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ゆま

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大切な日々大切な日々
【ひとりぼっち】

ぼくはクマ。
ぬいぐるみのクマ。

もちぬしのみぃちゃん
いなくなっちゃった。

たいせつにしてくれたけど
いっしょにあそびにきて
そのままぼくのこと
わすれていっちゃったみたい。

ぼくはクマ。
ひとりぼっちのぬいぐるみ。
さびしいな。


「あれ?ぬいぐるみだ」
ぼくはだれかにだきあげられた。
おこされてみると、そこには
女子高校生がふしぎそうな顔して
ぼくをみつめている。

じめんに落ちていたぼくを
ぱんぱんとたたいてくれた。

そしておねえちゃんは
ぼくをひっくり返して「あ!」
と、声をあげる。


なになに?
何があったの?

おねえちゃんはにっこりと笑った。
「君の持ち主さん、本当に君を大事にしてたんだね」
どういうこと?
ぼくは首をかしげた。

「君を持ち主さんのところに届けてあげる」
おねえちゃんはぼくと手をつなぐとステップをふみながら、あるいた。

かどをいくつまがっただろう。
おねえちゃんは1軒のおうちのインターホンを押した。

「はあいどなたですか」
「突然ごめんなさい。こちら、田辺みぃちゃんのおうちではありませんか。落し物を届けに来ました」

田辺みぃ
それはぼくの持ち主さんのお名前だ。

しばらくするとおかあさんと手をつないだみぃちゃんがお家から飛び出してきた。目からはなみだがたくさんあふれてる。

「くまちゃん、くまちゃん」
みいちゃんはおねえちゃんの手の中のぼくを見つけて、ぴょんぴょんと跳ねながらわらっていた。

「よかった、君のくまさんなんだね」
「うん、うん!」
「もう忘れないでね。すごく寂しそうだったよ」
そう言っておねえちゃんはぼくをみぃちゃんのところへ帰してくれた。

みいちゃんの小さな手の中に抱きしめられてぼくはしあわせだ。

「ごめんね、ごめんねくまちゃん。もっといっぱいあそぼうねぇ」

みぃちゃんがそう言うのを確かめてからおねえちゃんはほほえんで、立ち去っていった。

ぼくのことばは伝わらないけれど
そのかわりたくさん念じるようにおもう。


「優しさをありがとう、ぼくはしあわせです」

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