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瓦礫の果てに、一軒の古びた寺が姿を現した。静寂に包まれ、規模は小さく、壮大さとは無縁だった。古殿が一つあるだけの小さな建物で、中に立つ石仏は分厚い塵に覆われている。そばには一盏(あかし)の青銅の古灯が、かすかに灯をともしていた。
寺の前には、蒼々とした菩提樹(ぼだいじゅ)の古木が相伴っていた。六、七人でようやく抱えきれる太さの幹はすでに中空になり、地表から二メートルほどの高さに、零星と五、六枚の葉が残っているだけだった。しかし、その葉は翡翠(ひすい)や神玉のように瑩(うる)やかに緑光を放っていた。
古寺と菩提樹が寄り添い合い、古雅な趣を呈していた。時がゆらりと流れ、歳月が移ろいだような感覚に包まれ、人々は心静かで、どこか寂寥とした趣を感じ取った。
ここまで来た全員が驚異の色を隠せなかった。後方の壮大な宮殿群はすべて瓦礫と化しているというのに、この小さな古寺だけが依然として存続している。それは、華美を極めたものよりも、むしろ「真」に近い感覚を与えた。
「どうしてこんなところに寺があるんだ?」
「あの菩提樹に残るわずかな葉っぱが、なぜ光を放っているんだ……」
菩提樹は仏教と深い縁がある。伝説によれば、二千五百年前、釈迦牟尼は菩提樹の下で悟りを開き、仏陀となったという。
眼前の菩提樹と古寺は、いずれも尋常ならざる趣を帯びており、人々を驚かせた。
「なぜか、歴史の長河が流れているような気がする。眼前の光景が、あまりにも遠い昔のもののように感じられるんだが……」
五十メートルという距離は短く、すぐにその近くまで到達した。誰もが奇妙な感覚に包まれた。目の前の光景は、一枚の古い絵巻のように、時間の息吹を漂わせていた。
「まさか、これは神々が住まう神殿なのか?」
「この世に本当に仏陀が存在したって言うのか?古寺は荒廃しているが、それでも平穏で安寧とした禅の境地を感じさせる。」
古寺は静寂そのもので、祥和に満ちていた。
「あそこに看板がある。文字が刻んであるぞ。」
荒廃した寺の入り口には、錆びついた銅の扁額(へんがく)が掛かっていた。そこに刻まれた四文字は、龍蛇が絡み合うようにも見え、無限の禅意を宿していた。複雑で判読しにくい鐘鼎文(金文)だったが、最初の「大」の字は誰にでも判読できた。
「最後の字は『寺』だ。」周毅は鐘鼎文に通じており、最後の字を読み解いた。
「この四文字は……『大雷音寺』だ。」
その時、葉凡が四文字をすべて読み上げた。
場にいた全員が驚愕した。信じがたいという表情を浮かべた。
「大雷音寺……?聞き間違えたかと思ったよ!」
「そんなことがあり得るのか……」
伝説の大雷音寺は、仏陀の住まう寺とされ、仏教の至聖之地(最も神聖な場所)である。しかし、眼前の古寺は小さく、荒れ果てており、壮大さのかけらも感じられない。たった一軒の古殿が、なぜ「大雷音寺」と名乗るのか?
九匹の龍屍を目の当たりにして以来、人々はもはや神々の存在を否定できなくなっていた。だが、それでも火星の地に「大雷音寺」なる古寺があるという事実は、心を大きく揺さぶった。もしかすると、多くの歴史や伝説は、まったく別の解釈を必要とするのかもしれない。消滅した古史の一片が、今、明らかにされようとしていた。
「仏音が説法を preach し、その声は雷鳴のごとし。」それ故に大雷音寺という!
眼前の古寺が、本当に伝説の寺であるというのだろうか?
推測が正しければ、それは極めて衝撃的な事実だった。赤褐色の土と礫に覆われた火星に、塵に隠された古寺が存在し、しかも驚くべき由緒を持っているというのだから。
見れば見るほど、この古寺は尋常ではないように感じられた。
後方の「天宮」はかつてどれほど雄大で壮麗だったか。だが、結局は滅び、瓦礫の山と化した。それに対して、この古寺は荒廃しているように見えながらも、依然として堂々と立ち続けている。それは、一種の奇異な対比を成していた。
菩提樹が相伴い、青灯古佛(あおきなる燈と古き佛)、ともす灯は一豆(ひとつのま)の如し。
平々淡淡、清清静静。時間の試練に耐え抜き、残されたものこそが「真」である。華美なものは、いずれ過眼雲煙に過ぎない。
一灯、一仏、一寺、一樹。それらはまるで古来より変わることなく、この世に長く存在し続けているかのようだった。
すべてが祥和で安寧としており、人々は春風に吹かれるような心地になり、かすかに禅唱が聞こえてくるような錯覚にとらわれた。
「もし本当にこれが伝説の大雷音寺だとしたら、寺前にあるこの菩提樹は、もしかして釈迦牟尼が悟りを開いたあの菩提樹じゃないのか?」
「そんなことがあるわけないだろう。あれは宗教的な伝説にすぎない。まさか、二千五百年前の釈迦牟尼が、火星の古木の下で七日七晩座禅を組み、仏陀になったなんて信じるのか?」
「俺たちの遭遇した出来事からすれば、何もあり得ないことはないだろう。」
場にいた全員が、今日の出来事に現実感を失っていた。だが、それらは紛れもない事実だった。
その時、葉凡が突然、足を踏み出した。龐博がそれに続き、二人はそのまま古寺の中へと入っていった。同時に、周毅も素早く後に続き、王子文もその後に続いた。
後方で、劉云志は何かを思い出したように顔色を変え、一目散に駆け寄った。他の人々も夢から覚めたように動き出した。ここが大雷音寺だとすれば、そこには神々が遺した器物が存在するかもしれない。荒廃し、塵に覆われていても、ここは非凡な場所なのだ。
古寺は小さく、一室の仏殿があるだけだった。中はがらんどうで、ほとんど何もなかった。葉凡はまっすぐ石仏の前に歩み寄り、傍らにあった青銅の古灯を手に取った。
灯は平凡無奇で、古めかしいだけの形状だった。しかし、手にした途端、金属特有の冷たさではなく、温玉(あたたかな玉)のような温かみを感じ取った。驚くべきことに、寺内は分厚い塵に覆われているというのに、この古灯だけは一粒の塵も付着しておらず、まるで塵を拒んでいるかのようだった。
何年も掃除されていない寺で、灯だけが塵を避け、なおも灯り続けている。葉凡はそれを不思議に思い、まさかこの遠い古代から、ずっと灯り続けているというのだろうかと疑念を抱いた。
「まったくきれいだな。石仏とこの灯以外には何も残っていない。」
龐博が周囲を見渡したが、残念ながら他の器物は見当たらなかった。
その時、二人の後を追って入ってきた周毅が、分厚い塵を踏みしめた足元から「哐当(こうとう)!」という金属音が響き渡った。彼の足元から、一つの鉢が転がり出たのだ。
同時に、劉云志らも古寺内に駆け込み、誰もが黙々と探す始めた。
最初は、全員が地球にいた時の感覚から抜け出せず、目の前の古寺に驚きと疑念を抱いていただけだった。だが、葉凡が最初に行動を起こしたことで、皆がはっとした。我々は今、異星にいるのだ。そして、目の前にあるのは、伝説の仏陀が住まうとされる大雷音寺かもしれない。そこに、神々の遺した器物が残っている可能性がある!
古寺の中で、葉凡は塵一つ付かない古灯を手にした。そのやわらかな光が寺内を照らし、光と影が交差する。
突然、葉凡はかすかに聞こえる禅唱を耳にした。それは、まるで天外から響いてくるようだった。最初は錯覚かと思ったが、仏音は次第に大きくなり、古寺全体に響き渡った。黄鐘大呂(皇室の雅楽)が鳴動するかのような荘厳さ、壮大さ、高邁さ、玄奥さ。
そして、古寺内の塵はすべて退き、無塵無垢の世界となり、六字真言が響き渡った。
「嗡、嘛、呢、叭、咪、吽……」
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みか
インフル扇風きてるから、けがなく、発症なく帰ってきてね~(。-人-。)


みやき𖢻(男)𖢻
回答数 43>>

けん

ちぃ
ほんと明るくなるのはやくなったなぁぁ🔆。°
𝐇𝐚𝐯𝐞 𝐚 𝐧𝐢𝐜𝐞 𝐝𝐚𝐲🎧𓈒𓏸
Take a Ride

もっち~
DIYレシピがたまったので差し上げます。
コメント待ってます。



まっち
とアドバイスしてもらって頑張ってやってみていたけど…やっぱり自分には向かないみたい…だな…
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夏実
(最近こんな話題ばっかだけど)
ジブリイケメンランキング見てたら
大体、ハクとハウルでトップ争い、
その後をアシタカ・天沼聖司などが
続いていくようなのですが…
なんでパズーがおらんのだ💢
(以下暴言三昧・ファンは回避推奨)
ハクなんて急に冷たくなったりするし
ハウルなんて見かけだけのヘタレだし
アシタカなんてカヤの扱いひどいし
聖司くんなんてストーカーまがいだし
パズー好きなナツはビックリしました…
いや上記4人ももちろん素敵なのですが
結局、興行収入比例なのでは?と
思ってしまったりいたしました

いつも何度でも (千と千尋の神隠し)
こむぎこっこ
タコの天ぷら作るのにお粉が無い(꒪⌓꒪)
仕方がないからお好み焼き粉で揚げたら
なかなか美味しい食感に( ≖ᢦ≖)ෆ.*・゚
穏やかで優しい夜を (,,ᵕᴗᵕ,)🫶


暇な人
コーヒークッキー、それとディアマンショコラクッキーを作成〜〜
実はこのコーヒークッキーちょっとしたハプニング起きてました🤣🤣
でもなんとか完成はまともな感じに?
2枚目のディアマンショコラクッキーはもう最高ですわ
完璧👌
味、見た目、食感全てに満足🤤
しかしこのショコラクッキー40枚くらいあんだよな…………
乾燥剤入れてるとはいえ……笑
#手作りお菓子
#お菓子作り好きな人と繋がりたい
#お菓子作り
#手作りクッキー
#GRAVITYスイーツ部


あい
もっと丁寧に描きたかったんですけど来るとしても1人2人の方が来てくださったら良いなぁぐらいの感じで思ってて、でも思ってた以上にみなさんが協力して下さって🥺本当にありがとうございます!
(思ってたんとちゃう...って思ったら本当にすみませんm(_ _)m)






🎀🫧りぼん𓂃🎀𓈒𓏸
気疲れと体力疲れでヘトヘト( ´・ω・`)
明日は明後日は遅番頑張ったら
お休みだからあともうひと踏ん張りだね✨️
お風呂🛁*。終わってビール🍺のんで
元気だそぉーっと( *´꒳`*)
#お疲れ様自分 #自分で自分を褒める #アサヒビール


らびん•͙✧⃝•͙
息子たちは旦那が連れてってる!
しかし、旦那が家を出て(出て行かせてw)から
1ヶ月が経ちまして…
私は戻って来てと言ってるけど戻って来ず。
『帰りたいし帰らなんけど。こわい』
なんなんコレ。私が恐いってこと??
一体どうするつもりなんだか(´-ω-`)ヤレヤレ…
#GRAVITY飯テロ部 #モスバーガー

mimi
テレビの中だけだった ロボットたちが
実際に「ここにいる!!」
そんな ワクワクするような展示
原寸大のパネル
コックピットに 乗れそうな気分で
当時の流行り
バイク 飛行機 ジープなど
取り入れたデザイン
とても細かく設定されていて
どのボタンを押すか
どうすれば動くか
鉛筆で何度も描かれたデッサンに
恐ろしいくらいのメモ
何稿も何稿も
デザインをやり直して
その度に カッコよく
そして、リアルになっていく
ロボットたち
「機械」に 命を吹き込む
「アニメ」を より現実にしていく
当時のクリエーターさんたちの熱力と
本当にすきなんだなぁ
楽しいんだなぁ
という思いが伝わって
大人も子供も
(みんな子供になって)
目をキラキラさせていた
展覧会でした
いやー楽しかった[大笑い][大笑い][大笑い]!!!
満喫したーーー[大笑い][大笑い][大笑い][大笑い]
私、運転免許ないのですが🚗🙅♀️
モビルスーツ乗れんじゃね[ほっとする]❓
って思ったー[大笑い]
そのくらい原寸大のパネルは
乗れそう!
こんな大きさなんだ!とか
意外と小さい!とか
アニメをリアルにしてくれて
驚きと発見がいっぱいでした💡💡💡
写真撮影不可でしたが…
マクロスの「愛おぼえていますか」の
メカニックデッサンは…
芸術といっていいくらい美しくて
見惚れました……✨✨
いやー!セル画っていいね!!
鉛筆のデッサンっていいね!!
(載せ切れなかった画像はコメ欄にて)
いゃー、ロボット乗りたくなった[大笑い][大笑い][大笑い]
ロボットのりたい🤖‼️
モビルスーツ乗りたい‼️‼️
(ガンダムは免許なしには、難そうやなぁ[ほっとする])
#京橋文化博物館
#鉄人28号
#マジンガーZ
#ガンダム
#NoartNolife









マジンガーZ (マジンガーZ)

ぬぬ
気付いてしまったんだけど
上の子の入園願書受付、面接日に
下の子の陣痛が始まって、
旦那の運転で出発して
産んできます、、面接後日でお願いします、、
って10分間隔でイテテってなりながら
園に願書出しに行って、先生に伝えて
旦那の実家に上の子ポイっとして
病院着いたら6センチですね〜って
8時間後に下の子産まれたんだけど
願書出しに行くの旦那で良かったよね?

うち
じわじわどんどん高まっとる
どこ行こうかなぁ
キャンプじゃなくて
温泉とおいしいごはんのある宿でゆっくりしたいなー
はるこ
日本にいなかった1週間で山が結構変わってた、、!!明日行こうと思っていたところで友だちがオオモミタケ採ってて、ぐぬぬってなるなどしておりました😂
悔しいので山盛り採れるイメトレをしながら山へ行きましたが、うん、まぁこんな感じ。
①ヤマドリタケモドキ
道端に3つありました。え?あれ?って感じです。乾燥していてあんまり美味しそうな色じゃないけど、、
②ムラサキフウセンタケ?
頭は茶色、ひっくり返してみたら紫色!
③チチタケ
ことしもチチタケ祭りが開催されそうな予感!昨年の爆発がもう一回くるのか?!?!
④わかんないけどかわいいきのこ
⑤ニガイグチ
ちょうどよく美味しそうなフォルムのニガイグチがめちゃくちゃあった
⑥アカヤマドリ
来るたびに一個ずつ採ってる笑
大きさの割に虫も少なくてよかった。
⑦ホウキタケ
ここでホウキタケ採ったのはじめて!小ぶりだけど虫も入ってなくてよかった!
⑧アシナガイグチ
電波系好きです📡(食べないやつ)
#山のきのこ #きのこ #たのしい!








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