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ヒロ🦻【えんの木】
大久保・辻本・庭山(2020)ポジティブ行動支援(PBS)とは何か?,Japanese Journal of Behavior Analysis Vol. 34, No. 2, 166–177
PBSって何?
1.解釈が分かれるPBS
「アプリケーション」「応用科学」「テクノロジー」「手続きの集積」「アセスメントと介入のプロセス」「アプローチ方法」「枠組み」などという多様な表現がなされておりひとくくりにできない状態である。
2.PBSの定義の変遷
・Hornerら(1990)は「罰の使用の最少化」 「先行子操作を強調」としていたが、次第に強調されなくなった一方で、「生態学的妥当性」、「社会的妥当性」、「ライフスタイルの変更」、「複数要素から構成される介入」、「予防の強調」、「本人中心の価値観」などの特徴が共通してあげられることが増えてきた
・Koegel, Koegel, & Dunlap (1996)「個人の行動レパートリーを拡大するために教育的な方法論を用い、個人の生活環境を再設計するためにシ ステム変更の方法論を用い、第1に個人の生活の質を高め、第2に個人の問題行動を最少化するための応用科学である」
・Anderson & Freeman(2000)「挑戦的行動を示す個人に対する効果的な介入とプログラムを発展させるための枠組みである」→ PBSで用いられる様々な手続きや方略は、ABAのもの
・Dunlap, Carr, Horner, Zarcone, & Schwartz (2008)「あらゆる年齢層のあらゆる能力を持つ個人のための、問題行動を減少させQOL を改善するための実践的アプローチであり、このアプローチには、データに基づくアセスメントプロセス、科学的裏づけのある介入方 略、利用と持続可能性を促進するためのシステムの変更、消費者の好みとコミュニティにおける妥当性に対する応答性を高めるための手順が含まれる」
3.PBSは応用行動分析じゃないの!?
・PBSの特徴として「複数の理論的観点」を挙げてABAにのみ理論的に立脚しているわけではないことを暗に示しているパターンも。
・必ずしも障害のある個人を対象とはしなくなってきた近年では従来のPBSの定義に当てはまらなくなってきている(Kincaidら 2016)


ヒロ🦻【えんの木】
大久保・辻本・庭山(2020)ポジティブ行動支援(PBS)とは何か?,Japanese Journal of Behavior Analysis Vol. 34, No. 2, 166–177
【ベストコメント】
うちの子の小学校の情緒学級の担任の先生はどうやらその辺上手そうなんですよ。最初はすっごい寄り添ってて、今では子供たち、その先生に注意の声をかけられた瞬間、背筋をピシッとしてるんです。
ABAとPBSの関係性
1.ABA(応用行動分析)とは
Cooper, Heron, & Heward, 2019「社会的に重要な行動を改善するために行動の原理から導かれた戦術を系統的に適用し、行動変化の原因となる変数を同定するために実験を用いる科学」
Skinner (1978)は「行動機会の保障」と「正の強化が随伴される環境の中で暮らすことの保障」を重視
ABAの定義やABAで重視されてきたかなりの部分は、PBSの定義や特徴と重複していて、その捉え方についても複数の立場があり統一された見解がない。
2.ポジティブ行動支援とは Horner(1990)
・1980年代半ばから行動問題を示す重度障害のある人々が、コミュニティにおける他の全てのメンバーと同等の敬意と尊厳を持って扱われるべきであるという気運が高まり
・望ましくない行動を示す人々に対して非倫理的で利益をもたらさない人道的でない介入方法に懸念が示されるようになった
・「非嫌悪的な(nonaversive)」行動マネジメント方法
3.PBSは独自のもの?
「PBSをABAは別の分野・体系」「ABAはPBSの構成要素の1つに過ぎない」
・ Carr (1997)「PBSはABAから進化した新しい応用科学だ」
・Carr & Sidener (2002)「PBSはABAの要素を取り入れただけではなく、応用行動分析学の領域を超えて、独自のアイデンティティを持つに至った」(PBSの独自性を主張)
・アメリカのPBSの論文と応用行動分析の論文を比較
PBSの論文の方が応用行動分析の論文掲載されているものよりも
1)日常生活における典型的な物理的環境、活動、社会的文脈の中で実施されているという点で生態学的妥当性が示されている
2)アセスメントに基づいた介入が多い

