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【小説家さんと映画デートをする】7
#まる婚活

「実は俺、厳密には専業小説家ではないんです」
彼は真剣な面持ちでカミングアウトした。


『へぇ』
私は気の抜けた返事をする。
申し訳ないことに、あまり頭に入ってこなかった。映画の余韻で頭がいっぱいだった。

実は事前にふんわりと結婚相談所のおばちゃんから聞いていた。なのでそんなに驚かなかった。
おばちゃんは「まぁね、こういう職業の方って安定しないからね~ 他の仕事もやる時はあるわよね」と言っていた。

彼は続ける。
「専業で頑張りたいとは思っているんですが、なかなか難しく…実は別の仕事もやっていました」
『そうなんですか』

「プロフィールに書かれていた収入欄は去年の数字でして… 去年は別の仕事を頑張ったお陰でして… 今年はその仕事をしていないので、実際はもっと低い年収になります…」
『…はい』
「また収入が減って生活が厳しくなってきたら、別の仕事を兼ねながらと思っています」
『…はい』
「騙しているようで、すみませんでした」

彼は申し訳なさそうに話した。

いやいや、「俺は絶対に働かない!小説以外はしない!」って人よりも断然良いと思うよ!

そりゃあ専業で生活できる人なら素晴らしいけれど…。
世の中には実家でニートしながら書く人や、返せない借金をしながら書く人だっているわけだし… 小説家って仕事は収入の不安定さもあるわけだから、柔軟に別の仕事を兼ねながら続けることだって素晴らしい事ですよ!!

…と言えれば良かった。

でも実際はボケーっと『いいとおもいます』とだけ言った。
彼はポカンとしていた。

あぁ…
バカなのかな私。

さりげなく本日2回目の大失敗だった。

大きく『失敗した!!』というものではないけれど、本当に『最低なことをしたな』とじわじわ後から来る失敗だった。

私は【結婚相手には私の話を聞いてくれる男性が良い】と思っている。

…でも今回は私がそれを出来ていなかった。
【私の話を聞いてくれる人が良い】と言いながら、自分自身は【人の話を聞かない女】であった。
映画に夢中になりすぎて大切なことを忘れていた。

『映画…よかったなぁ…』

人の話を聞かない女は再び呟く。
最初から断る気であったことも手伝って、映画の感動とヤケクソの境地だった。

私も彼からフラれても仕方ない女だったのかもしれない。
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コメント

ともくりん

ともくりん

7 GRAVITY

まあ、気がない相手だとそうなりますよドンマイ!

返信
オカルン

オカルン

5 GRAVITY

映画みて感動で号泣してる相手にソレ以外の話題を振る時点で間違えてると思いますけどねー

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アキラ(ねこ担当)

アキラ(ねこ担当)

4 GRAVITY

彼も映画の余韻に一緒に浸れる人だったら良かったのに~♪(>_<)

返信
ろっきー

ろっきー

3 GRAVITY

まるさんは話を聞かない人じゃないと思います。 普段は聞く人であっても、誰だって聞けないタイミングってあるし。 そんな時に自分語りをしてくる小説家さんの間の悪さもあると思います。。 なのでそんなに落ち込まないでくださいー。

返信
もも☁‪ ·͜·♡̥

もも☁‪ ·͜·♡̥

2 GRAVITY

再びつぶやく。感動とヤケクソの境地。使わせてもらいます🙇‍♀️笑

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