共感で繋がるSNS

人気

びっく

びっく

タコッチ君相変わらずすごい
GRAVITY
GRAVITY8
帰る。

帰る。

味があるアジの物語
昔々、瀬戸内海の静かな港町に、「アジロー」という一匹のアジが住んでいました。
アジローは他のアジたちとは少し違っていました。群れを作らず、いつも一人でふらふらと泳ぎながら、海のあちこちで出会う生き物たちとおしゃべりを楽しんでいました。
ある日、アジローは岩場の陰でひとりぼっちのタコの子どもに出会いました。
「どうしたんだい、タコッチ?」
「みんなに、味がないって言われたんだ……。墨だけが取り柄だって。」
アジローは笑いました。
「味なんて、誰かが決めるもんじゃないよ。お前が自分を大事に思えるなら、それが一番の“味”さ。」
その言葉に、タコッチの目がキラリと光りました。
それからというもの、アジローとタコッチは海中を一緒に旅しました。海藻の森でフグに出会ったり、沈没船の中でカニたちとダンスを踊ったり。アジローのひと言ひと言は、出会った生き物たちの心に不思議と響き、みんな少しずつ、自分の「味」を大切にするようになっていきました。
やがてアジローの名は、海の中で知られるようになりました。
「会うと、心があったかくなるアジがいるんだって」
「言葉に味があるらしいよ」
ある日、アジローは海の表面にぷかりと浮かびながら、夕焼け空を見上げてつぶやきました。
「オレたち、みんなちがって、みんないい味がある。魚だって、人間だって、きっとそうなんだろうな。」
そう言って、にっこりと笑うと、再び深い海の底へと泳いでいきました。

おしまい。
GRAVITY3
GRAVITY7

関連検索ワード

おすすめのクリエーター