株主優待の価値を最大化するための賢い投資戦略

ドアを開けると誰もお客さんはいませんでした。
着物にたすき掛けの女将さんが片付けをされているようでした。

「もう終わりですか？」
「あっ、いらっしゃいませ」
「今日、おおとり様だから誰もいらっしゃらないかと…どうぞどうぞ」

昨夜は近くの鷲神社で酉の市でした。
私が最初のお客さんか…。

「前にもいらしたことありますよね？」
「あっ、はい、１年くらい前に…」

たしかに１度来ましたが、ほんとに覚えていらっしゃるかはわかりません。

女将さんはやたら話しかけてきます。
何かあったのだろうかと思うくらい。

女将さんもビールがお好きのようで、私がベトナムの街の酒屋さんが自分で作っているビールが１杯50円くらいで、１番安いビールだったと話すと、いいですね、海外へは行ったことがない、と。
ここに嫁に来た時からこのお店があったそうです。お店は60年以上になるとのこと。お店があるので、そうそう休んでいられない人生でした、と。

「でも、最近は開店休業の日が多いから思い切って休もうかな」

笑って女将さんがおっしゃるので、私はせいいっぱい飲む覚悟を決めました。

映画が好きだけど、ハラハラドキドキしてハッピーエンドの映画が最近ないねとも。

「やっぱり昔の映画はいいね」
「ほら、ビルの火事の映画」
「タワーリングインフェルノですか」
「船がさかさまになるやつ」
「ポセイドンアドベンチャーですね」

女将さんが何やらコップを持ってきて自分で生ビールを注ぎはじめたので、

「あっ、飲まれるのでしたら、１杯ごちそうします」
「あらそう？ありがとう」

ビール呑み出したら、さらにおしゃべりになりました。

ご夫婦のこと
温泉が大好きで高山温泉が一番気に入っていること

ふとスマホを見ると22時を過ぎてましたので、お会計をお願いしました。

「ごちそうになって、私ばかりおしゃべりしてごめんなさいね」
「今日はほんとありがとう。誰も来ない日だとやっぱりビール美味しくないの」

後ろの厨房にいらっしゃるご主人の顔はどこか厳しげでした…。

５杯しか飲みませんでしたが、私も何だかアルコールが回った気がして、いつもなら、お店を出たらサクッと書ける投稿が翌朝になってしまいました…