#映画 #Gravity映画部 #スラムダンク #ファーストスラムダンク 2022年公開『THE FIRST SLAM DUNK』原作者井上雄彦が監督と脚本も務め、数年がかりで製作した。宮城リョータは少年期に兄の背を追うようにバスケの練習に明け暮れていた。父を亡くし悲しみに沈む母を力強く励ましていた兄。しかし兄も海難事故で帰らぬ人となる。兄と同じ背番号を付け試合に出場するリョータ。実力を発揮できないときもあったがバスケに対する思いは途切れず、時は流れーーインターハイ、城北と山王の試合が始まる。井上雄彦がこだわり抜いたアニメーションが素晴らしいの一言。原作漫画そのままの絵がヌルヌル動く。2Dと3Dのバランスが絶妙でいい意味でのアナログ絵の良さも残しつつ、迫力と臨場感のある画面が実現している。古参が異を唱えていた声優については、私は以前のアニメ番組を見ていないのでほぼ気にならなかったが、桜木花道だけは思ったよりジャイアンがチラついた笑。最初に見たとき試合パートには興奮するがドラマパートの筋が陳腐だな…と思った。2人も死人を出して安易な感動を狙うのはこの話に合わないと思ったのだ。しかし、2回目に見たとき、母からコーチに頼んで背番号を変えてもらおうと促された幼少のリョータが『…7番がいい』と小さな声で呟くシーンで涙が出た。きっとあの映画は何度もリピートするのを前提にしていて、一度最後まで観て初めてドラマパートが生きるのではないか?また、リョータを主役に据えておきながら綾子についてほぼ触れず、ヒロイン役がある意味リョータの母になっていたのは驚いた。恋愛要素を無駄に入れてほしくなかったので、そこは高く評価したい。山王戦の名場面が紙芝居のように次々に飛び出し、三井や赤木の苦悩も拾われる。改めて、井上雄彦が日本のエンタメ業界のお約束や大人の事情から完全に解放されて製作できたからこその傑作だったと言える。これで主要メンバーの声を、ジャ○ーズや坂○系アイドルが棒読みで担当していたら作品の評価は一気に変わっていただろう。冒頭からテンション高めの音楽も観客の心拍数を心地よく持ち上げる完成度。全てのパズルのピースを集めた珠玉の作品。