家族の絆と成長：両親の折り合いと修学旅行の思い出

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渚ブリストル

2022/10/13

両親の折り合いが悪かった頃、一度離婚の危機が訪れた。

懸念を抱いたまま修学旅行に行き、帰った時に母だけが迎えに来てた。
無理に旅行の話だけに終始して、家族の話はしないようにしてた。多分お互いの意思がそうだった。

雑然とした想いはあったんだろうけど、突然
「最近何も買ってあげてないから何かゲームでも買って帰ろうか」と母は言った。

その時に特に欲しいものはなかった。
なかったんだけど、すぐに家に帰りたくない事や今の状況による、子供に対しての自責の念などが読み取れた。

そういう想いもあり、帰りにデパートに立ち寄った。店内同年代の子供でいっぱい。
みんなハンターの目で物色している。
いつもは自分もその一人だったんだけど、その日は違ってて、ゲームソフトが燻んで見えた。

俺は興味ありげに眺めるふりをして、さしたる興味もない「くにおくんドッジボール部」を手に取ってせがんだ。なんていうか「買ってもらう」より「母のために買ってあげる」という気持ち。
母は快く買ってくれた。

その時はあまり何も感じていなかったんだけど、
年々その事を強く思い出すようになってる。
欺いてしまった事への後悔、夫と子供と板挟みにさせていたのではないかという憶測、机上だった母が次第に弱くなっていく過程を垣間見たような寂しさ諸々。

大袈裟ではなく涙が出そうになるほど寂しさが今でも湧き出る。

近年になり、母にその時の事をそれとなく聞いてみた。

「あの時ゲーム買ってくれたよね。ああいうのは初めてだったけど、あれは何で急に言い出したの？」

すると母は、

「そんな物買うかい‼️笑」

で話が終わった。俺は少し楽になった。