こんにちは読書記録です中世武士団 偽りの血脈名字と系図に秘められた企て桃崎有一郎講談社選書メチエ桃崎有一郎先生は注目している歴史学者なので、とても興味深く読みましたあとがきで、高校生の時の授業で鎌倉幕府の成立については承久の乱が画期的ですと言い張ったエピソードが述べられており一流になる人間は違うなあと感心しました中世の武士はみんな平氏や源氏や藤原氏の子孫を名乗っていたことに疑問を持っていたので本書はその謎をミステリー小説のように読み解いていく内容となっていて、興味深かったです10世紀朝廷の貴族社会からこぼれ落ちた王臣子孫は、支配階級に踏みとどまるための最後の手段として地方に下りました地方は地方で生き残りをかけた競争社会があり、古くからの豪族の末裔や富豪の百姓らの古代卑姓氏族や朝廷の内戦や蝦夷との戦争に従事していた古代武人輩出氏族らに、貴種であり免税特権を有していた王臣子孫が婿入りしてできたのが、武士団の由来だそうです本書では、この婿入り以外にも、王臣子孫の嫁を迎え、父系と母系を逆転した系図を偽装して王臣子孫の男系子孫であると偽って武士団が誕生したという説を展開しています佐藤などの「〇藤」名字は、従来の官職由来の説を退け、古代卑姓由来であるという説を展開しています院政期は院が卑賤の者を取り立てる時に、近臣の養猶子にして藤原氏に仮冒したそうですその流れで「〇藤」名字の〇は卑姓由来であるにも関わらず、官職由来と擬態して、本来は卑姓の男系子孫であるにも関わらず、藤原姓の男系子孫であると書き換えたという説を展開しています古代氏族がどう変わっていって武士団になっていったのかひとつの可能性として興味深く読みました#読書 #読書感想文 #中世 #武士団 #名字