2025年のアマノの最新＆人気コンテンツ -GRAVITY(グラビティ) SNS

『天邪鬼（あまのじゃく）の涙』

---

むかしむかし――
雲の上の世界に、ひとりの神様がいました。

名前は「アマノ」。
風を操り、光を呼び、雨を止めることもできる、立派な神様でした。

けれどアマノは、ほかの神々とは少し違っていました。
みんなが「右へ行こう」と言えば、アマノは「いや、左が面白い」と笑うのです。
神々が「人を助けよう」と言えば、アマノは「助けない方が学びになる」とつぶやきます。

いつも逆を行くアマノに、みんなは次第に距離を置きました。

「お前はひねくれ者だ」
「神のくせに、逆らってばかりだ」

アマノは笑ってみせたけれど、
胸の奥は静かに痛んでいました。

---

ある日、アマノは地上に降りてきました。
そこでは人間たちが「雨が欲しい」と空に祈っています。
けれどアマノは、わざと晴れにしてしまいました。

「ふん、頼まれた通りにするのは退屈だ」

人々は困り、泣き出しました。
その顔を見て、アマノは一瞬だけ胸がちくりとしました。
でもすぐに笑い飛ばします。

……けれど、いたずらは止まらなくなりました。
雨を欲しい村に干ばつを、
風を止めてほしい日に嵐を、
光を求める夜に雷を――。

そのうち、ひとりの子どもが嵐に巻き込まれ、命を落としてしまったのです。

---

空が静まり返りました。
アマノはその子の前に立ちつくみ、
はじめて涙を流しました。

「ぼくは……ただ、誰かに振り向いてほしかっただけなんだ」

神の涙がひとしずく、地に落ちると、
そこに小さな白い花が咲きました。

それはまるで、「ごめんね」と言うように風に揺れました。

---

その日から、アマノは姿を変えました。
神ではなく、**天邪鬼（あまのじゃく）**という妖怪に。

人に逆らい、からかい、嘘をつく。
けれどその胸の奥には、
いつもあの子への罪と、消えぬ涙がありました。

だから、天邪鬼が人を困らせる夜、
その目がほんの少し赤く光るのは――
笑っているようで、泣いているからです。

---

今でも森の奥で、
人間が「右に行こう」と言えば、
どこかで小さな声がします。

「左も、悪くないよ。」

それはただのいたずらじゃない。
天邪鬼が、もう二度と間違えないようにと願って、
人に“違う道”を教えているのかもしれません。 🌙

人気

関連検索ワード

新着

おすすめのクリエーター