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Liley@小説書き
これは必要な犠牲だった。
…そうでしょう?
だってそうだよね?彼を、犠牲にしないと、みんなこの場に居られなかった。これは、必要な犠牲だったんだ。
…そうだよね?…俺は、俺たちは、間違ってないでしょう?
じゃあさ。教えてよ。
この手の震えは何?この心臓の鼓動は何?この涙は何?
…なんで、誰も、答えてくれないの?
なんで誰も、答えられないの?
誰一人として、これが正解だったって言えないなら。
本当に、本当に彼は、必要な犠牲だったの?
#ベリーショートストーリー #テーマから広げる創作
Liley@小説書き
物凄く、疲れ果ててしまった。
ベッドの上で、着替えもせずに、宙を見る。
成人して、仕事をしてからというもの、生きた心地がしなかった。娯楽をする余裕はなく、毎日のように、朝起きて、出勤し、退勤し、疲れて倒れるように眠る。
今日はいっそう酷くて、着替える余裕すらなくて、そのまま、意識を落とした。
…
…不思議な、夢を見た。
子供の頃の夢だ。無邪気な、あの頃の、思い出が、映画のように流れていって。私はそれを、第三者視点で眺めていた。
目が覚めて私は、何か、無くしていたものを取り戻したような気分になって。普段よりも、明るい気分になった。
身体が軽い。心が跳ねるようだ、とても清々しい!
まるで私のものでは無いようだった。
…そういえば、夢は、不思議、というか、不可解な点があった。
心当たりがない思い出が、沢山あったのだ。
半分以上はふっと思い出せるのだが、残りは、どれだけ思い返しても思い出せない。その大半が、私とは思えない行動を取っている。
まるで「私」ではないようで…
『』
「…?」
ふと、声が聞こえた。
幼い子供…いや、幼い私の声だった。
でも、とっても明るい声色…ちょうど、思い返せない夢の時の、私のような声で…
『ただいま』
と。
#ベリーショートストーリー
#テーマから広げる創作
#お題箱より
Liley@小説書き
《鈍感なのは》
好いている彼女に、想いが伝わらない。
彼女の優しさに惚れて、声に惚れて、姿に惚れて、気づけば全てに惚れていた。
だから、よく話しかけたり、優しさ見せてみたり、冗談っぽく匂わせ発言したりした。
でも、鈍感な彼女は、全然こちらを向いてくれない。
気づいているなら、振ってもらった方が、こちらとしてもやりやすい。ずーっと、焦らされているような気分なのだ。
俺や彼女の周りには、俺の気持ちに気づいている人もおそらくいる。
だけれど、彼女には気づかれていない。
好きだなぁ〜なんて、伝えて見た事もあるけれど。
冗談だと流されてしまって。
それでも諦めきれなくて、でも、しっかり伝える勇気もなくて。
ある日、彼女の隣は別の人に取られてしまった。
彼女はとても幸せそうで、彼女は隣に立つあの人の事がずっと好きだったみたいで。
彼女のことを祝福しながら、思った。
あぁ、鈍感なのは俺の方だったんだな、って。
#小説 #創作 #ベリーショートストーリー
#失恋
#テーマから広げる創作
Liley@小説書き
あなたの為に、したことなんだ。
手錠をつけられ、証言台に立ち、真っ直ぐ、前を見つめて。
夢だった裁判官になった彼女は、とても苦しそうな顔をしていて、ガベルを持つ手が震えているのがよく見える。
泣かないで、ほら、君が夢に見た事だろう?
罪人を裁く。悪を、裁くのが、君の夢だったはずだ。
彼女の凛とした声が法廷に響く。
死刑宣告。知っていた。
あぁ。やっと、やっと夢を、叶えられたね。
俺は柔らかい、笑みを浮かべて、言う。
「その罰を、受け入れましょう。」
手が震える。皆が、こちらを向いている。私の言葉を待っている。
嫌だ、私は、彼に…彼を、裁くことなんてできない。
夢だった裁判官になって、出世して、初めて、判決を下すことになって。
悪をこの手で裁くのが、私の夢だった。
彼もその夢を応援してくれたのに。
どうして、あなたが、そこに居るの…?どうして、どうしてあんなことをしてしまったの…?
涙が溢れかける。罪人に情を持ってはいけない。でも。
私には、無理だよ…っ。
彼が、こちらを、すっと見ている。
死への恐怖も、私への訴えも感じない。ただ、こちらを真っ直ぐ向いて。
息が詰まりそうだ、でも。彼がしたことは、許されていいことじゃない。
震える声を、苦しい心を、殺して。
「判決を言い渡す!…被告人を…っ」
息を吸い込む。
「死刑とする!」
言ってしまった。彼が、柔らかく笑う。
嫌だ、なぜ、そんな顔をするのだ。
なぜ、そんなに、幸せそうなのだ。
#創作 #創作小説 #小説
#ベリーショートストーリー
#テーマから広げる創作
Liley@小説書き
好いている子がいた。
容姿端麗で、かつ秀才で、優しくて。俺なんか到底届かない、高嶺の花だ。
そう思っていた。
ある時、ちょっと用事があって、図書館を訪れた。
そしたら、机に向かう彼女を見かけた。
参考書を山積みにして、困ったように手が止まっていて。たくさんの本をペラペラと捲りながら。
一体いつから居るんだろうか、開けられたペットボトルは、もう4分の1も残っていない。
意外だった。いや、もちろん努力はしていると思っていたが、心のどこかで、彼女は根本から、頭の良さが俺と違うんだって思ってた。
だけど彼女は、人以上の努力で、頂点に居たんだって気づいた。
俺はその姿に、背中を押された。
行きたい高校を諦めていた。彼女の希望先と同じところ。でも、無理だって、決めつけて。
参考書を借りて、急いで家に帰って
そこから毎日、毎日、勉強して、努力して。
そしたらめきめき成長して…
「だから、君には感謝してるんだよ。」
リビングで座る、彼女を見て、言う。
かつて高嶺の花だった彼女に、俺の努力は伝わって、思いが届いて。
今、俺の目の前で、彼女は嬉しそうに微笑んでいる。
フィソステギア
花言葉…望みの成就 達成 進路
#創作 #創作小説 #短編
#ベリーショートストーリー
#テーマから広げる創作

Liley@小説書き
いや〜まさか君と死体を埋めることになるなんてね…
え?…いや、最初はびっくりしたよ、君がぐちゃぐちゃの死体の前に、刃物持ってたってた時はさ。
でもどこか安心したんだ…なんでかって?
君はとっても綺麗だろ?そんでもって優等生だ。雲の上の存在みたいだった。でも、そんな君にも、こんなに汚い面があるなんて、なんか、僕と一緒だなって思ったのさ。
#創作 #創作小説 #短編小説
#ベリーショートストーリー
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Liley@小説書き
貴女を愛している。
そう言えたら、貴女はこちらを振り向いてくれたのだろうか。隣に立つ、優しげな男ではなく、私を、選んでくれたのだろうか。
…これを言ったら、貴女を、苦しめてしまうだろうか。
……「私じゃ、だめですか?」
小さく呟いた言葉は、祝福に包まれた教会の中で、泡のように消えた。
#ベリーショートストーリー
#テーマから広げる創作
Liley@小説書き
ねぇ、聞いてよ。
今日はね、アイツが、とっても面白いことをしたんだ。
…そうさ、アイツだよ。君も彼のこと好きだっただろう?、あぁ、もちろんlikeの方で。
…おかしいなぁ、何度君に会いに来ても、泣いてしまう。
君はもうここに居ないって…分かっていても、、どうしても、君に届けばって、願ってしまう。
…僕、おかしいかな。ねぇ、教えてよ。君の、その、澄んだ声で。
#ベリーショートストーリー #テーマから広げる創作
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