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なす
〜 タイトル 〜
【先輩】
____
君を想う季節
中学二年生になっても、
私の気持ちは変わらなかった。
いや、変わったのかもしれない。
好きという気持ちは、
前よりずっと大きくなっていたから。
そんなある日の部活だった。
私たち女子バレー部はいつも通り練習を終え
片付けの時間になった。
その日の片付け担当は私とAちゃん。
だけど、Aちゃんは風邪で学校を休んでいた。
「はぁ……一人かぁ」
誰にも聞こえないくらい小さく呟く。
広い体育館には、まだボールを片付ける音や
部員たちの話し声が響いていた。
ネットを外して、ボールかごを運んで。
一人でやるには少し大変だった。
黙々と作業を続けていると、
「山本、手伝うよ」
聞き慣れた声がした。
振り返るとそこには野村先輩が立っていた。
一瞬、思考が止まる。
「え……」
「一人じゃ大変でしょ?」
先輩は当たり前みたいに笑った。
その笑顔だけで心臓が跳ねる。
嬉しい。
嬉しすぎる。
今すぐ体育館中を走り回りたいくらい嬉しい。
でもそんなことできるわけなくて。
私は必死にニヤけそうになる口元を引き締めた。
「ありがとうございます……!」
声が少し裏返った気がした。
気づかれていないことを祈る。
それから二人で片付けをした。
同じ空間。
同じ作業。
すぐ隣に先輩がいる。
それだけで幸せだった。
片付けが終わる頃には、
私の心臓はずっと落ち着かないままだった。
すると先輩がふいに言った。
「山本ってさ、いつも部活頑張ってるよね」
「え?」
「最近すごく上達してるし。
まだまだ伸びると思う」
私は目を見開いた。
先輩が見てくれていた。
そんなこと、考えたこともなかった。
「ほ、本当ですか!?」
思わず声が大きくなる。
「本当本当」
「私、もっと練習します!
今より上手くなってみせます!
先輩ともいつか……!」
そこまで言って慌てた。
しまった。
喋りすぎた。
絶対変なやつだと思われた。
顔が熱くなる。
だけど先輩は笑った。
「本当?」
優しい声だった。
「楽しみにしてるよ」
その言葉だけで胸がいっぱいになる。
そして先輩は少し考えるようにしてから言った。
「そうだ」
「はい?」
「今日帰り、一人?」
私は瞬きをした。
質問の意味を理解するまで数秒かかった。
「えっと……はい」
「じゃあさ」
先輩は自然な調子で言った。
「一緒に帰らない?」
世界が止まった気がした。
え?
今なんて?
一緒に帰らない?
先輩が?
私を?
頭の中がぐるぐる回る。
夢じゃないよね?
幻聴じゃないよね?
確認したかった。
でも口は勝手に動いていた。
「はい!」
即答だった。
⸻
その日の帰り。
私は先に校門で待っていた。
落ち着かない。
何度も時間を確認する。
何度も髪を触る。
変じゃないかな。
変な顔してないかな。
そんなことばかり考えていた。
しばらくすると、
「お待たせ」
先輩が手を振りながらやって来た。
その姿を見ただけで胸が苦しくなる。
本当に私は単純だ。
好きな人が笑っただけで幸せになれる。
そんな自分が少し恥ずかしかった。
だけど嫌いじゃなかった。
帰り道。
私たちはいろんな話をした。
部活のこと。
授業のこと。
友達のこと。
何でもない話ばかりだった。
それなのに楽しい。
ずっと笑っていた気がする。
そして私は一つ気づいた。
先輩の声、かっこいい。
今さらそんなことを考えている自分に呆れた。
でも本当にそうだった。
聞いているだけで安心する声。
優しくて温かい声。
私はその声をもっと聞いていたかった。
ずっと。
できることなら、ずっと。
だけど帰り道には終わりがある。
やがて分かれ道が見えてきた。
私の家と先輩の家は反対方向。
当然、ここでお別れだ。
もっと話したい。
もっと一緒にいたい。
そんな気持ちが胸の奥で膨らむ。
けれど言えるはずもなくて。
「じゃあ、またね」
「はい!また!」
笑顔で手を振った。
先輩の姿が見えなくなるまで。
⸻
家に帰った私は真っ先に
自分の部屋へ駆け込んだ。
ベッドへ飛び込み、枕に顔を埋める。
そして。
「~~~~っ!!」
声にならない叫びをあげた。
嬉しかった。
恥ずかしかった。
夢みたいだった。
好きな人と一緒に帰った。
たくさん話した。
褒めてもらった。
それだけで胸がいっぱいだった。
きっと今の私は真っ赤な顔をしている。
誰にも見られなくてよかった。
もしかしたら今日だけかもしれない。
最初で最後かもしれない。
それでもいい。
そう思えるくらい幸せだった。
だけど――
もしかしたら。
また誘ってくれるかもしれない。
そんな期待が心のどこかに生まれてしまった。
私はその小さな期待を抱えたまま眠りについた。
⸻
次の日の朝。
昨日の余韻はまだ消えていなかった。
鏡を見るたび思い出してしまう。
先輩の笑顔。
先輩の声。
帰り道の時間。
今日は部活が休みの日だった。
それでも私は学校へ向かう足取りが軽かった。
理由は一つ。
先輩がいるから。
顔を見るだけでもいい。
ただそれだけで、今日も頑張れる気がした。
私は少しだけ弾む心を抱えながら、
校門をくぐった。
そしてその日――
――――
続きはまた明日

はむむ
ずっと一緒にいるような友達って私居ないよね
ガチ人生相談したい。あの先輩に、しないけど
泣ける#急なネガティブ [草]
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