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#花彩命の庭 #初投稿 #タスク

『花彩命の庭』—影喰いの季節—

夜の帳が落ちる頃、庭はふだんより深い青に沈んでいた。
花々の輪郭はかすかに揺らぎ、色彩が微細に震えている。
まるで、見えない何かに怯えているような──そんな不自然な沈黙が漂っていた。

あなたは気づく。
この庭を守るはずの彩命樹の影が、いつもより長い。
季節でも時間でも説明できないほど、不穏に。

手を伸ばして幹に触れた瞬間、
指先から微かな冷気が流れ込み、胸の奥をなぞった。
まるで「ここにいてはいけない」と訴えるような拒絶。
けれど、あなたの足はその場から離れることができなかった。



風が吹くたび、庭の隅で影が“ズズ……”と音を立てて動く。
光の届かない場所に、何かが潜んでいる。
花が持つはずの命の色が、少しずつ削り取られていた。

すると、足元で小さな音がした。

振り返ると、
あなたの肩によく止まっていたはずの光の鳥が、羽を震わせて倒れていた。

いつもは柔らかな光を放つはずの身体が、
ところどころ黒い染みのようなものに侵されている。
鳥は弱い声で告げた。

「……“影喰い”が、戻ってきたんだ。」

その名は、かすかな記憶に引っかかった。
庭がまだ若かった頃──
この庭から逃げ出した影たちを喰らい、
花々の色を奪っていった存在。

「忘れてしまった想いが増えれば増えるほど、
 影喰いは強くなる。
 あなたが背けてきたものを、あいつは喰うんだ。」

鳥は苦しげに羽を動かした。

「この庭が消える前に……“最初の記憶”を思い出して。
 彩命樹が生まれた日のあなたの想いを。」

あなたは目を閉じた。
しかし記憶は霧のように掴めない。
その“最初”が何なのか、どうしても思い出せない。



影喰いはゆっくりと姿を現した。
花弁が溶けるように消え、枝が黒く染まっていく。
庭の呼吸が乱れ、世界がひずむ。

あなたは逃げなかった。

影はあなたを飲み込むように近づき、
ひやりとした闇が全身を包んだ。

そして──
その内側で、忘れていた記憶がひらりと舞い上がった。

誰かの笑顔。
あなたが失いたくなくて、
しかし守りきれなかった時間。

その痛みを避けるために、
あなたはこの庭に“鍵”を置き去りにしていた。
彩命樹は、その鍵から生まれたものだった。

「……逃げてたのは、私だ。」

言葉になった瞬間、
胸の奥から鈍く温かい光が溢れ出した。

影喰いはそれに怯えたように後ずさり、
形がぐにゃりと歪む。

あなたは震える指で彩命樹に触れた。

すると、
樹の内部に沈んでいた色彩が一気に噴き上がり、
闇を押し返すように庭全体へ広がっていく。

影喰いは光に裂かれ、
消え入りながら低く呻いた。

──「いずれ、また。」

その声は決して脅しではなく、
“あなたが再び背けたとき、戻ってくる”という意味だった。



庭の静寂が戻ったころ、
光の鳥はあなたの肩でようやく息を整えた。

「あなたが向き合ったから、庭は助かった。
 でも影喰いは、あなたの一部でもある。
 完全には消えない。
 けれど、恐れなくていい。
 あなたが生きるたび、色は増えるから。」

風が吹き、
花彩命の庭はゆっくりと夜明けの色に染まっていく。

影の気配はまだどこかに残っている。
しかしあなたはもう、怯えなかった。

なぜなら、
庭が色づくたびに、
あなた自身も強くなっていくと知っているから。

物語はいつでも続いていく。
花彩命の庭がある限り、
失われた色は必ず取り戻せるのだから。
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フォロワーの音声ルームで
「女性のどんな仕草にキュンとくる?」
と聞かれて
「キュンとくるっていうのとは少し違うけど、紐パンで膝に座ってほしいかな」と口にした途端、それまで楽しげに響いていた声が嘘みたいに静まり返った。

「理解の対義語は誤解や無理解だと言われるけど、俺は理解の対義語は説得だと思うね」
そう言い放ち部屋を後にした。

真冬の張りつめた空気が二人の別れを暗示しているかの様だった。
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れんにい

れんにい

喉やられた時に声低くなって男に間違われたの草。友達の姉にめっちゃ言われたわ。「ほんとに女?え声低くね?」って、めちゃめちゃ女ですけど
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ネズミ

ネズミ

今からしなくてはいけないけど
病気で出来ない事
•住む場所
•仕事
•相談できる人[疑っている]
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ひー。

ひー。

今日も推しがライブするんだけど、旦那と付き合うきっかけもライブだったなぁって思い出してて。

旦那とまだ友達だった頃に夏のフェスに一緒に行ってみて、思ったより楽しかったから、いつか推しのライブにも一緒に行ってみたいなと思ってて。

その数ヶ月後に私の友達がチケット1枚余ってるからって譲り先を探してて。
いい機会だなと思って、当時友達だった旦那を誘ったの。

チケットを譲ってくれた友達が、連番のチケットの方を渡してくれて、ライブを旦那で隣で見れることになって。

帰り道3人で楽しかったなぁって話しながら歩いてて。

私の友達、身体に不自由なところがあるんだけど
ライブの帰り道って人混みがすごくて危なくて。
階段登る時、私の現旦那が、友達をエスコートしてて。その姿を後ろから見てた私…嫉妬とかじゃなくてシンプルに羨ましいなって思って。
この人いいな…優しいな…ってなって
その瞬間から見る目が変わって、気になってしょうがなかった笑

友達期間3.4年あってから付き合ったのは現旦那が初めてだった。
付き合うってなった時に、あぁこの人と結婚したい。結婚するんだろうなって思った。

今も変わらず旦那は身体が不自由とか不自由じゃないとか関係なく弱ってる人に優しい。
周りをよく見てて、弱ってる人に躊躇わず手を差し伸べられる人。

授かり婚になったのは想定外だったけど
結婚する前からした後も今も変わらずずっと優しい。結婚してよかったなって。幸せ。

#産後2ヶ月 #育児 #新婚 #生後2ヶ月 #旦那大好き
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