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77太郎

ぞの
真夜中というのはとても静かで、暗くて、出歩くには勇気がいるものである。人間界では色々あるからね。
何気なしに出歩いたら、もしかしたら、もうこの世にいないかもしれないし、生きていても厄介な目にあわされるかもしれない。
ぼくは普通に出歩くよ。
気にしなくてもいい体で生まれてきたからね。
何かあっても素早く走れるし、人目につきにくいし、何ならぼくの姿をみて逃げていく人もたくさんいるのではなかろうか。
聞いた話によると人間界では、明らかに力が弱かったり、カワイイとかウツクシイとか言われる人は、もっともっと気をつけなければいけないらしい。
でも。
君たち人間は、「ネズミ」をみたらどんな行動をとる?
多くの人は、を撫でるみたいにワシャワシャしながら可愛い可愛いなんて言うことはないだろうし、気持ち悪いと言って去っていくであろう。
唯一、つい先日、酔っ払いのおじさんが、道端で休んでるぼくを見つけ近づいてきたかと思えば、ぼくをナターシャと名付け、抱き上げた上に目の前がぐわんぐわんになるほどクルクル回り始めたんだ。
突然オエッ!っておじさんが言い出して、「ナターシャ!ナターシャ!」って言いながらぼくを後ろへぶっ飛ばしやがったんだ。
唯一の人間だった。ぼくに触れたのは。
ここまで話して大体の予想はついているであろうが、ぼくはネズミだ。
ぼくを嫌いな人たちが、もし、ディ○ニー△ンドの○ッキーや○ニーが好きだと言うのであれば、1日かけてでも、その理由を知りたいから、理解できるように説明して欲しいと問い詰めるであろう。
こんなぼくだから、真夜中に1人で歩いてたって、へっちゃらなんだ。
むしろほぼ誰も出歩かない夜中の方が、こっちも安心して歩くことができるのだ。
今日もぼくは静かな夜を1人で歩く。
今日は出歩いている人間は、それほどいないようで、ものすごく落ち着いていた。
ご飯になるようなものは落ちていないかを確認したり、新しい近道を発見する旅に出たりとか、夜でもできることはたくさんある。
#物語
#懐かしい
#掃除

