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general
この間 健常児以外にも
障害を持って生まれた子など
いろいろな子を預かってきました
しかし入園希望を
断ったことはありません
保育は命を預かる仕事です
常に命懸けで臨んできました
それだけに一人の人生が
花開いた時の喜びは
それまでの苦労を
忘れさせてくれるものです
私は一度 大声をあげて
泣いたことがあります
さくら保育園を
立ち上げて間もない頃
骨と皮だけのように
痩せこけた乳児をある事情で
預かることになりました
その乳児を私は
毎晩抱きしめて眠らせ
その子もまた私を
とても慕うようになりました
ところが 年長になった時
その子の父親が突然来て
連れて帰ったのです
親権がある以上
どうしようもありません
体が引き裂かれるようでした
グッと我慢したものの
ついに堪えきれなくなって
我が家に帰り 人知れず
大声で泣いたのです
その子が久々に園に
顔を出してくれたのは
中学生の時でした
以来 時々園を訪れては園児と
遊んでくれるようになりました
さらに時を経て成人した彼から
結婚するので主賓の席に
座ってほしいと連絡が入りました
私は喜んで出席し スピーチでは
私が大泣きした時の話をしました
彼は私の話を
神妙な表情で聞いていましたが
式が終わり皆を見送るや
私に駆けより抱きついて
泣きじゃくるのです
彼の奥さんも泣いていました
長年の胸のつかえが
取れたのに違いありません
いつまでも私の心に残る
さわやかな思い出の一つです
保育の60年を振り返る時
つくづく感じるのは
幼いうちから見るもの聞くもの
触れるものは最高のものを
提供したいという思いです
それは保育の環境だけに限らず
子どもたちに心からの
褒め言葉と最高の愛情を
注いであげることです
そうすれば その子の人生は
必ず豊かになることでしょう
#斎藤公子
#藤尾秀昭
#365人の人間学の教科書

general
一番興味があるというか
一番おもしろいと思っているのは
本田宗一郎さんですね
その本田さんと話をしたときに
伸びるベンチャーの経営者というのは
どういうタイプかと
聞いたことがあるんです
まず一つは
前へ前へと進む意欲があること
二つは 人の意見を
素直に聴くことができること
三つは
権限委譲が行われているかどうか
四つが
よきパートナーを持っていること
そういうものを持っている人は
伸びるといったんですね
私もそうだと思いますね
それは全部
本田さんがやったことですしね
創業というと革新性とか創造性
なにか派手なものを考えがちだが
そうではなく
大変地道なものなんだと思います
創業というと形のないところに
形を作り出すわけだから
最初は混とんとした
状態にあるのが普通です
それに創業というからには
一人ではできない
数の多少はあっても何人かの人間が
集まって何かをやるわけです
混とんとしたなかでそれをやる
だからリーダーには
ある程度のカリスマ性がないと
うまく引っ張っていけない
しかしこのカリスマ性というのは
神がかったものなどではなく
地道なものだと思うんです
先にあげた四項目を
着実にこなしていること
これがカリスマ性だと思うんです
それと会社はいつも
創業時の状態ではないわけです
変わっていく
それに応じて
創業者も変わっていかなければ
会社は伸びていかない
多くの経営者がこの変化の点で
失敗していますね
本田さんはこの変身を見事に
やってのけられた例だと思う
本田さんも創業時はカリスマだった
強烈なカリスマだったから
みんなついてきたんです
だがある時期から脱カリスマを
試みられて それに成功している
本田さんはホンダにとって
カリスマではなくなっている
これは見事だというほかはない
本田さんがカリスマから脱し
創業時に強力に引っ張ってきた
本田さんのカリスマ性から
解き放たれることで
ホンダは大きく伸びた
極端にいえば大企業の経営者は
統率力だけ持ってればいい
じゃその統率力とは
何かということになると
一つは先見性といいますか
大局をつかむ力
それからもう一つは
懐の深さだと思います
そういうものを持たないと
創業者としては大成しない
というのが結論です
#城山三郎
#365人の人間学の教科書

general
失われたことは世界が失われた
ことに等しかった
ただただ ベッドの上に縮こまって
何も考えたくなかった
1年6ヵ月の間
私の巣ごもりは続いた
そんな生きているのか
死んでいるのか
わからないような私の魂を
呼び戻すきっかけとなったのは
かつて私が愛読していた雑誌に
ある評論家が
お書きになった 次の一文だった
"野球の試合にダブルヘッダーが
あるように
人生にもダブルヘッダーはある"
最初の試合で負けたからといって
悲観することはない
一回戦で素晴らしい試合ができた
のなら その試合が素晴らしかった
分だけ もし惨敗して悔しい思いを
したならば 悔しかった分だけ
二回戦にかければいい
その二回戦は それまでにどれだけ
ウォーミングアップをしてきたか
によって勝敗が決まってくる "
私の二回戦は
これから始まるのだと思った
一回戦とは違い 目の見えない私で
戦わなければいけない
だが この一年半というもの
二回戦を戦う準備をさせてもらった
もうウォーミングアップは十分だ
いてもたってもいられない気持ちで
東京都の福祉局に電話をかけ
ある心身障害者福祉センターを
紹介してもらった
目が見えなくなって 何から始めたら
いいのかわからない自分にとって
まず最初に必要なのは
一人で歩けるようになることと
点字を読めるようになること…
新しい人生を出発することになった
そうして私の二回戦の試合模様が
一冊の本にまとまった…
結婚し 子供を産み 盲導犬と共に
暮らす奮闘ぶりが描かれている
こうして
あの空白の一年半から
立ち直ってみて思うのは
生きる勇気を失わない限り
私たちはたいていの困難を
乗り越えていくことができる
ということである
不幸のどん底にいるときには
どこまでも奈落の底に落ちて
いくのではないかと思えてくる
だが それをこらえて
じっと痛みを耐えていれば
かならず明るい光は見えてくる
その一つひとつの困難を
乗り越えていくことが生きると
いうことなのではないかと思う
そして
一試合目がうまくいかなくても
人生にはときに
二試合目が巡ってくるのだ
そのためのウォーミングアップを
続けていくことこそが
次の一歩を踏み出すために
もっとも大切なことなのだと思う
#郡司ななえ
#365人の人間学の教科書


general
毎日生きてごらんなさい
この間 会社を途中で辞めた方の
奥さんが相談に見えたんです
そのご主人はお好み焼屋さんを
始めており 話を聞いてみると
やっぱりご主人は儲けたいという
気持ちがとても強くあるんです
元々会社で幹部だったことと
理系の人だから 現実が解らず
人に与えることができない
少し 他の店よりも与えることを
やってごらんなさいと言うけど
"与えたら損をしてしまう"と言って
与える意味を解ろうとしない
"そんなことをしたら
店はどんどん赤字になってしまう
だからちょっとでもいいから
稼がないと…それが商売だ "
という考えが強いとのことです
だからお客様に喜んでもらうより
自分が儲けることが
優先してしまうのでしょう
それを感じとったお客さんは
どんどん少なくなりますね
だから経費ばかりかさんで
結果 毎日お客に対する不満で
怒り顔で店に立つので…
結局 店を閉めるかどうかという
ところまで来てしまっていると
こうなってくると もう生き方の
根本から間違いなんですね
人に与えることを先にしないで
人から先にもらおうとして
どうしてお客さんが
あなたの店に来ますか…
よその店より工夫があり
おいしくて値段も安かったら
それは来てくれるでしょう
しかし他店よりもまずくて
肉や海老も小さくって
100円高かったら来てくれません
お好み焼きが好きで好きで
お好み焼きを始めたのなら
食べてもらうことが
嬉しくてたまらないはずです
そんな安らぎを
お客さんに与えてくれる店であれば
人々は絶対来てくれるんです
ちなみに これは十何年か前に
小倉で始めた食べ物屋さんの話です
最初に私のところに来た時は
その人は やはり儲けたい儲けたいと
言っていました
ところが 一緒に断食したりして
"商売は一割損をして生きていく"
という生き方に還るならば
必ず繁栄する
という法則に納得を得たのです
その人は大きな海老等を他店よりも
たくさん盛るようにしたんです
その食べ物屋さんはとにかく
いつもお客さんが多くて その街で
一番の繁盛店と言わるように…
それでいて
拡大をしないことを心掛けていると
いろんな意味で
少し損をすることを覚えてゆくと
対立と競争から抜け出し
生きてゆくことが楽になりますね
#北川八郎
#365人の人間学の教科書
#致知
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