その仄暗い空にきらめいたのは明けではなく宵の明星なのだという果てしないさびしさが、その背中に落ちて、無人の家に満ちる。斜陽の美学が胸を貫いて、喉を潤す水が生命の芯を通る音が聞こえる。この人が生きている、と、途方もない実感に襲われる。