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アメジスト
読書記録です
オスマン帝国の解体
文化世界と国民国家
鈴木董 著
講談社学術文庫
かつてオスマン帝国が支配していた地域では
宗教・言語・民族を異にする種々様々の人間集団が、モザイクのように入り組んで混在して存在していました
そこではイスラム教による政教一致体制を前提として、イスラム教徒の優位の体制の中で、他宗教・他民族に対する寛容な統治が敷かれていました
それを本書ではオスマンの平和=パクス・オトマニカと呼称しています
具体的には
貢納の義務と一定の行動制限を受けるかわりに
イスラム体制の規範の大枠に反しない範囲で
固有の信仰と法と慣習を守りつつ自治生活を行なうことが許されていました
あくまでもイスラム教徒優位のもとで不平等ながら他宗教の人間集団を許容するというものでしたが、このモザイク状に様々な民族・宗教が存在していた地域においては平和を担保するために有効なものでした
フランス革命以降、西洋ではグローバルな経済システムの進展と、政教分離した中央集権体制「一民族・一国家・一言語」のnation stateの理念を創出し、未曾有の西洋覇権の時代となりました
このnation stateの理念がオスマン帝国を動揺させ、各宗教・各民族が排他的なnationalismを自らの理念とするようになり、バルカン半島から中東地域は民族紛争、宗教・宗派紛争のちまたと化しました
エスニック抗争が生ずるとき
民族の平等を追求すると
支配的多数者と従属的少数者の仁義なき戦いが果てしなく続きます
オスマン帝国が衰亡していく歴史を通じて
nation stateやnationalismの排他的で暴力的な負の側面
多文化共存社会が平等の原則のもとに成立する難しさを学ぶことが出来ました
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#多文化共生

アメジスト
読書しました。
オスマン帝国500年の平和
林佳世子 著
講談社学術文庫
表題の500年の平和というのは、14世紀から18世紀にかけての時代、帝国内の多民族、多宗教を包括した覇権によって、その勢力内で争う必要がなくなったという意味での平和だった500年という意味です。
この500年の間には、外征やら内乱やらは沢山あるし、王家の後継者争いを未然に防ぐための悪名高き兄弟皆殺しや失政した大宰相の処刑など、現代人の目からみれば、おぞましいことを沢山やってきた歴史です。
しかしながら、トルコ人の国でもなくイスラム帝国でもない、この帝国において、宗教の垣根を越えた寛容な統治がおこなわれてきたという歴史は、かつてこの帝国が支配してきた地域において、まさに今、戦乱が起こっている状況を踏まえると、「オスマン帝国による平和」というものに、学びがあるように感じます。
19世紀以降、民族主義を煽る手法でオスマン帝国を切り刻んだ英仏露を中心とする欧州列強の罪深さを改めて感じます。
イスラムの名のもとに多宗教・多民族を包括した寛容な統治がおこなわれてきた歴史が過去に存在していたということが、現代の中東を平和にするヒントになるかどうかは難しい問題ですが、「民族の時代」というのは19世紀以降の時代特有の問題であるという相対化することによって、単一の宗派や民族を国家のイデオロギーにするというのは、本質的に不可能であるという認識を世界中の人々が共有することは可能なのではないでしょうか。
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なむ。。
ドロドロ具合がやばーい(笑)
#ドラマ#オスマン帝国

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