トンネルの合間に街を見下ろし、何をしているんだと思った。飛び乗った特急の兄はかくも短い。が、それは距離だけの話だ。物事はひとつの側面では測れぬと知っている僕は二十七年前よりも成長しているらしい。新大阪はかくも近い。異常なダイヤで駆け回るひとを一瞬間思い浮かべ、来た道を引き返した。