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蓮葉

蓮葉

古本を読んでいると紙魚が潰れて死んでいた。
不快感を覚えながらページを捲る。また潰れて死んでいた。しかも二匹。
紙魚は紙が主食の薄っぺらい虫で、ただ本を閉じるだけでは死なない。おそらく、前にこれを読んでいた何某さんが意図的に潰したのだろう。
何となく、同じ古本屋で買った別の本を開く。
その本も紙魚が潰れて死んでいた。

僕は几帳面な何某さんの正体を探るべく、翌日その古本屋へと出向いた。
髪も愛想も無い店主が言うには、僕が買った本は全て遺品整理で買い取ったものらしい。そしてかなりの読書家だったようで、店の角の本棚は全て何某さんの遺した本で埋められている。
僕はそこから一冊見繕って店を後にした。

歩きながらその本を開くと、また紙魚が潰れていた。それを軽く爪で引っ掻くが、剥がれない。
不思議と不快感は無かった。もしこの本がいつか僕の手を離れた時、きっと次の持ち主がこの潰されて死んだ紙魚を見つける。
その人も僕のように、今は亡き几帳面な何某さんへと思いを馳せるのだろうか。
考えを散らしながらパラパラとページをめくっていると、生きている紙魚がいた。嬉しそうに文字の上を走り回っている姿は気味が悪い。
不意に何某さんに「やりなさい」と囁かれた気がした。それが目の前の紙魚よりも気味が悪かったので、僕は優しく本を閉じて帰路に着いた。
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