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良風

良風

未だに心が痛む。

…学校が終わると、僕は一目散にその空き地に走った。けれど結局、ラッシーはもうどこにもいなかったんだ…

当時住んでた地域には野良犬がよくいて、子供だった僕らがラッシーと呼んでたメス犬が、古びた文化住宅の軒先で子犬を産んだ。
目も開いてない子供を抱えて大変だろうと、うちの母のすすめもあって僕は残り物を毎晩ラッシーに届けた。エサを持ってくと耳を寝かせて静かに喜ぶ人懐っこい犬だったが、ラッシーは決してうちについてこようとはしない犬だった。うちには当時犬がいて、臭いでそれを知ってたからかも知れない。
学校が終わるとみんなで毎日子犬を見に行った。

そんなある日、ラッシーは突然いなくなった。
文化住宅の住人が保健所を呼んだからだ。ショックだったけれど、日が経つにつれラッシーのことは次第に忘れていってた。

1年以上経った冬の朝、僕は遅刻して1人で通学路をトボトボと歩いてたんだ。途中枯れ草が生い茂る空き地があって、そこに差し掛かった時、一匹の犬がガサガサと草を掻き分けてこちらに向ってくる。見ると体毛のほとんどが抜け落ち、ガリガリにやせ細ったものすごく汚い犬。けれどなぜかこちらに尻尾を振ってくる。

よく見るとそれはラッシーだった。

あまりに変わり果てた姿に僕は怖くなったんだな、触ると何か病気になるかも、そんなことを僕は考えた気がする。咄嗟に出た言葉は
「シッ!」
そのまま逃げるように学校に向かう僕をラッシーは追ってはこず、遠ざかる僕をじっと見ていた。
結局それがラッシーを見た最後になった。

学校が終わるまでの間、ラッシーが頭から離れなかった。なんであそこにいたんだろう?なんで追い返したんだろう?そんなことばかりぐるぐる頭を回った。

多分、あれはラッシーが今生のお礼を言いに来てくれたんだろう。毎日エサを持って行ったのは僕だったから。保健所が来て、子犬は連れて行かれたけれど、結局ラッシーは逃げた。子犬がいなくなり、その場所に意味を無くし、またあちこちを放浪し、やがて死期を悟ったんだろう。きっとあれからそんなに長くはなかったと思う。

もしあの時やさしく撫でていたとしたら?
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