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大介
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『四季を知らぬ人々』
赦しとは 終わりのない 私の独白なのか
苔むす石に 手を添えて
風の音を 聞いていた
季節は 幾度も 私を通りすぎ
草花は そのたびに 色を変える
けれど 人は 四季を知らず
咲くことも 枯れることもなく
ただ 時の名を 知らぬままに
赦すことは 忘れることではなく
忘れぬことは 咎めることでもない
私は そのあいだに 立ちつくす
誰にも摘まれぬ ひとひらの 花びらとして
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#詩 #詩歌 #創作 #抒情詩


大介
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『水面(みなも)』
失(う)しなったものの名を
浮かべるたびに そっと
胸の奥に ひとつ
水面が たちのぼる
それは 涙ではなく──
記憶の底に沈んだ
遠き旅人たちの 名残
映るのは かつての私ではない
いま… ここにいる
静けさを知った ひとつの 面影
波紋は ゆるやかに広がり
いまは遠き 祈りと まじりあい
やがて ひとつの湖(うみ)になる
風が吹くとき
私は ただ 見つめている
そして 面影は うすれ
風とともに いつかの日に──
わたしは… その湖(うみ)を あとにする
過ぎし名を 呼ぶこともなく──
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#daisuke0107sasaki

daisuke107
あの せせらぎのなかに
わたしは まだ あなたの声を聴いてゐた
それは 風のかたちをして
水面に そっと ふれては消える
風は あらたな風と
かさなりあふことを 知つてゐた
わたしが わたしになるまへ
はじまりへと 舞いおちた
ひとひらの 時間
あれは かげろうではなく
たしかにあつた 想い出の交差
ふたつの影が すれちがふとき
ひとつには ぬくもりが残り
もうひとつには 忘却が
やさしく 降りる
影なきものを ひとは追ふ
透きとほるものを 抱きしめようとする
それが 夢であつても
それが 終はりの朝に
ふとよぎる 水の音であつても
──そして わたしは 思ふ
わたしは あなたのなかにゐた
あなたは わたしのなかにゐた
それは いまも 耳の奥で
しずかに 息づきながら
流れつづけてゐる
#自由詩 #抒情詩

daisuke107
ひとつ 呼吸が ほどけて
胸の 灯火が
静かに 海へと沈む
まだ 光は 消えていない
まぶたの裏で
かすかに 揺れ
遠い 記憶の 岸辺から
白い舟が 音もなく
近づいてくる
声は もう 届かない
けれど
風に ほどけた
涙のぬくもりが
まだ名のない 名を
そっと しかし
強く 抱きしめていた
そのとき わたしは 気づいた
あの声は
母の声だった
忘れていた
やわらかな音
わたしを
この世に呼び出した
最初の 祈り
かつて わたしが
はじめて 息をしたとき
母は 泣いていた
その涙のぬくもりが
いま わたしの頬を 伝っている
それは
わたしの涙だった
けれど たしかに
あのときの 母の涙でもあった
ふたつの涙が 重なり
ひとつの 祈りになった
わたしは
わたしを 離れながら
なお この身に
とどまっていた
輪郭は
水に映る
星のかけらのように ほどけ
世界は
やわらかな 闇に
包まれていく
それは 終わりではなく
ただ 還ることだった
はじまりよりも
さらに古い
夜の根にある
ひかりのほうへ
白き舟に 身をあずけ
名もなき川を
わたってゆく
#自由詩 #抒情詩
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