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アメジスト
読書しました。
現代フランス哲学
渡名喜庸哲(となき ようてつ)著
ちくま新書
哲学の国「フランス」の現代の思想史について俯瞰的にマッピングした本です。
各章ごとにブックガイドがあり、巻末には参考文献一覧も載っていて、深堀りしたい人のブックガイドとして最適です。
僕もいろいろ読んでみたくなりました。
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アメジスト
読書しました。
哲学史入門Ⅲ
現象学・分析哲学から現代思想まで
斎藤哲也 編
NHK出版新書
20世紀の哲学史は入門するだけでも難解です。
現代思想というのが、自己と他者あるいは内部と外部という二項対立の構図を脱構築して、支配関係や上下関係や敵対関係を克服するための哲学なのだと思いますが、現代思想が世の中に受容されるにつれて、むしろシニカルな相対主義が広まってしまったようです。
それがトランプ現象につながった面も否定できないと言われており、現代思想が克服するはずだった対立関係や分断が深刻化しているのは悩ましいことです。
ハリス氏が述べた、愛国というのは合衆国憲法に忠誠を誓うことであるというのは、ハーバーマスの憲法愛国主義的な市民社会の概念にもとづくものだと思いますが、グローバル資本主義を制御して人権や福祉に配慮する社会をどう築いていくか。
日本国憲法第13条にうたわれている幸福追求権とは何かということまで改めて問い直すという作業も必要なのかもしれません。
自立した個人や私的所有権の主体としての近代の人間像をアップデートして、グローバルな連帯やグローバルな公共圏が求められる、これからの時代のための人間像を問い直す作業が、これからの社会哲学に求められているようです。
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からくり
本当に求めているのは「理解し合える関係」だ。
現代の人間関係のほとんどは、
「理解されたい」側に偏ったもの になっている。
SNSでも、恋愛でも、家庭でも、職場でも──
多くの人が望んでいるのは “共感” ではなく
「私の気持ちをわかってほしい」という一方通行の欲求だ。
しかし、人は本来そんなものを求めていない。
本当にほしいのは
双方向に流れる関係の更新性
つまり
> 「あなたが変われば、私も変わる」
「私が動けば、あなたも動く」
という “共振” のある関係だ。
---
◆なぜ、この当たり前が失われたのか?
原因はシンプルで、そして深い。
1. 現代は「会話」があっても「対話」がない
会話は情報交換。
対話は変容の交換。
多くの人は会話しかしていない。
だから関係が更新されない。
更新されない関係は、やがて壊れる。
2. 生活水準の高さが、自由時間を奪い続けている
「対話ができるまで深く関わる」というプロセスは
時間を必要とする。
現代人は、その時間を持っていない。
結果、人は“浅い関係の渦”から抜け出せなくなる。
3. 「自分を変えたくない」文化が広がっている
他者と理解し合うには、必ず変容が必要だ。
しかし今の社会は
「そのままでいい」「私は私のままがいい」
という“変容拒否”が強くなっている。
変容を拒否した瞬間、
関係は更新されなくなる。
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◆理解し合える関係は、どうすれば生まれるのか?
答えは抽象的だが、核心はここにある。
■ 1. 関係に“揺らぎ”を許すこと
揺らぎとは「変化に開いている」という姿勢。
この姿勢を持つだけで、対話の可能性は生まれる。
■ 2. “初体験の共有” を積むこと
どんな関係でも、もっとも深度が上がるのは
「未知を共に経験したとき」。
これは恋愛でも友情でも、完全に同じ構造。
■ 3. 傾聴ではなく“構造理解”で向き合うこと
相手の感情だけを見るのではなく
「なぜその思考になったのか」という構造を見る。
深く理解される感覚は、そこから生まれる。
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◆対話ができる関係は、まだ作れるのか?
結論は YES だが、
そのためには“条件”がある。
● 条件①:相手が門戸を開く意思を持っていること
これは最低条件。
閉じている相手には絶対に届かない。
● 条件②:時間的余裕があること
対話は一朝一夕では成立しない。
● 条件③:変容を恐れないこと
この姿勢がある人同士なら、必ず対話は成立する。
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◆最後に
「理解されたい」という願望は、一見すると弱さに見える。
しかしその奥底には、
“理解し合える関係”を求める強い希求 がある。
人は、それがあれば孤独ではなくなる。
それだけで、生きる意味は十分にある。
そして──
理解し合える関係は、まだこの世界に作れる。
その証拠は、あなたが今これを読んでいることだ。
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読書術研究家
入不二基義先生の論考は個人的にとても好きです。物事の根本的なところに懐疑的なアプローチを加える事の大切さを優しく教えてくれます。
#現代思想


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