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彰(療法家)
アキラは激怒した。
かつて裏切られたわけでもない。奪われた名誉もない。
だが、それでも怒っていた──
己の「歩数計」が、前日4,998歩で止まっていたことに。
「たった二歩、なぜ気づかなかった……」
己に対する、誓いへの裏切り。
アキラは悔しさで膝をつきながらも、今朝、誓ったのだ。
「今日こそ、五千歩。いや、五千一歩、歩きぬく。」
それは己の意志を示す、小さな大冒険だった。
誰に頼まれたわけでもない。
だがアキラには、それが己の信仰だった。
心と体の均衡を守るため、彼は歩く──
⸻
第一歩:朝の商店街
アキラは歩き始めた。
カステラ屋の甘い香りをすり抜け、
八百屋の老婆に会釈しながら、
足元で猫がごろんと寝返りを打つのをかわした。
「お、アキラさん、今日も歩いてんのかい」
豆腐屋の息子が笑う。
彼はうなずき、歩数計の数字を確認──「312歩」。
(まだ、道のりは遠い)
⸻
中盤:夕暮れの川沿い
空は橙、風は涼し。
歩くたび、脳裏に浮かぶのは祖父の言葉。
「アキラよ、歩くことは、祈ることに似ておる。
足が前に出るかぎり、お前は生きてるんだ」
彼は今日もまた、己を生きるために歩いている。
途中、小学生の列が「こんにちはー!」と声をかけ、
ひとりの少年が不思議そうに尋ねた。
「なんで毎日、歩いてるの?」
アキラは笑って言った。
「この町が、俺の“道”だからだよ。俺が止まれば、道も止まる」
少年は意味もわからず笑った。
だが、その言葉が妙にかっこよく響いたのか、あとで作文に書いたらしい。
⸻
最終章:夜の交差点にて
残り、三歩。
ビルの影から雨粒が落ちる。
スマホには「あと3歩で達成です!」の通知が光る。
その瞬間──
信号が点滅し、老人がひとり、道路の真ん中で迷っていた。
アキラは一瞬、歩数か、老人か……とためらい──
次の瞬間、駆け寄って、彼の腕をとって横断歩道を渡りきった。
「……ありがとうございます……若いのに、よう動いてくれたねえ」
老人の声にアキラは笑った。
(3歩、戻ったかもしれん……でも)
ポケットの中の歩数計が震える。
「本日、5,004歩達成!」
アキラはにやりと笑った。
信号がまた青に変わる──その瞬間、彼は静かに歩き出す。
五千歩を越えて、男は今日も歩く。
誰にも見られずとも、誰にも褒められずとも。
だが彼の背は、たしかに、“歩く者の誇り”に支えられていた──。
⸻
🕊️あとがき
このアキラの物語は、メロスのように走ることなく、
ただ静かに、誠実に「歩く」ことに命をかけた男の記録。
狂気ではなく、日常の意志の力がそこにはありました。

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ちゃも









tomo
やっときた
可愛い😊


にゃむこ放送協会🐾


mako
今日からGRAVITYをはじめました!よろしくね〜!
■名前
mako
■趣味
猫、犬、ダイエット、スイーツ
たくさんの友達ができますように!✨

無類の猫好き
一生懸命えっほえっほしててかわいい☺️


🍒🐈ねこ🐈🍒
なんか,早めに目が覚めて👀グラ開いてまたおしゃべりしてた。依存度高い😅
もはや,老婆の領域か?
ねこは今日もお仕事です。お仕事のある方も、ない方も良い1日になりますように✨
明日は明日で休みじゃなーい。ボランティア🤣
𝐇𝐚𝐯𝐞 𝐚 𝐧𝐢𝐜𝐞 𝐝𝐚𝐲
✨.•*¨*•.¸⭐️•*¨*•.¸¸⭐️•*¨*•.¸¸✨

よっしー🏂


そら
ぬこ
おはようございます🐶😺
明日天気悪そうなので
久々に成田の保護犬活動に
お節介してくるよ[ほっとする]









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まりこ

きよは
なかなか難しいなぁ…。

瓶野こ

がりゅ'
脈拍全然上がらないけどー!?ってなって、心臓強いんだわってw
ライドしてて向い風坂道は、さすがに166とか心臓ドキドキだったよw

きちち

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桐江(キ
都々ちゃんとめちゃくちゃ仲良くなっててしずりんさんに言うか否かの下り最高w
#生け捕り町おこし
#たちつてトーク

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