人気

ハーロック
病院を抜け出して行ったイタリアンランチの帰りに、君は僕にそう言ったんだ
振られるのは仕方がない、最初から高嶺の花だと思っていた
一度だけ一緒に食事が出来た、それだけでも嬉しかった
君はあまり食事に手はつけなかったけれど、ずっと笑ってくれたから、僕は誤解してしまった
どもりながらの告白に、君が頷いてくれた時
僕は嬉しさのあまり、最後に出されたコーヒーをガブ飲みして、舌をやけどした
そりゃそうだろう、こんな夢のような話がうまくいくはずはない
でも君は続けたんだ
あなたのことが好き
その気持ちにウソはないの
でもね、だからわたしは酷いと思った
あのね、わたし……
実はもう長くはないの
先生に、そう言われてる
今日も看護師さんに内緒で来ちゃった
早く帰らないと、今頃大騒ぎかも
わたしね、家族とうまくいってなくて
両親が離婚して、お父さんについていったのだけど
お父さんが再婚してからギクシャクしちゃって
わたしこんなだし、入院してばっかりで
だから、淋しかった
ごめんなさい、あなたを利用しました
ひとりで死ぬのが怖かった
誰かに傍らにいて欲しかった
誤解しないでね、最初は誰でもよかったのだけど
話すうちに楽しくて、あなたを好きになっていました
だから、わたしは自分がしていることが酷いことだと思いました
あなたが告白してくれて、嬉しかった
本当に、嬉しかった
でも、酷いよね
わたしこんなだし、すぐにいなくなっちゃうから
ごめんなさい、酷いことをしちゃって
アスファルトに落ちる君の涙を見つめながら、僕は呆然と立ち尽くした
君はもう一度頭をさげると、僕の脇をすり抜けて走り去ったんだ
頭の中が真っ白になって、身体が震えているのにもなかなか気づけなかった
なんだよ、それ……
余命、淋しかった、酷いことをしただと
そんなことない
そんなことない
君は、大切なことがわかっていない
そう思った
だから僕は、君の後を追いかけたんだ
#希望 #小説

りりり。
これは今年読んだ本達
色んな小説家さんや作品に触れられた1年でした
2024年も沢山本読むぞぉぉぉ[大笑い]
#読了 #読書 #小説


ハーロック
君は電話の最後に、そう言った
初めてのデートは、二人でミュージカルを観に行こう
何故僕がそう言ったのか
自分でもわけがわからなかった
たた、デタラメではないんだ
誘うのに、もうありえないくらい緊張していたけど、僕は好きな人と一緒にミュージカルを観に行くのが夢だったのだから
演劇に詳しいわけではないけれど、昔観た映画の中で、恋人たちが寄り添って観るミュージカルのデートは最高だった
実はまだ、ミュージカルなるものをちゃんと観た事が無かったのだけど
君との出逢いは、GravityというスマホのSNSだった
悩みを抱える君の投稿に、僕は勇気を出してDMを送ったんだ
大丈夫ですか?
助けがいりますか?
返信は意外と早かった
大丈夫です
ただ、わたしの話を聞いてくださいますか?
はい、もちろん
どうぞ、お話聞かせてください
君は日常で抱えている家族や会社での不安を話してくれた
僕は大したアドバイスはできなかったけれど、君の話を真面目に聞いたんだ
そこから、毎朝挨拶のようなDMをかわすようになって、僕は君に惹かれていった
話していくうちに、君が実は隣りの県にいることがわかった
ちょっと足を伸ばせばいつでも会える距離だと知った
その頃にはDMだけではなく、LINEの交換もしていて、時々通話もしていた
だから僕は、タイミングを見計らって大胆にもデートに誘ってみた
君の住む街の劇場でやる、ミュージカルのチケットが2枚手に入りました
良かったら一緒に行きませんか?
ええっ、ミュージカル!
観てみたいです!
行きます!
僕はスマホを握りしめたまま、ガッツポーズをしてしまった
中々のお値段がしたけれど、頑張って良かったと思った
当日、僕は少し背伸びして買ったジャケットを着て出かけた
君の住む街まで、新幹線に乗った
華やかなミュージカルは、僕の想像の遥か上をいっていた
ミュージカルって生演奏だったんだ、初めて知った
役者さん達の豊かな声量に酔いしれていたら、3時間があっという間に過ぎた
割れんばかりの拍手をして、満面の笑みを浮かべた君と目が合って、少し恥ずかしかった
でも僕には思い出に残る最高のデートとなった
ねぇ、また行こうね
君からそう言ってくれて、僕は本気で頷いた
#希望 #小説

ハーロック
少し沖に、特徴のある岩が飛び出している観光地の海岸で
たまたま近くを通りかかった近所の漁師により、発見された
死因は凍死だと、検死医は言っていた
パジャマの上からコートを着ただけでは、相当寒かったに違いない
病院からの捜索願いが出ていたので、老人の身元はすぐに判明した
87歳、男性
老人は末期癌におかされていた
身寄りは無く、天涯孤独の身であることがわかった
事件性は無いように思われたが、外でひと一人が亡くなっていたのだ
俺が呼ばれたのはその為だ
司法解剖をするまでもないが、上はどう言うだろう
老人が何故、病院を抜け出してひとりで海岸に向かったのか
答えはコートの内ポケットに入っていた
しわくちゃになった、一枚のモノクロ写真だ
写真には、若かりし頃の老人と、その妻とおぼしき女性
老人の腕には幼い娘が写っていた
背景は、あの海岸だった
調べによれば、娘は幼くして亡くなっていた
夜中に病院を抜け出した老人は、暗い海岸に辿り着いて、あの風景を見ることはできただろうか
写真の笑顔が、脳裏にこびりつく
何とも、やり切れんな
薄暗い遺体安置所で
俺は老人の胸に写真を置いて、もう一度手を合わせた
老人が、無事家族と会えるように願った
そういえば、年末からの忙しさで家に帰っていない
無性に、家族に会いたくなった
#希望 #小説

ハーロック
普段は静かなこの広沢の池に、今夜は沢山のひと達が訪れている
心配された雨はあがり、五山送り火は無事点灯が始まった
池の向こう側の山に、大きな鳥居が浮かび上がった
歓声が上がった
炎でかたどられた美しい鳥居
今年はひとりで見ることになりました
鳥居の点灯に合わせて
小さな灯篭が流れはじめた
暗い水面に小さな灯りが
ぽつりぽつりと流れていく
いつもなら美しい光景に見惚れるところだけど
今回は灯篭に込めた思いの方が強かった
橙色に灯る小さな灯篭が、貴方にも見えますか
「願いというものは、叶うものではない」
いつも話してくれた、貴方の雑学が蘇る
希望を無くしそうなひとに、願いは必ず叶うと言ってみたところで、嘘っぽくなるだけだ
わたしは貴方の話を聞くのが大好きだった
まるで湧き出す泉のように、知識が豊かなひとだった
ひとの希望を取り戻すために、僕ならこう言うだろう
「届かない願いなど、ないのだよ」
貴方はそう話してくれた
相手が過去のひとだろうが、未来のひとだろうが、たとえこの世にいなかったとしても
願いは必ず届くのだよ
そう教えてくれたっけ
もし、そのお話が本当ならば
今夜の灯篭流しにのせた
わたしの願いは貴方に届きますか
静かに水面に漂う灯篭を眺めながら
堪えきれずにハンカチを握りしめた
もっと一緒にいたかった
貴方と一緒に、灯篭流しを見たかった
願いは叶わないけれど
願いは必ず届くもの
涙は見せないつもりだったのだけれど
ごめんなさい
貴方の声が聞きたい
顔が見たい
わたしの願いが届いたなら
貴方はわたしを想ってくれますか
わたしが本当に言いたかったことは
ありがとう
その一言です
いつかまた、貴方に逢いたいです
サヨナラは言いません
またね……
#希望 #小説

ういろう
作:ういろう
2024.01.15 04:40
私は、綺麗なものを見る・聞く・感じるのが好き。
それらは自然そのものな時もあるし、
誰かのイラストだったり、
映像作品だったり、
音楽だったり。
少なからず、それらは皆芸術に分類される。
こういう気持ちで作ったのかな
ここの配色の理由はこうなんだろうな
この音の繋がり、聴く人をこういう気持ちにさせてくれるんだな
そういうのを考察するのが、とっても好き。
それが間違っていたら、その人のことをひとつ知れるし、
合っていたら…
…自分が、気持ちいいだけ…?
「人の気持ちわかる私、かっけぇ〜!」
ってこと?
私は、芸術を受け取るのは好きだけど、
自分で生み出すことは出来ない。
それだけのスキルがない。
「やってみなければ分からない」
「画力は鍛えられるよ」
やってみた後に言われましても。
数式で書ける直線、曲線でしたらいくらでも。
あ、フーリエ変換しましょうか?
すぐ幾何学に逃げる。
世の中全部0と1なら簡単だったのにね。
ビットの集合では到底表せない、
アナログ→デジタル変換で削り落ちる部分を、
私はかき集めてる。
自分に足りない、『心』をそれらで造るから。
まだ、昔よりはマシになったんだ。
こうして文章に起こせるからね。
人である条件
私は「心を有すること」だと思ってる。
私の心は、幼い頃に一度壊れた。
…この表現じゃないな…
バグってたのが治ったから、
空隙があるって感じ、かな。
そのせいなのか、私は芸術を解することは出来れど、
生み出すことは出来ない。
…その解した芸術も、所詮0と1の集合になっちゃってるけどね。
だからとりあえず、
今は心を造ろうとしてるんだと思う。
集めた0と1をくっつけて、
もっと精巧に造り上げれば、
アナログを感じることができるかな。
そうすればちゃんと、本物の『心』を
自分だけの心を、生み出せるようになれるかな
生まれて20年
私の心は現在制作中 進捗--%
あと、何年経ったら完成するかな
本物の心は、息絶えるまでに、持てるかな
それまで、
あまりにも自己中心的に芸術を貪る私に
いっぱい「しりょう」をくれると嬉しいな。
だれかにとどけ
慰めは要らない
応援が欲しい
#小説
ふらりねこ
映画化されたら見れないかもしれない。
それくらい深く引き込まれて仕方がなかったので夕木春央さんのこちらを読んでみます😌
#夕木春央
#小説


ま〜さん
私にふさわしいホテルと言う映画を映画館で見た時、皆んなが声を出して笑うほど面白い作品でした。作者を調べたところ柚木麻子さんと言う方でした。本屋さんに行ってこの方の小説を適当に買って読みました。個人的な感想ですが、非常に面白いものでした。星屑のようにある小説ですが、この作品は多くの人に読んで欲しいなって思います。読まれた方がおられれば簡単な感想が欲しいです。
#小説
#柚木麻子
#ヒューマンドラマ

もっとみる 
新着

十二..🐾
主人公がサイコパスすぎて好き笑
まじで恋愛系好きな人にはおすすめかも
#小説 #三浦しをん #「骨片」


アル
#読書
#小説
#短歌

@_KuRo.S🥀🎭
いくらでもDM待っております!#音声ルーム #声劇 #歌ってみた#アニメ #小説



光子 (コウシ)
-露草が湖面のような青をたたえて、いっせいに花開いた、
昨日の雨はこの青を連れてきたのかとか合点する-
-ただ黙って相手の云い分をふんふんと聞く。この「ふんふん」が肝心なのじゃ。ときどき、ふんふんと二回「ふん」を繰り返す所を、一回にする。「ふうん」。それをまた、深く感心したような節回しにする。「ふうううん」。腹の底から唸るようにするのがコツじゃ。それから全く別の考えを呼び込むような、「ふーん」。こいつは水平に伸ばし、心持ち上げ気味にする。 これの変化を五種類も付けて、相づちを打っていれば、相手は自然に自分で解決を見出して-
ゴロー、、、なんて名犬
山内良い人
ゴローさん、、、
-想像、というのは、実際ここにはないものを、あると思い描くことです。だから想像力、とは現実から離れることが出来る力、と云ったらいいだろうか。そう、目の前の世界を組み替える力、です。世界に新しい光を当てる力、と云ったらいいだろうか-
「キキョウ」「マツムシソウ」 沁み沁みする 沁み沁みと救われる
この想像力で、松子嬢はどれだけ救われた時だあっただろう
あの時の記憶に、いくた気持ちを救われただろう。
- 体軀は大きからず小さからず、色は茶。尻尾はふさふさとして目元涼しく、人を見て恐れず、それを侮らず、己が必要とされればその役割に応えんと誠実のかぎりをつくす。与えられぬものを盗ろうとせず、与えられたものでも、必要とする者があらば、そちらへ譲ろうとする。 威張らず、威厳をず、平和を好むが、守るべきものがあれば雄雄しく立ち向かう。友情に篤く、その献身は、かけがえがない。
外観的特徴だけを説明するつもりであったのに、つい彼の犬の性質の話になってしまった。しかも途中で止まらなかった。話しながら、不覚にも涙ぐみそうになった。ゴローこそが私の生活の同伴者であったのではないか。しかるに私はゴローにふさわしい飼い主であったためしがあったか-
綿貫、、、ゴロー大好きだな
-サトさんは大きく肩を上下させ、息を吐くと筺ごと頬ずりし、この上な優しい声で、
―菊ちゃん、送ってあげるさけね。
どあろぃよ、とささやいた-
こんなに想ってくれる幼馴染が近くにいてくれて良かったね
互いに-途端に雷に打たれたようにわかった-んだろうな
あんなにいそいそ近づい来たら嬉しすぎる!
-振り切れんばかりに尾が揺れている。満面の笑みが、私に向かって跳ねる-
"読んで良かった本“
#読書 #小説 #梨木香歩


志賀寺
小さいけど小説賞いただきましたーッ!
第2回HelveticaBooks短編小説賞優秀作品『カンコドリのいた夏』、書いたの僕でーすッ!#小説 #創作活動

どらやき
単行本で読む
映画館で観る
文庫本で改めて読む←今ここ
今年も映画を色々観たけど、これは純粋に
感動して泣ける作品だったな( * ॑꒳ ॑*)

トワノヒカリ
もっとみる 
関連検索ワード
