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なー

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この時間、静かすぎてグラスに入れてる氷が少し溶けて「カランッ!」って音でビビる自分…小心者すぎるぞ!
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Lemonsider

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読み返したら話重めになってしまいました。

「迷い草」


カランッ

溶けた氷の音に起こされた午前2時。
またやってしまったと後悔しながら薄くなったお茶を飲みほす。

毎日続く仕事の疲労に負けて寝てしまう。
かろうじて食べ終えていた夜ご飯の食器を片付けながらいつまで続けなければいけないのか不安になる。

好きな人でもいれば少しはマシになるのかと思ったがその思考は自己否定によって消えた。

深夜のお風呂は好きだ、明日が仕事でなければもっと喜べただろう。
疲労もストレスも全部流れて行ってしまえばいい、なんてありもしない事を考えて自分で苦笑いをする。

少しだけ整理出来た頭を乾かし眠りにつく。
子供頃に想った理想の大人になれなくてゴメンね。
そう自分に謝る。
もう少しだけ抗うから許してよ。
そして意識を飛ばす。
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ゆばちゃん号🛵³₃

ゆばちゃん号🛵³₃

夏。
うるさいほど鳴き続ける蝉達。
逃げ水揺れるアスファルト。
死にそうなほど陽射しが僕とあの子を照りつける。
コンビニで買ったアイスが既に、甘いだけの液体になりかけている。
坂道を超えた先に、いつもの公園がある。
こんな暑さだ、今の時代、外で遊ぶ子どもなんてほとんど居ない。
すれ違うのは、車の音だけ。

「今日も暑いね」

あの子が笑う。
そんなの、当たり前だろ。
夏なんだから。

「あーぁ、アイス溶けてきちゃった」

あの子がぼやく。
そんなの、当たり前だろ。
夏なんだから。

「こんな暑いのに、出てこなきゃ良かった」

お前はいつも計画性がないよな。
涼しい時間にコンビニ行けばよかったのに。

「まぁ、この時間じゃなきゃ意味ないんだけどね〜」

お前はいつもそうだ。
日にちや時間や場所にこだわる。
記念日とかいつもそうだった。

「この時間じゃなきゃ...こんな所に来ないよ」

あの子が公園の木陰に入る。
コンビニ袋のアイスは2つ。
1つはあの子、もう1つは僕。
ジャンケンで負けた方がおごるのが僕らのルール。

「ほら、今日もアンタが勝ったんだから責任もって食べなよ」

あの子はジャンケンが弱い。
最弱だ。だっていつも僕が勝っていた。
それなのに、必ずジャンケンをしたがる。
あの子はアイスを片方食べた。
滴る甘い汁が公園の砂に落ちて濡らす。
もう片方は、僕の分。
あの子はそれを袋から開けて、溶けていくソーダ味のアイスを花束の中に置いた。

「ほら、責任もって食べなよ...」

彼女は手を合わせながら、笑った。
今日も、暑さが増していく。
この世界もいつか、アイスのように溶けるんだと僕は思った。
カランッ...アイスの棒がアスファルトに静かに転げた。

【お題】

お盆
アイス
GRAVITY
GRAVITY9

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