心臓の鼓動そのものだった。ヘルメットの中で鳴り響くのは、四つ打ちのリズムが体を突き動かすダンス・ミュージック。彼の唯一の友であり、世界との唯一の接点だった。
ケンジは、世間一般から見れば奇妙な男だった。
格闘技、特にボクシングの知識はプロも舌を巻くほどで、キックやシュートを駆使するあらゆる格闘スタイルを脳内シミュレーションで完璧に再現できる。だが、実際に体を動かして戦うことになると、反射的に体が硬直してしまう悪癖があった。
知識収集は彼の得意分野であり、どんな情報も瞬時に頭の中に整理できる。しかし、苦手分野は実践活動。日常の些細な行動、例えば瓶の蓋を開けることすら、しばしば彼を困らせた。
ある夜、いつものようにオートバイを走らせていると、路地裏から怒声と悲鳴が聞こえてきた。ケンジはバイクを停め、そっと様子をうかがう。そこでは、3人の男が1人の老人を脅し、荷物を奪おうとしていた。
ケンジの頭の中で、瞬時に状況が分析される。
男たちの体格、構え、重心のバランス。
「一番手は空手経験者、だが踏み込みが甘い。二番手は喧嘩慣れしているが、型がない。三番手は臆病者だ……」
得意の知識収集がフル稼働し、最適な戦術を導き出す。
しかし、足が動かない。体も、拳も、言うことを聞かない。
「ああ、ダメだ。こういう実践は本当に苦手なんだ……」
知識は山ほどあるのに、自分を動かすことができない。
その時、ケンジの脳裏に、幼い頃から見続けてきたヒーローの姿がフラッシュバックした。
変身ポーズを決め、悪と戦う、あのライダーの姿。
彼らはどんな時でも、たとえ敵が強大でも、決して臆することなく立ち向かっていった。
それは、知識や理屈ではなく、ただ「目の前の悪を許さない」という、純粋な正義感。
ケンジはヘルメットのシールドを上げ、息を吸い込んだ。迷彩柄のジャケットが、暗闇に溶け込む。
「そうだ、俺は物理的に戦う必要はない。俺には俺なりの戦い方がある」
ケンジはポケットからスマートフォンを取り出すと、老人から奪われたカバンの場所を正確に推測し、その裏口へと続く道を計算した。そして、一瞬の隙をついて物陰から飛び出し、大声で叫んだ。
「その荷物は、ここにいるぞ!」
男たちは一斉にケンジの方を向いた。その隙に、老人はケンジの指示通りに裏口から逃げ出すことに成功した。
男たちは怒ってケンジに詰め寄ってくる。
「てめぇ、何者だ!」
ケンジは一歩も動かず、ただ静かに言った。
「通りすがりのライダーだ。覚えておけ!」
男たちはケンジを殴りかかろうとしたが、その瞬間、遠くからパトカーのサイレンが鳴り響いた。
ケンジが事前に通報していたのだ。男たちは舌打ちをして、慌てて逃げ出した。
ケンジは、ヘルメットを被り直し、再びオートバイのエンジンをかけた。
彼は今日、また一つ、自分の「苦手」を乗り越えた。それは、物理的な力ではなく、彼ならではの「知恵」と「勇気」で戦う、新しい形のヒーローだった。
風を切り裂き、夜の街を駆ける。
その背中は、まるで正義の仮面をつけた戦士のように見えた。
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