おじさんに助けられた小さな冒険者の物語

共感で繋がるSNS

投稿

ハーロック

2023/11/06

第2話 (全2話)

大丈夫かい？
危なかったね

振り返ると、パパよりも年上なおじさんがいた

まだ秋とはいえ、この気温だ
落ちないで良かった

おじさんはそう言うと、わたしとゆうとを古いお家に入れてくれた

恐かったろう、もう大丈夫だ
君たちだけで来たのかい？

何だかお家というより、アンティークなカフェのような感じがした

ここは僕の店だ
バーだよ
適当に座りなさい
今何か飲み物を出してあげるから

そう言うと、おじさんはゆうとにおしぼりとストローが刺さったオレンジジュースを出してくれた

おねえちゃんは頑張ったからね、特別にカクテルを作ってあげよう

おじさんは何だか銀色のコップのようなものを出して、シャカシャカと振り出した

そして、三角の形をした細長い柄のついたグラスに、黄色いジュースのようなものを注いで、最後にグラスの端にチェリーをのせた

どうぞ、シンデレラというカクテルだ
もちろんお酒は入っていない
安心して飲むといいよ

綺麗……

わたしはそのグラスに入ったジュースをひと口飲んでみた

え？
何これ？

冷たくて、めちゃくちゃ美味しかった
オレンジではなくて、パインでもなくて
でも、優しい味だった

れみー！ゆうとー！
外からパパの声が聞こえた

お父さんかい？
心配で探しに来られたのかな？

おじさんはそう言うと、扉を開いてパパを呼んだ

ここは大人のお店でね
残念ながら、君たち子供は本当は来てはいけないんだ
だから、もっと歳を重ねて素敵なレディになったら、またおいで

今度はお酒が入った、もっと美味しいカクテルをご馳走しよう

おねえちゃんどうしたの？
顔真っ赤だよ

わたしは無言でゆうとの頭をはたいた
それがわたしの

初恋だった

#小説