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老松こも
以前NPO法人に探してもらっていた結果、ついに実際の両親が見つかったのだそうだ。日本への渡航履歴やその際の一時保護施設からの外出届の記録から、私が発見された前後の帰国履歴から割り出したらしい。
残念ながら父親は飢餓に加え流行病で亡くなってしまっていて、その際に幼い弟も一緒に亡くなってしまっていたらしい。彼は一緒にお墓参りに行ってくれると言うが、私は首を振って断った。
今の私は日本で日本人だと認められ、育った日本人だ。イジメはもとより差別にもあって辛いことの多かった日々でもあるけど、その中でも仲良くしてくれる友達はたくさんいるし、親切にしてくれた人もいた。私が悩んで挫けそうになったときに、手を引いて導いてくれた恩人も、私に寄り添ってこれからの一生を過ごしていこうという大切な人もできた。
今更現れたよく知らない国のよく知らない他人になんか、なんの感慨も湧かない。ただ、私を日本に捨てていったことにすこーしだけ感謝していなくもない。その点だけ、これから募金等で返していけたらとは思っている。
だから、私は母親と共に国に帰ることはしないと決めていた。むしろ会うこともやめようと思っていたけれど、彼がどうしても会ってほしいと言ってきたので、彼と二人で会うことに決めた。
実際に相対した母は、記憶よりも随分老けていて、一瞬誰なのか分からなかったくらいだ。当然だろう。あの頃から少なくとも二十年は過ぎているのだ。
ただ、母は私のことがすぐにわかったみたいで、彼女の母国語でわたしの名前らしき言葉を私に投げかけていた。日本語は分からないのだろう。私が帰らないことを伝えてみても、あちらの母国語で何やら叫んでいる。せめて英語で話してくれないだろうかとも思う。
やがて母らしき人の話が終わると、彼が彼女に話しかけていた。
「これはもしかしたら伝わらないかも知れないけど、言わせて欲しいことがあります。まず、彼女を、日本に置き去りにしてくれてありがとうございます。あなたが置き去りにしなければ、僕は彼女に出会うことはなかったでしょう。その点には本当に感謝しています。
ですが、だからといってあなたのことを正しいなどと言うつもりもない。あなたが連れ帰っていれば遭わなかった辛い出来事や……」
って感じに展開する物語にしたい。
#小説 #無国籍
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