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夜桜 蓮二郎

夜桜 蓮二郎

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第17話

『準備開始』

文化祭まで残り三週間。

放課後。

お化け屋敷準備が本格的に始まった。



「まずは段ボールです!」



ひよりが教卓の前で宣言する。



「なんで?」

遥斗が聞く。



「お化け屋敷だからです!」



「説明になってない。」



教室に笑い声が広がる。



ひよりは気にせず黒板に大きく書く。



必要なもの

* 段ボール
* 黒い布
* お化け
* 雰囲気



「最後ふわふわしてるな。」

神崎がツッコむ。



「大事ですよ!」



その様子を見て、

クラスメイトたちは楽しそうに笑っていた。



「じゃあ買い出し班決めるか。」

遥斗が言う。



すると琴音が手を挙げた。



「私行けるよ。」



「助かる。」



しかし。



「もう一人欲しいな。」



遥斗が周囲を見る。



誰が行くか。



少しだけ静かになる。



その時。



「俺行くよ。」



石山だった。



一瞬。



琴音が驚いた顔をする。



「え?」



「荷物多そうだし。」



石山はいつも通り穏やかだった。



「助かる。」

琴音が笑う。



「じゃあお願い。」

遥斗が言う。



こうして。



買い出し班は

琴音と石山

になった。



その様子を見ていた神崎が、

隣の嵐山を肘でつつく。



「おい。」



「気付いた。」



「だよな。」



二人はニヤニヤしている。



「何だよ。」

遥斗が聞く。



「いや別に。」



「何かあるだろ。」



「鈍感。」



嵐山が言った。



「意味分からん。」



その頃。



帰り道。



琴音と石山は並んで歩いていた。



「ありがとね。」



「ん?」



「買い出し。」



石山は少し笑う。



「困ってそうだったから。」



「優しいなぁ。」



琴音は自然にそう言った。



だが。



石山は少しだけ視線を逸らす。



夕日が差し込む帰り道。



普段と同じ会話。



なのに。



石山にとっては少しだけ特別だった。



一方その頃。



教室では。



「月坂先輩!」



「なんだ。」



「段ボール三十個集めましょう!」



「多すぎる。」



「四十個!」



「増やすな。」



ひよりが暴走していた。



それを見ていた蒼井は、

思わず笑ってしまう。



文化祭準備。



それぞれの距離が、

少しずつ変わり始めていた。



第18話

『放課後の買い出し』

琴音と石山、初めての二人行動。

そして――

蒼井は、自分でも気付いていない感情と向き合い始める。
GRAVITY
GRAVITY5
夜桜 蓮二郎

夜桜 蓮二郎

頑張って書きました。

第16話

『出し物会議』

放課後。

文化祭実行委員の最初の仕事。

それは――

クラスの出し物を決めることだった。



「じゃあ意見ある人ー。」

ひよりが元気よく前に立つ。



しーん。



誰も手を挙げない。



「えっ。」



ひよりが固まる。



「月坂先輩。」



「なんだ。」



「誰も喋りません。」



「見れば分かる。」



教室から笑い声が漏れる。



「何かやりたいことないのか?」

遥斗が聞く。



すると。



「喫茶店。」



「展示。」



「映画。」



ぽつぽつと意見が出始める。



黒板に書いていくひより。



だが。



まとまらない。



「全部やりたい!」



「無理だろ。」



「じゃあ全部入り!」



「もっと無理だ。」



再び笑い声。



そんな中。



ひよりが突然手を挙げた。



「はい!」



嫌な予感。



遥斗はそう思った。



「お化け屋敷です!」



教室がざわつく。



「面白そう。」



「確かに。」



「やりたい。」



意外と反応がいい。



ひよりは得意げな顔をした。



「どうですか!」



「なんでそんな自信満々なんだ。」



「勢いです!」



「またそれか。」



神崎が吹き出した。



すると。



「でも。」



蒼井が口を開いた。



珍しく自分からだった。



「準備大変じゃない?」



教室が静かになる。



確かにその通りだった。



大道具。

装飾。

衣装。



やることは多い。



「それは……。」



ひよりが言葉に詰まる。



しかし。



「面白そうではある。」



嵐山だった。



「お。」



「文化祭っぽいしな。」



すると神崎も頷く。



「俺も賛成。」



「神崎くんは脅かす側やりたいだけでしょ。」

琴音が言う。



「バレたか。」



教室が笑う。



その空気を見ながら、

遥斗は少し考える。



確かに大変だ。



でも。



みんなの反応は悪くない。



「じゃあ多数決するか。」



遥斗が言う。



クラスメイトたちが頷く。



そして。



結果は――



お化け屋敷。



圧倒的多数だった。



「やったー!!」



ひよりが飛び跳ねる。



「お前が一番喜んでるな。」



「提案者ですから!」



その時。



「じゃあ実行委員。」



担任が言った。



「責任持って頼むぞ。」



ひよりが固まる。



遥斗も固まる。



「……。」



「……。」



二人は顔を見合わせた。



「頑張りましょう!」



「今さら元気出すな。」



教室中が笑った。



帰り道。



校門へ向かう途中。



「月坂先輩。」



「ん?」



「文化祭、成功すると思いますか?」



ひよりが聞く。



遥斗は少し考える。



そして。



「たぶんな。」



「たぶんですか?」



「みんな楽しそうだったから。」



ひよりは少し驚く。



そして。



「やっぱり月坂先輩って優しいですね。」



「そうか?」



「はい。」



そう言って笑った。



その様子を、

少し離れた場所から見ている人がいた。



蒼井澪だった。



二人は普通に話しているだけ。



それなのに。



なぜか胸の奥が少しだけざわつく。



その理由を、

蒼井はまだ知らなかった。



第17話

『準備開始』

お化け屋敷の準備がスタート。

しかし――

ひよりのアイデアが次々と暴走し始める。
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夜桜 蓮二郎

夜桜 蓮二郎

するする

第15話

『文化祭実行委員』

スポーツ大会が終わって数日。

教室にはいつもの日常が戻っていた。



「眠い。」



朝一番。

遥斗は机に突っ伏していた。



「それしか言えないの?」

琴音が呆れたように言う。



「朝だからな。」



「意味分からない。」



その時。



ガラッ。



担任が教室へ入ってきた。



「ホームルーム始めるぞ。」



生徒たちが席に着く。



担任は出席簿を閉じると、

思い出したように言った。



「そうだ。」



嫌な予感。



「文化祭実行委員がまだ決まってない。」



教室が静かになる。



誰も目を合わせない。



「誰かやりたい人いるか?」



沈黙。



いない。



担任はため息をついた。



「じゃあ推薦で決めるぞ。」



その瞬間。



「橘ひより!」



誰かが叫んだ。



「えっ!?」



ひよりが立ち上がる。



「なんでですか!?」



教室から笑い声。



「元気だから。」



「理由雑じゃないですか!?」



しかし。



「じゃあ女子は橘で。」



担任があっさり決定する。



「そんなぁ……。」



ひよりは机に突っ伏した。



そして問題は男子。



「男子どうする?」



再び沈黙。



すると。



「月坂。」



神崎だった。



「おい。」



「月坂だな。」

嵐山も乗っかる。



「お前までか。」



さらに。



「月坂でいいと思う。」

琴音。



「裏切ったな。」



教室中が笑う。



そして。



「決まりだな。」



黒板に名前が書かれる。



月坂遥斗

橘ひより



「よろしくお願いします!」



ひよりが勢いよく頭を下げる。



「よろしく……。」



遥斗はすでに疲れていた。



「月坂先輩!」



「なんだ。」



「文化祭成功させましょう!」



「まだ何も決まってない。」



「気合いです!」



「絶対違う。」



神崎が吹き出した。



昼休み。



いつもの屋上。



遥斗は文化祭の資料を眺めていた。



「実行委員か。」



「大変そう。」

琴音が言う。



「絶対大変です!」

ひよりが元気よく答える。



「お前も実行委員だろ。」



「そうでした!」



「大丈夫か。」



みんなが笑う。



その輪から少し離れた場所で、

蒼井は静かにその様子を見ていた。



ひよりは楽しそうだった。



遥斗も、

なんだかんだで楽しそうに話している。



その光景を見ていると、

少しだけ胸の奥がざわつく。



理由は分からない。



でも。



「……変なの。」



蒼井は小さく呟いた。



誰にも聞こえない声だった。



放課後。



実行委員の初会議。



ひよりは資料を抱えながら、

遥斗の隣に座る。



「月坂先輩!」



「なんだ。」



「文化祭、一緒に頑張りましょうね!」



満面の笑み。



遥斗は苦笑した。



「そうだな。」



その様子を、

教室の外から偶然見ていた蒼井は、

なぜか目を逸らした。



文化祭まであと一ヶ月。



そして、

まだ誰も気付いていない。



この文化祭が、

それぞれの気持ちを少しずつ変えていくことに。



第16話

『出し物会議』

クラスの出し物を決める会議が始まる。

しかし――

ひよりの一言が、クラスを大混乱に陥れる。
GRAVITY
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いないな

第14話

『放課後の写真』

スポーツ大会から数日後。

教室はいつも以上に騒がしかった。



「写真きたぞー!」



誰かの声で教室が盛り上がる。



生徒たちは次々と写真の袋を受け取っていた。



「うわ。」



遥斗も自分の袋を開く。



「何枚あるんだこれ。」



「結構多いね。」



隣から蒼井が覗き込む。



「見る?」



「見る。」



二人は机を寄せた。



最初の写真。



綱引き。



神崎が変な顔をしている。



「なんだこの顔。」



「必死だったんだろ。」



二人は笑った。



次の写真。



玉入れ。



ひよりが思いっきり違う方向へ投げている。



「これ先生じゃん。」



「本当だ。」



蒼井が吹き出した。



さらに次。



借り物競走。



なぜか一位で帰ってくる南。



「南って何者なんだろうな。」



「分からない。」



二人は同時に言った。



また笑う。



その時だった。



一枚の写真が目に入る。



リレー。



蒼井から遥斗へ。



バトンを渡す瞬間。



ちょうど写真に収められていた。



二人とも真剣な表情。



全力で前を向いている。



しばらく。



どちらも何も言わなかった。



「綺麗に撮れてるね。」



先に口を開いたのは蒼井だった。



「そうだな。」



遥斗も頷く。



すると。



「おーい。」



神崎がやって来る。



「なに見てんの?」



写真を覗き込む。



そして。



「うわ。」



「なんだよ。」



「めっちゃ青春じゃん。」



「どこが。」



「ここ。」



神崎はリレーの写真を指差した。



「はいはい。」



遥斗は軽く流した。



だが。



蒼井は少しだけ視線を逸らしていた。



神崎はそれを見逃さなかった。



「へぇ。」



意味深な笑み。



「神崎。」



「なんでもないです。」



即座に引き下がる。



放課後。



遥斗は一人で教室に残っていた。



忘れ物を取りに来ただけ。



そのはずだった。



「月坂。」



聞き慣れた声。



振り返る。



蒼井だった。



「蒼井?」



「まだいたんだ。」



「忘れ物。」



「私も。」



偶然。



本当に偶然だった。



二人は並んで教室を出る。



夕日が廊下を赤く染めていた。



しばらく歩く。



不思議と嫌な沈黙ではない。



すると。



「写真。」



蒼井が言った。



「ん?」



「リレーのやつ。」



遥斗は思い出す。



「ああ。」



蒼井は少しだけ微笑んだ。



「私、あの写真好きかも。」



遥斗は少し驚く。



「そうなのか。」



「うん。」



短い返事。



だけど。



その声はどこか嬉しそうだった。



昇降口に着く。



靴を履き替える。



外は夕焼け。



「じゃあまた明日。」



蒼井が言う。



「おう。」



遥斗も手を振る。



蒼井は数歩歩いてから、

ふと振り返った。



「月坂。」



「ん?」



「今度は写真じゃなくて、

一緒に何か思い出作れたらいいね。」



そう言って笑う。



遥斗は一瞬固まった。



だが。



「そうだな。」



自然とそう答えていた。



夕日が二人の影を長く伸ばす。



そして。



新しい思い出は、

もう始まりかけていた。



第15話

『文化祭実行委員』

ある日、担任が言い放つ。

「文化祭実行委員、まだ決まってない。」
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夜桜 蓮二郎

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かなかな

第13話

『バトン』

「行けぇぇぇ!!」

歓声がグラウンドに響く。



第一走者。

神崎龍也。



スタート直後から全力だった。



「速っ!」

「神崎すげぇ!」



クラスから歓声が上がる。



神崎は懸命に腕を振る。



そして。



バトンゾーン。



「蒼井!!」



パシッ。



綺麗な受け渡し。



第二走者。

蒼井澪。



一気に加速する。



「速い!」



観客席がざわつく。



遥斗も思わず目を見開いた。



「すげぇ……。」



中学時代から運動神経が良いとは聞いていた。



だが。



実際に走る姿を見るのは初めてだった。



風を切るように走る。



無駄のないフォーム。



真っ直ぐ前だけを見る瞳。



その姿はとても綺麗だった。



「蒼井ー!!」



琴音が大声で応援する。



ひよりも負けじと叫ぶ。



「頑張れー!!」



南も静かに拍手していた。



そして。



バトンゾーン。



澪が振り返る。



「月坂!!」



その声と同時に。



バトンが差し出される。



遥斗は走り出した。



パシッ。



第三走者。

月坂遥斗。



「行けぇぇぇ!!」



クラスの声援が背中を押す。



遥斗は全力で走った。



前だけを見る。



ただひたすら。



その時だった。



「遥斗ー!!」



聞き覚えのある声。



蒼井だった。



振り返ることはできない。



でも聞こえた。



確かに。



『遥斗』



名前で呼ばれた。



初めてだった。



一瞬だけ心臓が跳ねる。



だが。



今は走る。



全力で。



ゴールへ向かって。



そして。



アンカーへ。



「嵐山!!」



バトンを渡す。



「任せろ!」



嵐山徹が飛び出した。



最後の勝負。



相手クラスのアンカーも速い。



差はほとんどない。



会場全体が盛り上がる。



「行けー!!」



「嵐山ぁぁぁ!!」



神崎が叫ぶ。



遥斗も叫ぶ。



澪も。



琴音も。



ひよりも。



南も。



みんなが見守る。



そして。



ゴール。



結果は――



一位。



一瞬。



静寂。



次の瞬間。



「やったぁぁぁぁ!!」



クラスが爆発した。



神崎が飛び跳ねる。



嵐山がガッツポーズをする。



琴音が笑う。



ひよりが騒ぐ。



南も珍しく嬉しそうだった。



遥斗は息を切らしながら空を見上げる。



すると。



「月坂。」



隣に澪が立っていた。



汗をかきながら。



それでも嬉しそうに笑っている。



「勝ったね。」



「勝ったな。」



二人は顔を見合わせる。



そして。



自然と笑った。



その瞬間。



神崎が遠くから叫ぶ。



「おーい!!

優勝チーム写真撮るぞー!!」



「今行く!」



遥斗が返事をする。



だが。



走り出す前。



澪が小さく言った。



「また一緒に勝ちたいな。」



風で消えそうな声。



でも。



遥斗にはちゃんと聞こえていた。



「そうだな。」



短く答える。



澪は少しだけ嬉しそうに笑った。



こうしてスポーツ大会は幕を閉じた。



だが。



遥斗たちの日常はまだ続く。



そして。



この日の思い出は、

確かに二人の距離を少しだけ縮めていた。



第14話

『放課後の写真』

スポーツ大会の写真が配られる日。

何気ない一枚の写真が、

遥斗と澪の関係を少しだけ動かし始める――。
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たらら

第12話

『スポーツ大会開幕』

快晴。

スポーツ大会当日。

グラウンドには朝から大勢の生徒が集まっていた。

色とりどりのハチマキ。

響く放送。

盛り上がる歓声。

いつもの学校とはまるで別世界だった。



「眠い。」

開会式の最中。

遥斗が呟く。



「朝からそれ?」

神崎が呆れる。



「朝だからだろ。」



「意味分からん。」



その横では嵐山が笑っていた。



「月坂は通常運転だな。」



「嵐山もな。」



男子たちが話している少し離れた場所。

蒼井はクラスメイトと話しながらも、

時々遥斗の方を見ていた。



「蒼井?」

琴音が声をかける。



「ん?」



「リレー緊張してる?」



澪は少し考えた。



「ちょっとだけ。」



それは珍しいことだった。



琴音は小さく笑う。



「でも月坂いるじゃん。」



「関係ないよ。」



即答。

だが、

少しだけ頬が赤かった。



午前中。

競技は順調に進んでいく。



神崎は綱引きで全力を出しすぎて転ぶ。



ひよりは玉入れでなぜかカゴではなく先生に投げる。



南は借り物競走に出場し、

なぜか一位で帰ってくる。



「どうやったの?」

琴音が聞く。



「秘密。」



南は少しだけ笑った。



そして昼休み。



グラウンドの端。

木陰に座る遥斗の前に、

蒼井がやって来た。



「隣いい?」



「どうぞ。」



自然に座る澪。



しばらく風の音だけが聞こえる。



遠くでは競技の準備が進んでいる。



「いよいよだな。」

遥斗が言う。



「うん。」



午後の目玉競技。

クラス対抗リレー。



二人とも出場する。



「勝てそう?」

澪が聞く。



「嵐山いるし。」



「確かに。」



二人は笑った。



少しだけ沈黙。



そして。



「月坂。」



「ん?」



「頑張ろうね。」



澪が言う。



その笑顔を見た瞬間。



遥斗の胸が少しだけ高鳴った。



「おう。」



それしか言えなかった。



午後。



ついにリレーの時間。



各クラスの代表が集まる。



スタート走者。

神崎龍也。



第二走者。

蒼井澪。



第三走者。

月坂遥斗。



アンカー。

嵐山徹。



「優勝するぞ!」

神崎が拳を上げる。



「任せろ。」

嵐山が笑う。



「転ばないでね。」

澪。



「それ俺に言ってる?」

遥斗。



「うん。」



「信用ないな。」



全員が笑った。



そして。



ピストルの音が鳴る。



パンッ!!



神崎が飛び出した。



歓声が響く。



クラス全員が叫ぶ。



「行けー!!」



スポーツ大会最大の見せ場。



遥斗と澪、

そして仲間たちの戦いが始まった。



第13話

『バトン』

神崎から澪へ。

澪から遥斗へ。

託された想いとバトン。
GRAVITY
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たなたな

第11話『蒼井の昼休み』

五月の終わり。

昼休みの屋上には、いつものメンバーが集まっていた。



「来週スポーツ大会だな。」

神崎がパンをかじりながら言った。



「あー。」

遥斗が空を見上げる。



「面倒。」



「お前絶対そう言うと思った。」



琴音が笑う。



ひよりも頷いた。



「月坂先輩、運動できそうなのに。」



「できなくはない。」



「なんだその言い方。」



神崎がツッコむ。



すると。



「月坂は足速い。」



南がぽつりと言った。



全員が南を見る。



「なんで知ってるんだ?」

遥斗が聞く。



「体育。」



「あ。」



確かに同じ授業だった。



「見てたの?」

琴音が聞く。



「たまたま。」



南はそう言って視線を逸らした。



その反応に、

ひよりがニヤニヤし始める。



「怪しいですねー。」



「怪しくない。」



即答だった。



みんなが笑う。



その時。



ガチャ。



屋上の扉が開いた。



「やっぱりここか。」



蒼井澪だった。



一瞬だけ空気が止まる。



「蒼井?」

遥斗が驚く。



「来ちゃダメ?」



「いや、別に。」



澪は小さく笑う。



そして。



遥斗の隣に座った。



神崎が遥斗を見る。



遥斗は神崎を見る。



神崎はニヤッと笑った。



遥斗は無視した。



「スポーツ大会の話してたの?」

澪が聞く。



「そう。」

琴音が答える。



「蒼井は何出るんだ?」



「リレー。」



「速そう。」



「普通。」



そう言いながらも、

琴音は知っている。



蒼井は速い。

中学の頃から有名だった。



「負けたら泣く?」

神崎。



「泣かない。」



「じゃあ俺が勝つ。」



「無理。」



即答。



屋上に笑いが広がった。



その頃。

教室では。



学級委員がスポーツ大会の出場表を作っていた。



そして。



「これで決定ね。」



その紙には、

ある競技のメンバーが書かれていた。



クラス対抗リレー

* 月坂遥斗
* 蒼井澪
* 神崎龍也
* 嵐山徹



まだ誰も知らない。



この競技が、

スポーツ大会最大の見せ場になることを。



第12話

『スポーツ大会開幕』

クラスの誇りをかけた戦いが始まる。

そして遥斗と澪は、
初めて同じ目標へ向かって走る――。
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