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ミルトン

ミルトン

若い頃、入院していてひとりの女の子を好きになった。

Yちゃんは正直可愛くなく、太っていたけれど好きになってしまった。

話しているうちにうっかり好きになってしまったのだ。

Yちゃんが先に退院した。

「病院をふるさとと思わず、退院にむけて頑張ろう」

そう言ってYちゃんは退院した。

次に僕が退院した。

僕は毎週、便箋20枚にもわたる手紙をYちゃんに送った。

狂っていた。それほど好きになってしまっていたのだ。

手紙の返事はまったく来なかった。

おかしいな、と思って、Yちゃんの実家でもある幼稚園まで行ってみた。

夜の幼稚園は静かだった。

幼稚園のわきにある家にYちゃんが住んでいるのだろうか。

家には明かりがついている。

チャイムを押してしまおうかと思ったが、それはやめておいた。

次の日、その次の日も僕は夜の幼稚園を見に行った。

好きな人の家を見ていると安心した。幸せだった。

ある日、とうとうYちゃんの家のチャイムを押してしまった。

どうしても我慢ができなかったのだ。

「すいません、ミルトンと申しますが、Yさんはいらっしゃいますでしょうか?」

するとすぐにYちゃんが出て、

「家に来ないでください!いま、警察に通報しましたから!」

と言って怒った。

警察に通報した……!

それを聞いて泣いてしまった。

何も悪いことをしているつもりはなかったので、ショックだったのだ。

警察が来るかも知れないので、早くこの場から離れなければならない。

僕は大泣きしながら歩いて帰った。

通行人はみんな僕を見たが、そんなことはどうでも良かった。

僕がしていたことは、ストーカーだったのだ。

電車の中でも泣いていた。泣き疲れて家に帰った。

もうYちゃんには手紙を出さなかったし、幼稚園にも行かなかった。

しかし毎週、便箋20枚もの手紙を出したのはYちゃんにだけだった。

恥ずかしい内容なので、捨ててくれているといいのだけれど。
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