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【連続GRAVITY小説】
〜Gravity-Link〜

第二十六話:声の体温、マイクの距離

2026/01/15
夜 22:30 私の音声ルーム
 ルームを立ち上げると、すぐに馴染みの名前が並んだ。
 マイクの上には、二都(ニト)君とやざわさん。二人は今日が初対面のはずだが、私のルームという場所を介して、静かに言葉を交わし始めている。
「ニトさん、ウインナーコーヒーの件、びっくりしました」
 やざわさんがマメにコメントを拾いながら、マイクで話す。ニト君は『見えたままを言っただけだよ』と、煙に巻くような声で返した。
 マイクに上がらずコメントで参加する葵さんは、そのやり取りをじっと眺めていた。彼女はニト君が語った私の新しい情報を、心に書き留めているようだった。
 そこへ、通知が跳ねた。見知らぬユーザーからのマイク申請だ。
 私は「初見さんは、ごめんなさい」と定型文を打とうとしたが、その前に指が止まった。たまには、という気まぐれが動いた。承認ボタンを押した瞬間、ルームの空気が一変した。
 上がってきた「初見さん」は、挨拶もそこそこに自分の身の上話を永遠と始めた。いわゆるマイクジャックだ。コメント欄が困惑で止まる。
 もちこさんが『……あはは』と乾いた文字を打ち、けーぞーさんとももたろうさんも、どう突っ込むべきか測りかねている。
 その沈黙を破ったのは、ゆかりさんの静かなタイピングだった。
『言葉は、誰かと分け合って初めて温かくなるものですよ』
 その一言に、ニト君が『独り言なら、鏡の前でいいからね』と冷たく、でも確かな真実を添える。
 
 私は、黙ってその初見さんをマイクから降ろした。ルームに、いつもの穏やかなノイズが戻ってくる。
「……助かりました。」
 私がマイクを通さず独り言をこぼすと、きびさんが『主さんも、大変ですね』と、優しくスタンプをくれた。


#連続GRAVITY小説
#第26話
#読んだ話はいいねしておくと便利ですよ
#まだ少しバブル
#storysong
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