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風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 10

高く 高く 風よ
砂を巻き上げろ
埋め尽くしてしまえ
空を 白く 白く

その激しい砂嵐の先に
誘われて向けるだろう 足を
魂を探す キャラバンを真似る

羽を持たない生は
それでもまだ
遠い彼の地の渇きを覚える
GRAVITY
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風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 9

手を広げて十字の身を
海深く放り込もう
怖くはない海は
抱きとめてくれる
苦しさの奥のやり終えた呼吸

海の人柱は波に弄ばれ
風のオルガンは波を奏でる
そのフーガに心を高めながら

けれど耐えることが出来るだろうか
心に浮かぶ人の面影もなく沈む
暗い海底は身も心も闇にとかす
GRAVITY
GRAVITY8
風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 8

海は大きなオルゴール
低い音高い音 
優しい音もおおらかな音も
消え入りそうな最弱音
すべての音色をそろえている

この星が生まれてからの
たくさんの音を詰め込んだ
誰の耳にも心地よく響く
心に住んでいる子守歌

生きられた時間しか知らない
その経験にすがるだけの
僕は無力だ
GRAVITY
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風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 7

魂が憩う
まだ見ぬ島があるのなら
僕はそこを目指すだろう

けれど水平線に島はない
来る日も来る日も
ここに座っていた

時折風が舞い上げる
白い砂にまみれて
魂はジャリジャリと苦く
噛み締めることも厳しくなった

目を凝らしたこともあったさ
僕だけの島が
見えたような気がして
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GRAVITY3
風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 6

穴を開けた白い巻貝は
きっと波に鋭い牙を立てられた

その瞬間に命までも
持っていかれてしまったのだ
生を思い返す間もなく一気に

その魂は その後
水平線のむこうから
帰って来る気配はない

白い抜け殻に
いくら熱心に
呼びかけようとも
GRAVITY
GRAVITY3
風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 4

背中から優しく
抱きとめてくれる人がいれば
羽など望まなかったのかも知れない

あなたは羽を持たない人
飛んでゆけずにこの浜辺に佇む人と
その言葉にすがり夢を見ることもない

けれど優しい人はいない
空と砂浜との狭間に羽を広げようと
張り裂けそうな心を葬る術を捜している
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GRAVITY2
風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 3

砂に文字を書く
その文字を持ち去る波の群れ

綺麗になった砂の黒板に
また指で文字を描く

連れ去られる文字は
どこへゆく
美しい心をなぞっても
海の藻屑となるのか

海のしょっぱさは
数知れぬ後悔の言葉 その涙

僕の言葉もそこから生まれ
そこに帰ってゆくものに
他ならない
GRAVITY
GRAVITY7
風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 2

潮風にいつまでも
吹かれようと思った
あの白い雲のように跡形も無く
顔が引きちぎられるまでを

波がきっと
真っ白な珊瑚になる僕を
さらってくれる

けれど微塵も顧みない風は
自分の仕事のままに吹きすぎる

ここに残された僕の耳に
せめて歩み出す方角を
教えてくれたらいいのに
GRAVITY
GRAVITY6
風ささ

風ささ

#詩 #海辺にて 1

波でつま先を洗う背中に
天使の羽が生えたなら
その羽を広げ空に駆け上がるだろう

羽根の落ちるところに
幸いが訪れるとしたのなら
請われるがまま
どんな場所にも飛んでゆく

けれどこの背中には羽がない
貧相な背中を恥ずかしさに丸め
羽ばたきのために集まった
風に晒される
GRAVITY
GRAVITY3
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