共感で繋がるSNS
GRAVITY(グラビティ) SNS

投稿

アクア−Devil

アクア−Devil

第六天魔王・波旬は、ある日、いつものように人間界を見下ろしていた。

欲界の頂点、他化自在天の王として、彼の仕事はシンプルだ。

「欲望を煽り、修行を邪魔し、みんなを甘い快楽に溺れさせる」

それだけ。

今日も波旬は雲の上で退屈そうに顎を乗せていた。

「最近の人間、ストイックすぎるぞ……糖質制限だの、断糖だの、修行僧みたいになってきてるじゃないか。つまらん」

ため息をつくと、ふと彼の視界に一人の若い料理人が映った。

名前は**甘**(あま)。

大阪の小さな和菓子屋の跡取りで、砂糖を極力使わず「自然な甘さ」だけで勝負しようと日夜研究している変人だ。

「面白い……あいつを堕とせば、甘味界隈全体が崩れるかもしれないな」

波旬はニヤリと笑い、姿を変えた。

人間界に降り立つと、そこには黒い着物に赤い陣羽織、現代風に言うなら「第六天魔王ストリートファッション」状態のイケメン魔王が立っていた。

店に入ると、甘はちょうど新作を試作中だった。

「いらっしゃいませー……って、なんすかその出で立ち。コスプレ?」

「いや、本物だ」

波旬はテーブルにドンと座り、試作品の小さな羊羹を指さした。

「それ、なんだ?」

「えっと……『究極の無糖羊羹』です。てんさい糖もエリスリトールも使わず、干し柿と熟成さつまいもと隠し味の黒酢だけで甘さを出しました」

波旬、目を細める。

「……甘くないじゃねぇか」

「甘くないんです。甘くないからこそ、食べた後にじわじわ来る『何か』があるんですよ」

波旬は一口かじる。

「……!」

確かに甘くはない。

でも、口の中に広がるのは、干し柿の深いコク、さつまいもの優しい土の香り、黒酢のほのかな酸味が溶け合った、形容しがたい「旨味の甘さ」。

波旬、初めて味わう感覚に固まる。

「これは……欲ではない。執着でもない。ただ、静かに『ある』だけだ」

甘がニコッと笑う。

「第六天魔王さんも、たまには『甘くない甘さ』を味わってみたらどうです? 欲望を煽らなくても、人は幸せになれるって、案外証明できるかもですよ?」

波旬はしばらく黙っていた。

そして、珍しく小さく笑った。

「……ふん。面白い人間だ。お前、名前は?」

「甘です。よろしく、魔王さん」

「波旬だ。……いや、もういい。今日はただの客だ」

それから波旬は、毎週のように店に通うようになった。

最初は「人間を堕とすため」だったはずなのに、いつの間にか

「今日の新作はなんだ?」

「今度は無糖のわらび餅! 生の柚子と寒天だけで……」

「……また甘くねぇのかよ」

「甘くなくていいんですよ。それが俺の『魔王対策』なんで」

いつしか波旬は、自分が欲望を煽る側ではなく、ただ「甘くない甘さ」を求めてやってくる存在になっていた。

そしてある日、甘がぽつりと言った。

「魔王さん、もう欲界の仕事、辞めちゃえば?」

波旬は羊羹を頬張りながら、珍しく穏やかな声で答えた。

「……悪くない提案だな。甘いものより、こっちの方がずっと厄介だ」

外では桜が散っていた。

第六天魔王は、今日も小さな和菓子屋のカウンターで、無糖の甘さを静かに味わっていた。

(終)
GRAVITY
GRAVITY
関連する投稿をみつける
むやち

むやち

人間も食べるものに見た目も性格も変わるんだろうねむやちはペヤングの大盛りたべたゆ
GRAVITY
GRAVITY
お前の彼女🐣ྀི

お前の彼女🐣ྀི

萌え萌えきゅーん‎🤍
GRAVITY
GRAVITY1
紫苑ꧦ𐅁𐀸𐋠𛰙᭜𖫴𖫰𖫱𖫳𖫲𖫲𖫳𖫴𖫰𖫱꛰ﯩᩝ︪᭜𖫴𖫰𖫱𖫳𖫲𖫲𖫳𖫴𖫰𖫱꛰ީᩝ𛰚

紫苑ꧦ𐅁𐀸𐋠𛰙᭜𖫴𖫰𖫱𖫳𖫲𖫲𖫳𖫴𖫰𖫱꛰ﯩᩝ︪᭜𖫴𖫰𖫱𖫳𖫲𖫲𖫳𖫴𖫰𖫱꛰ީᩝ𛰚

出 綾瀬
  杏璃
  菫水晶
  紫響の間
  Crystal Bow
  サポート
  月の女王
  シカラス

求 450
  300
  1200
  450
  300
  200
  100
  100

本垢→@ᐕ)ノ桜サクラ❀
⭕️相談
ᐕ)ノDMお待ちしております
アイコン交換の星アイコン交換の星
GRAVITY
GRAVITY1
むやち

むやち

柚子食べてるブリおいしかったなー
GRAVITY
GRAVITY2
魔法少女三十路マジカ

魔法少女三十路マジカ

お風呂入っててなんかいつもとシャンプーの香り違うなって思ったらペット用シャンプーだった

毛並みが良くなって帰ってきました
GRAVITY
GRAVITY3
Ok

Ok

#16性格診断 が当たりすぎて怖い😂 私のタイプは #ISFP 、一番相性が良い人は #ESFJ ・・・みんなはどの性格タイプか教えて!
GRAVITY
GRAVITY1
ハチワレ

ハチワレ

小さな頃から厳しい環境で育ち、
「誰も助けてくれないのが普通」だと思って生きてきた。

恋人ができると、
役に立つ自分でいようと無理をし、
価値がある人間であろうと必死だった。
気づけば他人軸で生き、壊れて、別れを繰り返していた。

壊れたとき、ひたすら壁打ちを続けて考えた。
「私の中の小さな私を助けるのは誰?」
答えは、大人になった“私自身”だった。
そして私は、私を裏切らない。

そう気づいてから、自分軸が戻った。
相手に合わせず、説明もせず、
「私はこれが好き」「あなたはあなた」でいられるようになった。

昔あれほど執着していた相手も、
今は「好きにすればいい」と思える。
どうでもよくなったからこそ、関係は楽になった。

たくさん愛した。
愛しすぎて、雪の重みみたいに相手を潰してしまったこともある。
でもそれは、愛し方を知らなかっただけ。

今は違う。
自分の心の穴は、自分で塞げる。
だからもう、失わない。

人を愛した自分に、ようやく「おつかれさま」と言える。

#自分軸
#愛着障害
#インナーチャイルド
#回復の記録
#大人の恋愛
GRAVITY

Sanitizer

Official髭男dism

GRAVITY
GRAVITY
もっとみる
話題の投稿をみつける
シリウ

シリウ

久々のプリキュア( ◜ω◝ )
GRAVITY
GRAVITY2
迷小路

迷小路

バイナリーエディタを使用する理由は?
バイナリーエディタを使用する理由は以下の通りです。 データの直接編集: バイナリーエディタは、ファイルのバイナリデータを直接編集できるため、特定のデータを変更したり、解析したりするのに便利です。例えば、ゲームのセーブデータを改変する際に役立ちます。 ファイルフォーマットの理解: バイナリデータを視覚化することで、ファイルフォーマットの構造を理解しやすくなります。これにより、特定のデータがどのように格納されているかを把握できます。 デバッグとリバースエンジニアリング: プログラムのバグを修正したり、ソフトウェアの動作を解析したりする際に、バイナリーエディタは非常に有用です。特に、セキュリティ研究やマルウェア解析において重要なツールです。 カスタマイズと最適化: 特定のアプリケーションやゲームの動作をカスタマイズしたり、パフォーマンスを最適化するために、バイナリーエディタを使用して設定を変更することができます。 データ復旧: 壊れたファイルやデータの復旧作業にも役立ちます。バイナリーエディタを使って、失われたデータを手動で修復することが可能です。 これらの理由から、バイナリーエディタは多くの技術者や開発者にとって不可欠なツールとなっています。
GRAVITY
GRAVITY
若鷹ま

若鷹ま

高速で降り損ねた時、次のインターで折り返して入れる事を知らんのだろうね。
周知されれば少しはマシなんじゃない
#日曜報道
GRAVITY
GRAVITY7
紗矢

紗矢

あっ顔にミストすんの忘れた
GRAVITY
GRAVITY5
青🐳

青🐳

頭痛くてべいまっくすぬい持って寝転がってる
GRAVITY
GRAVITY9
枯れた

枯れた

現地着いてから頭つけるからあれだけど田舎でクリノリンに羊角はなかなか浮くなぁ…w
GRAVITY
GRAVITY9
ねぎポ

ねぎポ

ピーピャーとは何ですか?
ピーピャーは、主に日本の伝統的な楽器の一つで、特に子供たちの遊びや祭りで使われることが多いです。以下にピーピャーの特徴をまとめます。 形状と素材: ピーピャーは通常、木製やプラスチック製で、細長い形をしています。音を出すための穴が開いていることが多いです。 音の出し方: 吹き口から息を吹き込むことで音が出ます。音色は高く、軽快で、子供たちにとって楽しい音を奏でます。 使用シーン: 祭りや運動会、学校のイベントなどでよく見かけます。また、子供たちが遊ぶ際にも人気があります。 文化的背景: ピーピャーは日本の伝統的な音楽や遊びの一部として、地域によって異なるスタイルや演奏方法が存在します。 このように、ピーピャーは日本の文化に根付いた楽器で、特に子供たちに親しまれています。
GRAVITY
GRAVITY9
延

ピーピャーの意味は?
ピーピャーは、一般的に「ピーピャー」と呼ばれる音や動作を指す言葉で、特に子供たちが遊ぶ際に使うことが多いです。具体的には、以下のような意味があります。 音の表現: ピーピャーは、笛やおもちゃの音を表すことが多いです。特に、子供向けの玩具やゲームで使われることがあります。 動作の表現: 何かを指し示したり、注意を引くための動作としても使われることがあります。 この言葉は、特に子供たちの遊びやコミュニケーションの中で、楽しい雰囲気を作り出すために使われることが多いです。
GRAVITY
GRAVITY1
三月兎

三月兎

あ、おはんよ
GRAVITY
GRAVITY4
クラン

クラン

CL50めっちゃカッコいいな
GRAVITY
GRAVITY9
もっとみる
関連検索ワード

第六天魔王・波旬は、ある日、いつものように人間界を見下ろしていた。