ディオード兄貴序盤から出てきてずっとみんなの光してますね……マジのスーパースターやアンタ……

【再投稿】
大阪に住んでいた頃『フラッシュバック』というバーによく行きました。料理がずば抜けて美味しかったのです。しばらくすると料理のメニューが一新しました。バーテンに聞くと調理する人が変わったとのこと。

時は流れて喫茶店のはずが夜通ると

【グラスビール２杯と小皿料理３品で1200円】

との黒板。その喫茶店は８席の小さなお店。男性がやられていました。

「喫茶店辞めて飲み屋にしたのですか？」
「いえ違います。昼間の喫茶店はそのままです。喫茶店を18時で閉めたあとのお店を僕が借りているのです。まだ店舗をまるごと借りるお金も勇気もないので」

1200円のビールセットを頼んでみました。小皿料理はフレンチでした。２皿目に

「あれ、このソース覚えがあります。マスター、フラッシュバックで調理してませんでした？」
「え〜、そうです、やってました」

『フラッシュバック』の調理場は奥でしたので顔は知りませんでした。その1200円セットは、3000円以上のミニコースに匹敵する美味しさでした。以後、マスターにとって、私は「味に敏感な人」ということで、新作料理の味見を頼まれたりしました。お店も次第に満席になるようになりました。1200円セット以外も当然美味しかったので。いつ行っても満席なので、私も訪れる回数は減りました。
しばらくたってお店に行ってみるとお店がありません。喫茶店は取り壊したようです。昔の私は、本当の縁は切れることがないって妄信していたので、相手と連絡先を交換することはほとんどありませんでした。

さらに時は流れて、ふと新しいお店に入ると、あのマスターがいました。少し広いお店でやられていました。

「あ〜、連絡したかったのですが、連絡先を交換してなかったですよね。よくここに来られましたね？」

再びマスターとの交流が始まりました。そして、私は大阪を旅立つことになりました。最後にお店に行き、閉店まで飲み、閉店後はマスターとお酒を飲みました。

私は東京に住むようになりました。数年後、大阪に行って、あのお店に行ってみるとイタリアンになっていました。お店の人に前のお店はどうなったか聞いてみました。知らないとのこと。でも、その会話を聞いていたお客さんが教えてくれました。

心斎橋『ニ・ド・ワゾォー』

未だにお互いの名前と連絡先を知りません。