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戦国時代において「策に溺れる（策を弄しすぎて、かえって失敗する）」という言葉がふさわしい武将やエピソードとして、以下の事例が挙げられます。

1. 安国寺恵瓊（あんこくじえけい）
毛利氏の外交僧として知られる策士ですが、その「策士」ぶりが仇となった代表例です。
失敗の背景: 関ヶ原の戦いにおいて、石田三成に加担し毛利輝元を西軍の総大将に担ぎ上げました。しかし、毛利家内部の調整や東軍への根回しが不十分なまま突き進んだ結果、毛利本隊は動けず、戦後は毛利家の大幅な減封を招きました。
結末: 自らも捕らえられ、京都の六条河原で処刑されました。

2. 黒田官兵衛（くろだかんべえ）
豊臣秀吉に「天下を狙える男」と警戒された天才軍師ですが、その知略が自身の不遇を招いた面があります。
失敗の背景: 本能寺の変を知った際、取り乱す秀吉に「天下を取る好機」と囁きました。この鋭すぎる洞察力（策士としての性）が、秀吉に「自分を脅かす存在」という恐怖心を植え付け、重用されつつも警戒され続ける一因となりました。
結末: 天下人への道は閉ざされ、九州の地で余生を過ごすことになりました。

3. 武田勝頼（たけだかつより）
父・信玄を超える功績を急ぐあまり、戦略的な「こだわり」が裏目に出ました。
失敗の背景: 父が落とせなかった高天神城の攻略に固執し、一度は奪取したものの、後の奪還戦では織田信長の「あえて救援させない」という策に嵌まりました。救援を求める守備軍を見捨てた形になり、家臣団の信頼を急速に失う結果となりました。
結末: 家臣の離反が相次ぎ、天目山の戦いで武田家は滅亡しました。

4. 陶晴賢（すえはるかた）
大内家を実質的に支配した実力者ですが、策士・毛利元就の謀略に完敗しました。
失敗の背景: 厳島の戦いにおいて、元就が流した偽の情報（偽報）を信じ込み、狭い厳島に大軍を上陸させてしまいました。自らの武力と数に溺れ、地形の不利を突かれるという元就の策を見抜けませんでした。
結末: 退路を断たれ、敗走中に自害しました。

5. 本多忠朝（ほんだただとも）
こちらは「策」ではありませんが、個人の慢心が招いた有名な失敗例です。
失敗の背景: 酒豪として知られ、大坂冬の陣で酒を飲んでいたために不覚を取り敗走。その汚名をそそごうと大坂夏の陣で奮戦しましたが、深追いしすぎて戦死しました。
結末: 死の間際に酒を悔い、「酒で身を誤る者を救いたい」と遺言したとされ、現在は「酒封じの神」として祀られています。