迷探偵の推理日誌 - 春の陽気の中、新たなる謎解きへ

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胡思乱想こしらんそう

2022/10/19

「迷探偵」

今日は幾分あたたかい。いい一日になりそうだ。わたしは颯爽とコートを羽織り外に飛び出した。事件がわたしを呼んでいるのだ。今日も重大な事件が頻発しているだろう。しかしなぜかわたしの相棒の漆黒のセダンがない。そして、いったいここはどこなんだろう。はっきりとした記憶がない。最近無茶な飲酒を繰り返したせいだろうか。

「おじいちゃん、ほらおうちに帰りましょう」

誰だ。この若い女性は。わたしの記憶にはないぞ。
「ほらほら、カーテンを引きちぎってコート代わりにしてはいけませんよ。靴だって履いてないし」
そういえばカーテンだし、裸足だな。うんうん、そうだね帰ろう。おうちに帰ろう。はっきりとした記憶はないが、この人の言うことに従おう。おそらくこの人はわたしの孫なのだろう。耄碌したわたしを迎えに来てくれたんだ。

「お薬を増やしたほうがいいかもね。あの探偵、記憶を取り戻しそうだわ」

「わたしたちの教団を嗅ぎ回るなんて、なんて不届なやつ。いっそ○してしまおうかしら」

わたしは、可愛い孫に大切にされてほんとうに幸せだなあ。
今日は幾分あたたかい。いい一日になりそうだ。