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福来 雀

福来 雀

帰り道

帰り道は、いつもより音が少なかった。
遠くで車が通る音と、足元の小石を踏む感覚だけが残っている。

「今日は、どうだった?」

隣を歩くその人が、前を見たまま聞いてきた。
すぐには答えられなくて、私は少しだけ息を吸った。

「……よく分からない」

言葉にしてみたけれど、それ以上は続かなかった。
長かったのか、しんどかったのか、
何が一番引っかかっているのかも、うまく掴めない。

「そっか」

それだけ言って、その人は何も足さなかった。
気遣われた感じもしないし、突き放された感じもしない。
ただ、そのまま歩く速さだけが揃っていた。

肩のあたりが重い。
無意識に力が入っていたことに、今さら気づく。
今日は、気を抜くタイミングが分からなかった。

信号の前で足を止める。
赤のまま、時間だけが流れていく。
青に変わるのを待つ気力も、
今はあまり残っていなかった。

頭の中では、今日の場面がいくつか浮かんでは消える。
うまくできた気もしないし、
何かを失敗したと断言できるほどでもない。

ただ、疲れている。
それだけは、はっきりしていた。

信号はまだ赤のまま。

「この後、どうする?」

そう聞かれて、私は何も答えられなかった。
答えがないわけじゃない。
ただ、言葉にする準備ができていなかった。

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