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マヌガ氏または無敵税

マヌガ氏または無敵税

#F1CT10n
最近、変な夢を見るんです。
ふと気付くと目の前にボロっちい建物があって、周りを見ても木やら雑草やらやたら生えてたり比較的新しそうなアパートが奥の方にあったり、そんな全く見覚えのない景色が広がっているんです。
「おい」と急に声を掛けられて隣を見ると、私の父のような、黒いシルエットみたいな何かが隣に立ってて。僕の手を握っているんです。
そこで初めて自分が「子供に戻っている事」に気付くんです。この夢何回も見ましたけどいつもここまで気付かないんです。

そしてそのシルエットが。
「あの家の人はな、頑張ってるんだからちゃんと分かってやらないと駄目だぞ。ああまでしてどうしようもない事を背負ってるんだ。」と、目の前のボロい建物を指差しながら語りかけてきます。

よく見ると、窓と思わしき部分がトタンで塞がれている。そしてそのトタンが時折、ガタガタと揺れている。

トタンの奥から声が聞こえてくる。
「もういいじゃん。ねぇもういいじゃん。」

「だめだよ、ここだけなんだよ、うちだけにしないとだめなんだよ。」

「一緒でいいじゃん。一緒でいいじゃん。」

「だめなんだよ、一緒じゃだめなんだよ。私たちだけじゃなきゃだめなんだよ。」

外に出たがる子供の声。
それを必死に宥める母親の声。
恐らくそんな所だろう。

何故、出してやらないんだろう?
そう思いながら見つめているとシルエットが再び話しかけてくる。

「でも、いつか誰も背負えなくなったら、大人しく全部譲ってやろうな。」

誰に?何を?


トタンがガンガンと音を立てる。
ヒビが入る。隙間から何やら、芽のような物が飛び出してきて。
自分の額から汗が吹き出てくるのを感じて。隣のシルエットもどんどんブレていく。

そして最後。

何も無い、何も無いはずなのに。

トタンの向こうにいる誰かと、目がはっきり合ったような気がして。


「出るから譲れよ。」


ごめんなさい。
そう叫んで目が覚める。こんな日々をかれこれ四ヶ月続けています。

あの見覚えの無い、トタンまみれの建物は。

一体何をしまっておく場所なのでしょうか?
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